異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第24節 契約

桐生達が地下にてエヴィーと戦闘が始まろうとしている頃、地上では・・・。
『アイツら大丈夫かな?』
『どうでしょう・・・。でも桐生君も居ますし、何とかなりそうですけど・・・』
『でもお二人が無事で何よりでした・・・。私もう心配で心配で・・・』
『大丈夫ですよミュゼ先生♪無茶な事はしない様に進んでましたから♪』
『そーっすよ♪それに俺と勇人のコンビは息ピッタリだったんすから♪♪』
『それならいいんですけど・・・』
と、先に戻ったリィムとレオンは入口で待っていたミュゼと合流していた。リィムは瘴気に侵されたがミュゼが迅速に対応した為もう出発前と同じ迄には回復していた。
『に、しても色々ある図書館だな・・・』
『ですね・・・。瘴気は勿論ですけど逆召喚のトラップもあるなんて・・・』
二人は情報を交換しようと何があったかを話していた。すると、その前方に眩い光が現れ始めた。
『な、なんだっ!?』
『こ、これは逆召喚の光?!』
リィムが即座に結界の魔法を発動しようとしたが、その光の中から現れたのは同じく図書館に進入したベルとレイナだった。
『っと、と』
『・・・ちっ』
二人が現れた事に驚いていたが即座に近寄り安否を確かめた。
『お二人共大丈夫ですかっ!?』
『お前らだけかっ!?』
『ち、ちょっと二人とも?落ち着いてください!ベルさんもレイナさんも困ってしまいますよっ!?』
ミュゼが諌めると二人は距離を取り深呼吸をして改めて聞く体勢になった。
『もしかして・・・』
『・・・えぇ。逆召喚で飛ばされたわ。危なく空の上に飛ばされる所だったけど。』
『勇人のおかげだね・・・』
レイナはそう呟くと振り返り図書館の地下へ行く道を眺めていた。
『・・・』
『・・・見てても仕方ないでしょ。とにかく今後の対策も考えなきゃならないから情報交換しときましょ』
『うん・・・そだね・・・』
ベルに促され、レイナは二人に近寄り何があったかを説明し始めた。
『(どうか無事で居てね・・・勇人・・・)』
ー。
ーー。
ーーー。
『うるぅあっ!』
ボンッ!!
『おらぁっ!』
ボンッ!!
桐生は襲いかかるグールを相手に戦闘をしていた。実力差は歴然としておりグールはまるで風船を破裂する様にその頭部を無くしていた。
『くそっ!キリがねーなっ!』
悪態を付きながら桐生はその奥で優雅に佇むエヴィーを睨みつけた。まだまだ余裕なのか欠伸をしているのも見られた。
『ミントっ!大丈夫かっ!?』
『・・・コクっ』
振り向きざまにグールをまた一つ葬りながらミントの安否を確かめるが、ミントもまた召喚したゴーレムで戦っていた。その表情は大丈夫そうだが、長引くとマズいと思える様子だった。
『これじゃいずれこっちが参っちまうな・・・』
桐生は一旦距離を置き、ミントの横まで後退した。
『もう終わりですの?随分と諦めが早いんですのね♪』
そう言いながらエヴィーはクスクスと笑いながら語りかけてきた。
『・・・別にまだ諦めていねーよ』
『そうですか?随分と余裕が無さそうですけどもね♪』
『・・・』
『ほらほら♪姉さん?諦めてその人と契約して下さいな♪そうしたら少しは勝てる見込みが出てきますわよ♪♪』
『・・・』
『全く、強情ですわね・・・。そろそろ終わりにしようかしら・・・』
その言葉通りなのか先程迄とは比べ物にならない魔力を集め始めたエヴィーは桐生達を見て冷ややかに伝えた。
『ではこれが最後の攻撃に致しますわね。もう飽きてしまいましたので。・・・さよなら、もう一人の桐生さん♪そして姉さんも♪』
そう告げると魔力は風となり桐生達を切り刻み始めた。カマイタチに似た物だがその威力は段違いの物だった。そしてその中でも目で見える程に巨大なうねりを見た瞬間・・・。風が止んだ。エヴィーが眉をピクリと動かし見ると巨大な結界が桐生とミントを包んでいた。
『・・・今なんて言った』
『・・・』
『今、なんて言ったか聞いてんだよっ!』
『なんて・・・?言いましたっけ♪?』
『・・・答える気がねーなら直接聞いてやる』
と、言った直後、桐生の姿は誰の目にも止まることなくエヴィーの背後に現れた。
『・・・っ!?』
『だりゃっ!!』
桐生がエヴィーの背後から拳をフック気味に繰り出すと回避が間に合わなかったのかエヴィーに直撃した。
『・・・がっ!?』
短い悲鳴と骨の折れる音が響く中、エヴィーはそのまま飛んでいき本棚の中に激突した。
『今こそ甦れ、大地の咆哮よ。その雄叫びで地を裂き全てを飲み込め。グランドパニッシャー!!』
桐生が魔法を発動すると地面が揺れ、続け様に地割れが起こりグールやエヴィー諸共その裂け目に落としていった。と、同時に裂けた地面は元に戻り辺りには静寂が訪れようとした刹那、結界を張ったのだろうかエヴィーはその汚れた姿で再び現れた。
『・・・い』
『・・・』
『許さない・・・!私の服をこんなに汚してくれて・・・』
『答えないお前が悪い。もう一度喰らうか?それとも答えるか?』
『・・・それなら教えてあげますわ。・・・貴方、妹がいらっしゃいますわね?』
『それがどうした』
『・・・この世界に呼ばれたのは貴方だけでは無いという事を理解していますか?』
『ま、まさか・・・?!』
『言いましたよね?この世界の理を決める戦いを姉さんとしている、と。それなのに私はモンスターだけを使うなんて不利な状況を作るわけないですわよね?』
『・・・』
『残念でしたわね♪貴方は姉さんに召喚されましたけど、私は貴方の妹を召喚しましたの♪・・・兄妹で生死をかけた戦いが出来るなんて最高ですわね♪』
『・・・てめぇ』
その言葉にミントは納得がいってしまった。ミントが召喚しようとした時に話したのは桐生の妹だったのだ。だが自分の魔力不足により時を同じく召喚したエヴィーに引っ張られてしまった。そこでなぜ兄である桐生がミントの方へ来たのかは不明だが、確実に分かるのは自分の不甲斐なさで召喚は失敗していたことだった。
『雪菜になんかしたらてめぇは地獄を見せてやる』
『あら?心外ですわね。私のマスターに酷い事をすると思って?この戦いが終われば彼女は返してあげますわよ?・・・まぁ、その結果貴方は死ぬ事になりますけど♪♪』
『・・・ちっ』
『アハ♪今の貴方の顔、最高ですわ♪その絶望に堕ちた顔こそ見たかった表情ですわ♪・・・姉さん、もう諦めて死んでください♪勝てないのが分かりましたよね?』
エヴィーは次こそ当てるつもりなのかミントに照準を付けるように構えた。
『そうはさせねーよ』
桐生がその間にまたしても入り射線を遮るように構えた。
『ホント・・・しつこい人は嫌われますわよ?』
『生憎とやられっぱなしは性にあわなくてな』
桐生はそう言うとエヴィーに対して構えを取った。
『・・・』
『なぁミント?』
桐生はミントだけに聞こえる様に話しかけた。
『契約って俺でも可能なのか?』
『・・・出来る』
『なら契約しないか?このままじゃこっちもやられちまうし、俺も雪菜を救う事が出来ないのは嫌だ。それに、こいつをそのままにしてたら更に被害が出ちまう』
『でも・・・』
『分かってる。ホントは戦いたくないんだろ?姉妹だもんな。・・・安心しろって。命を取るまでするつもりもないしどうにかなるって思うから♪』
『・・・』
『信じろ。いや、信じて欲しい・・・かな?過去にどんな辛い事があったかは分かんねーけど、絶対そんな辛い思いはさせないって約束する』
『・・・(コクっ)』
『ありがとな♪』
二人はそう話し終わるとエヴィーを見据えた。
『別れの言葉は済みましたか?では・・・さようなら♪』
その言葉をきっかけにエヴィーは魔法を発動した。先程の風の魔法よりも更に強力な風を生み出し、もはやそれは台風を凝縮した物と言える魔法を打ち出した。だが・・・。
『我、神の名の代弁者。汝、代弁者の剣となる者。盟約に従い、共に契約を此処に誓い、数多の敵を討ち滅ぼさん・・・。魂を刻みし名を述べよ・・・桐生、勇人!!』
エヴィーが魔法を打ち出す前にミントは契約の呪文を唱えていた。発動と同時にエヴィーの魔法が当たる所だったが、桐生はその魔法を素手で受け止め、・・・握り潰した。
『まさかっ!?』
エヴィーが驚愕の表情を作った直後、視界から桐生が消え、エヴィーの懐に潜り込んでいた。
『吹っ飛べ!絶波、裂傷撃!!』
桐生は拳に気を練り込み、その一撃をエヴィーの下腹部にめがけて放った。拳が触れ、飛ぶかと思ったが、エヴィーは飛ばなかった。が、気を練りこんだ為、外部の攻撃ではなく内部からの攻撃に特化した一撃の為エヴィーはその場で崩れ落ちた。だが、桐生の攻撃はまだ終わっていなかった。気を練り込むのと同時に魔法も拳に固定していたのだ。属性は風。崩れ落ちたエヴィーは不自然に浮き上がりそのまま後方に飛んで行った。
『ふぅぅぅぅ・・・!』
深く息を吐きながら桐生は気を集中していた。
飛ばされたエヴィーは本棚の中でこの世のものとは思えない叫びを上げて苦しんでいた。
『ああああああ!!!!がっ!?ぐっ!!?』
吐血し、吐瀉物を出しながらも必死に抗っていたが、桐生の一撃はダメージが強かったのだろう。一向に回復する素振りは無かった。
『な、なにを・・・したの・・・?!!貴方っ・・・!』
苦し紛れにエヴィーは桐生を睨みつけ叫んだ。
『お前が契約契約うるさいからお望み通り契約してやったよ』
『なっ・・・?!』
『これで満足だろ?・・・まぁ殺すつもりはないから逃げるなら今日の所は見逃してやるよ』
エヴィーはギリギリと歯噛みしながら桐生とミントを睨んだ。ミントはその視線を真っ直ぐに受け止めた。
『・・・そう。だったらもう遠慮は不必要ですわね・・・』
回復はまだ追い付いていないがどうにか立ち上がるとエヴィーは静かに笑い始めた。
『今の一撃・・・覚えましたわよ・・・。桐生勇人。次は貴方の大切な方と参りますので・・・覚悟していて下さい』
そう言い残すとエヴィーの周りに白い光が舞い始めた。恐らく逆召喚で逃げるのだろうと察した桐生は深追いせずにただ、その姿を見ていた。
『では、またの日にお会いしましょう、姉さん。』
その言葉と同時にエヴィーの周りにある光は一層輝き出し、視界が戻るとそこにはエヴィーの姿は無くなっていた。
『・・・ふぅ、終わったな』
『・・・ありがとぅ///』
『ん?』
『あの子を殺さなかったから・・・』
『ああ、流石にモンスターとは違うからな♪・・・それに、たった一人の妹なんだろ?・・・アイツも救ってやらなきゃな・・・。』
ミントはつい先程まで居た妹を思いながら消えた場所を見ていた。
『さ、この悪趣味な魔法陣を消してみんなの所に帰ろう♪流石に疲れちまったwww』
『・・・うん♪』
そう答えるミントは今まで見ることのなかった笑顔であり、柄にもなくドギマギしてしまった桐生は明後日の方向を見て誤魔化していた。
『(ヤバっ!少女の屈託のない笑顔とか!?・・・もうお腹いっぱいdeath・・・www)』
そんな事を考えて居た桐生は自分の妹の問題は帰ってから考えようと思って魔法陣の撤去に精を出すのだった・・・。

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