異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第25節 新たな脅威

あの日、桐生とミントが図書館の地下から戻るとレイナとミュゼは泣きながら近寄ってきた。その後ろから喜ぶレインとリィム。呆れた様な態度だがどこか安心するベル。
『お前らwwwどんだけwww』
『だって、だって・・・!一番最後になんか凄い敵が居たんでしょっ!?しかもミントの妹だったんでしょ?!』
『あ、あぁ、そうだけど・・・』
『それなのに心配するなって方が無理だよっ!!』
レイナは半分涙を滲ませながら桐生に掴みかかる様に訴えた。
『あ、いや、その、・・・すまん↓』
『ほらほら、レイナさん?もう許してあげましょう?桐生君も謝っていますし』
そう言うとミュゼは間に入りレイナを諌めながら桐生に振り返った。
『でも、レイナさんの気持ちも分かります。・・・大変でしたね・・・。よく、無事に帰って来てくれました・・・』
と、ミュゼも涙を浮かべながら安堵の言葉を零した。
『センセ?とりあえず、報告で・・・。ミント救出、及び瘴気の発生原因の調査と封印、完了したっす』
『えぇ。御苦労様でした・・・。ミントちゃんも無事で良かった・・・』
『迷惑・・・かけました・・・』
『本来なら怒る所ですけど・・・無事だったのでその話は後で学園長に話しておきます。今日はゆっくり休んでくださいね?』
『・・・わかりました』
『さぁ、皆さん。これで全員無事に帰ってきたので今日の任務はこれで終わりです。ゆっくり休んでまた明日元気に学園に来てください』
ミュゼの指示の元Sクラスの面々は寮に向かい帰り始めた。それぞれが戦闘の話で盛り上がり、改善するべき所など話して帰る後ろでミュゼは誰も見たことの無い顔で呟いた。
『ホント・・・御苦労様・・・。貴方達の実力を測るには丁度いい物でした・・・。マスターには後で報告しておきましょう・・・』
小声でそう呟くとミュゼはその姿をまるで最初から居なかったかの様に消した。誰もその姿を見ておらず、その場には静寂が再び訪れた。
ー。
ーー。
ーーー。
『しっかし、疲れたなwww』
『そうだねwwwでもミントも無事だったし、皆も無事だったから良かったよ♪』
『そうそう♪ここで誰かとサヨナラなんて絶対嫌だったしな♪』
『もぅ、レオンさん?不謹慎ですよ?』
『・・・ごめんなさい』
『ミントさんも謝るのはもう辞めましょう?誰もミントさんを責める人は居ませんから♪』
『そうだぜ♪気にするなって♪・・・なんなら俺とデー・・・』
ゴスっ!ゲシッ!ドコォッ!
『がっ!?ぐっ!?ぐぇっ!?』
レオンが言葉を発する前にレイナ、リィム、ベルによって3連コンボを決められたレオンはその場にうずくまった。その姿を見てミントも安心したのかクスクスと笑い始めた。
『でも厄介ですね・・・。ミントさんの妹・・・エヴィーさんでしたか?後、マスター、契約、世界を決める戦い・・・。モンスター大量発生の裏側にそんな事情があったなんて・・・』
その言葉に全員が沈黙する中ベルが言葉を続けた。
『でも桐生?あんたそんな相手によく勝ったわね?』
その視線には何か隠し事があるのではという疑問の眼差しが込められていた。
『いや?ギリギリだったさ。召喚されたお陰かなんとかなったけど、向こうが余裕ぶっこいてたのが正直勝てた理由だな』
地下での戦闘の後、契約については皆に伏せておこうとミントと話し合って決めたのだ。皆がこの世界を救う為に頑張っているのに自分だけ特殊な立場になってしまったと告げるのは出来ない判断の元だった。
『・・・ふーん、ま、いいけど。じゃ、私はこれで。』
『帰らないの??』
『帰らないわよ。まだ勉強の途中だし。こんな実力じゃ世界なんて救えない。・・・桐生なんかに助けられたくないから』
そう言うとベルは睨む様に桐生を見た。
『あんたには負けない。少し実力が上だからって調子に乗らない事ね』
『・・・調子乗ってないけど、まぁいいか。ガンバwww』
『・・・ちっ』
そう舌打ちをするとベルは踵を返し図書館に戻るのだった。
『ベル、なんかピリピリしてる・・・』
『今回の任務で思う所があったんだろうよ。ま、気にするなwww』
『うん・・・』
レイナと桐生が話しているとリィム達は先に歩いており後ろを追い掛けるように後を追うのだった。
ベルと別れ、一行は寮へと向かう途中、見知った顔が目の前に現れた。
『これはこれは・・・どちら様かと思えば桐生君御一行様ではないですか。今お帰りですか?』
仰々しく頭を下げながら挨拶をするリコルに一同は面倒臭い奴に会ったと顔を顰めた。
『リコルさん、怪我の具合はどうですか?』
その中でリィムは怪我をしたリコルを心配する様に話し掛けた。
『・・・ふん、この程度どうという事ではないさ。もっとも、相手を傷付ける事しか出来ない奴を相手にしたのだから仕方ないと割り切れる僕の器を褒めていただきたいものだね』
リコルはそのビックな態度で桐生の事を一瞥した。
『そんなひでーやつが居たのか?お前も大変だな。あんまり余計な奴にまでちょっかい出すなよ?返り討ちになるんだからwww』
と、桐生はなんの事か分からない風な話し方をしながら嫌味MAXでリコルに返した。
『ちっ!白々しい・・・。貴様のお陰で僕の腕は怪我をしたのだとハッキリ言って欲しいのか?!』
『俺の?なんで?模擬戦で囲まれてやむなく起きてしまった事故を他人のせいとかwww器が知れるwww』
『ちょ、ちょっと勇人・・・っ!!』
『おいおい・・・』
レイナとレオンが一触即発の雰囲気にオロオロしながら桐生を止めようと近寄った。
『大丈夫だってのwww俺、弱いものいじめとか嫌いだからwww』
その言葉がカンに障ったのかリコルは顔を真っ赤にして桐生の胸倉を掴みあげた。
『お前!!いい加減にしろよ!?僕を誰だと思っているんだ!?その気になれば・・・』
『『父上に頼んでこの街から追放してやれるんだぞ!』ってか?・・・前も言ったの忘れたか?そんな事したらどうなるかそのちっさいおつむで考えれないのか?召喚された、しかも実力は折り紙付き、学園の生徒とも良好な関係、教師からも信頼を貰え、あまつさえ今回の任務で成績も残したそんな俺を追放したその父上様の信頼はどうなるか、考えれませんか?お前の自己満足で街の信頼を無くしたお前の家はどうなるかね?最悪追放、良くて信用無しのただの金持ち。一生そんなレッテルが付いて回るのを覚悟でやれるならやってみろよ』
桐生がそこまで畳み掛けるとリコルは悔しそうにその掴みあげた胸倉を離した。
『くそっ!くそっ!お前なんかがここに来たせいで・・・!』
リコルが駄々っ子の様な態度を取ると、呆れたのか桐生は帰路に向かい始めた。
『そんな悔しかったらストーカーしてないで自分の技術でも磨けw世界なんて簡単に救えるって俺の前で言ったの忘れたとは言わせねーぞ?』
捨て台詞の様に吐き出して桐生はその場を後にした。他の面々はそんな桐生とリコルを見ながらも帰路に行く桐生の後を追うのだった。
『許さん・・・!絶対にお前だけは殺してる・・・!絶対だ・・・!この手でお前の腕を、首を、足を、全てを切り落としてから苦痛の中殺してやる・・・!』
もはやそこには憎悪だけの塊となったリコルだけが残されていた。そんなリコルは気付かなかったのだろう。背後に忍び寄る影に気付いた時は既に目の前に現れていたのだった。
『な、なんだ!?お前は!?』
『・・・随分と憎まれてるな・・・そんなに彼が憎いか・・・?』
『・・・あぁ!殺してやりたいほどにな!僕はアイツが現れてから不幸な事ばかりだ!あんな奴が居るからレイナは僕から離れてしまった!本当は僕の傍に居たい筈なのに!くそっ!くそっ!』
『おやおや・・・可哀想に・・・。では貴方には復讐を果たす機会を与えようではないか・・・』
『そんな事出来るのかっ!?』
『簡単な事だ・・・』
『・・・詳しく教えろ。それが成功した暁にはお前には好きなだけ褒美をやろうじゃないか!この際貴様が誰かなど些細な問題だ』
『その大きな器に感謝する・・・第三王子リコル・・・』
リコルと謎の男は深い闇の中で桐生を殺す算段を立てるのだった。

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