異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第36節 事実

朝食を済ませ、出発する桐生達一行だったが旅という物を初めて行う雪菜とベティは疲れが取れないのか最初の移動でかなり疲労したのか夜には先に寝てしまった。その為、夜食はSクラスのみと言う形に自ずとなってしまった。
『ベティと雪菜は?』
『ぐっすり寝ています。やはり慣れない旅の疲れでしょう』
答えたリィムは起こさないように静かに答えた。
『でも明日には着くから早い方よね』
『だな。それでも無理は良くないけど』
と、ベルとレオンが夜食を食べながら話を拾った。
『・・・なぁ。ちょっと聞きたいんだが』
唐突に桐生は話を始めた。
『お前らはこの世界で生きてきたんだろうけど、あのエヴィーの様な奴とかいた記憶あるか?』
『・・・見た時も聞いた時もないよ・・・』
最初に答えたのはレイナだった。
『そうね。私も噂も聞かなかったわ』
『それがなんかしたのか勇人?』
『・・・いや・・・、なーんかよ?都合が良いなって』
『どうゆう事?』
『あいつが前に言ってたんだけど今までミントと同じ様な戦いをずーっとやってきたって言ってたんだ。でもその話って変じゃないか?そんな事があるなら俺らにもそういう情報があってもおかしくない。ましてやモンスターが増えた原因なら尚更だ。なのに学園では周期で増えるってだけ言われた・・・』
『確かに・・・おかしいわね』
『うん・・・変な感じはするね』
『つまり・・・考えたくないけどもそういう情報を学園は隠してるんじゃないかって』
『ま、まさか?勇人の考え過ぎじゃないか?』
『それならいいけど・・・』
話し始めた桐生は解決に至らないのかまた黙ってしまった。
『・・・情報操作』
ボソッっと話し始めたのはミントだった。
『情報操作?』
『・・・うん。私達の存在は公に出来ない。すれば世界が混乱するから。だから文面も情報も漏らさない』
『・・・関わってた人も居たろ』
桐生は自分を召喚した過去の召喚者を思い出した。
『・・・みんな戦争で死んだから・・・』
『・・・』
今度はミントの言葉に全員が黙ってしまった。
『・・・でもよ?』
レオンが今度は水を飲みながら話を続けた。
『ミントとエヴィーはその・・・精霊みたいなものだから・・・エヴィーさえ倒してしまえばモンスターは増えないし、被害が出ることも減るんじゃないか?』
『それは・・・』
『確かに・・・』
全員が納得する様な雰囲気の中ベルだけは神妙な顔をしていた。
『だとしても、倒した所で変わると思う?・・・恐らく第2のエヴィーみたいな存在がまた出てくると私は思う』
その言葉に頷いたのはミントだった。
『・・・うん、ベルの言う通り。私達は神に作られた存在だから復活も可能。・・・あの子を倒して手に入れた世界に神が納得しなければまた同じ事の繰り返しになる』
簡単に、だが重く伸し掛る言葉に全員が口を噤んだ。終わりなき戦い。自分達がしている事は無駄なのではないかと思うのも当然だった。
『・・・多分、俺達は何も知らなすぎる。情報が無いから単純な結果を出そうとしてしまう。・・・もっと世界の仕組みを理解しないと行けないのかもな。・・・救えなかった命があるのと同時に救えた命もあるんだから、決して無駄なんかじゃない。だから・・・まだまだ知らない事を追求していかなくちゃなんないな』
桐生が自分に言い聞かせる様に話した言葉は全員の考えを改めるには十分な効果があった。
『・・・いっそ神様を倒しちまえば済む話かもなwww』
桐生は冗談っぽく笑いながらそう言った。
『いやwww勇人、流石にそれは無理だろwww?』
『そうですよwwwそれに、不謹慎ですよwww?』
『もうwww勇人が一番単純な答え出してるじゃんwww』
『バカだとは思ってたけど、まさかここまでの筋金入りだとはね・・・』
クラスメイトは笑いながら桐生の事を茶化した。
『お前らwww俺は真面目にだな・・・www』
かくいう桐生も笑いながら反抗していたが、誰も鵜呑みにする者は居なかった。
『皆で楽しそう・・・』
『そうだね・・・混ぜて貰おっか♪?』
『でも・・・邪魔じゃないかな・・・?』
『大丈夫♪私も一緒に行くから♪』
先に休んでいた雪菜とベティは笑い声で起きたのかテントから顔を出しながら近寄って行き、話に混ざりながら遅くなった夕食を食べ始めた。
ー。
ーー。
ーーー。
『つ、ついたぁーーーー!!!』
学園都市の門を見つけると雪菜とベティは嬉しそうにはしゃいだ。他のメンバーも安心したのかホッと胸をなでおろし、歩みを進めた。
『おかえりなさい、皆さん』
門の前で待っていたのだろう、学園長は全員が近くまで来ると出迎えの言葉を送った。
『Sクラス、及び救助者を連れて戻って参りました』
リィムが学級長らしく、凛と答えると全員は佇まいを直して整列した。
『えぇ、無事で良かった。・・・レオンくん、私が何が言いたいか分かりますね?』
そう言われるとレオンは1歩踏み出し、深々と頭を下げた。
『はい!この度は学園長、及びクラスメイトに多大な迷惑を掛けた事を理解しています!本当に申し訳ありませんでした!』
門番もビックリする様な声の大きさで謝罪をするレオンだったが、桐生が背後からフォローする様に話し始めた。
『学園長、大目に見てやってくれ。自分の故郷だったんだ。いてもたってもいられなかったんだろうからさ』
『そこは理解していますが、・・・今後はこの様な行動は慎んでくださいね?』
『はい!以後、気をつけます!』
『了解しました。・・・では報告を聞きますので私の部屋までいらしてください。・・・あなた達もですよ?』
学園長は後ろにいるベティと雪菜にも声をかけた。
『は、はい!』
返事に満足したのか学園長は先に戻るといい、学園の中に入っていった。
『こ、怖かったぁ・・・あの人が兄さんがいる学園の一番偉い人?』
『あぁ、普段はあんなにピリピリしてないんだけどな・・・。よっぽどレオンの行動が頭に来たんだろwww』
『おいおい・・・スゲー行きずらくなるじゃねーかよ・・・』
『だ、大丈夫ですよ!学園長も分かってくれたじゃありませんか?!』
『でもあそこまでピリピリしてるの初めて見たわ』
リィムがフォローする中ベルが追い打ちをかけた。
『とりあえず行こーぜ?報告して自分のベッドで寝てーや』
桐生がそう答えるとそそくさと歩き始め、その後に続く様にレイナ達も歩き出した。
『・・・なるほど。』
部屋に着き、報告を済ませると学園長は深いため息を吐きながら何かを思案していた。
『つまり・・・ベティ・・・さん?はこの学園都市に移住という形を取り、雪菜さんはSクラスへの編入を希望すると?』
『あぁ、それが一番学園とっても当の本人達にとっても最善かと思う』
『・・・』
桐生の提案に否定とも肯定とも取れない表情で学園長は二人を見ていた。
『・・・迷惑な話だと思いますが・・・召喚された人って強いんですよね?それに、兄さん達だけ危ない目に遭うのは嫌です・・・せめてこの力を使えるなら助けたいです』
雪菜は懇願する様に自分の有益性を主張した。
『私は・・・あの村で暮らしていくのは無理だと思って・・・もし良いならレオくんが居る所で働きながら生活して行きたいです・・・』
二人の返事に踏ん切りがついたのか学園長は一つ、頷くと二人をしっかりと見た。
『分かりました。ベティさんの移住の件はこちらで進めておきます。それと雪菜さん?あなたはSクラスへの編入を希望していますが、その際に試験をクリアして頂きます。これはお兄さんもやった事なので例外はないのでそこは了承してください』
学園長の答えに二人は顔を明るくし大きく頷いた。
『『ありがとうございます!』』
『構いませんよ。二人ともこの学園の生徒の身内ですから』
桐生達Sクラスの面々は一部始終を見ていたので安堵の表情を浮かべた。
『他に何か報告はありますか?』
『いえ、以上になります』
『では、お疲れ様でした。今日はここまでに致しますので各自ゆっくりと休んで下さい。雪菜さんに関してはまだ部屋が決まって居ないので・・・』
『私の部屋で良ければ相部屋でも構いませんよ?』
『そうですか、ではリィムさん。彼女を案内してあげてください』
『わかりました』
報告も終わり、ゾロゾロと学園長の部屋を出る際に桐生だけがピタリと扉の前で立ち止まった。
『皆、先に行っててくれ』
『どうしたの?』
『ん、ちょっと話があるだけだ』
『待つわよ、別に』
『かかるかもしれんからベティちゃんと雪菜に街の案内でもしてやってくれw慣れてないだろうから迷子になっても困るwww』
『そこまで子供じゃありません!・・・もぅ、行こ?ベティちゃん』
『は、はい。では勇人さん、ほんとにありがとうございました!』
そう言ってクラスメイト達と談笑しながら部屋を離れるのを確認すると桐生は再度学園長の部屋に入室した。
『・・・』
『その顔、隠してた事がバレたって顔だな』
『・・・お気付きになられたのですか?』
『まぁまだ疑ってる途中だけどな』
『・・・恐らく、桐生さんの答えで間違いないでしょう』
『なぜ、そんな事を?』
『・・・貴方は一個人と全世界とどちらを守りますか?』
『どういう事だ?』
『・・・』
『・・・どちらも選ぶつもりは無い』
『全部を救うと?』
『全部って言うけどよ、その中には犯罪者とかも居るって事だよな?俺はそんなヤツらのためにこの身体や仲間を犠牲にしたくない。俺は手の届く範囲で助ける。この命に変えてもな。ましてやクラスの奴らや雪菜相手なら死んでも守るさ』
『・・・』
『不満か?』
『いえ・・・貴方らしい答えだな、と』
『褒めてんのか貶してんのかわからん返事だなwww』
『・・・確かに私達学園の者の少数はモンスターの増加の原因やミントさん達の戦争を知っています。ですが全てを伝えた所で行動出来る人間がどれほど居ますでしょうか』
『・・・確かに、言ったら逃げ出すのが半数は居るだろうな。要は死にに行く様なもんだからな』
『・・・』
『それと、さっきの質問となんか関係あんのか?』
『・・・まだあの子が生まれる前・・・ずっとずっと前・・・そう、前回のモンスター大量発生の時になります・・・』
学園長は静かに語り始めた。
『・・・まて、学園長?あんた・・・』
『えぇ、ご察しの通り私は前回の戦争で生き残った者です』

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