異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第22節 目的達成?

トラップによりレオンを失い(死んではいないが)三人となった桐生達はミントを探すべく更に奥まで進んでいた。モンスターの死体は徐々に増え、その激戦を物語っていた。
『ミント、大丈夫かな・・・』
レイナはモンスターの死体を見ながら呟いた。それもそのはず。先程までのモンスターの死体よりも増えていたのだ。
『魔力的にももう限界ね・・・無事でいてくれたらそれでいいわ』
ベルもレイナに同調したのかその隣で慰めるようにつぶやいた。
『おい、ちょっと待ってくれ』
と、急に桐生はモンスターの死体を触り始めた。
『どうしたの?』
『こいつ・・・まだ暖かい。さっき死んだのかもしれないな』
桐生はモンスターから離れると奥に目線を向けた。その先は闇の様に暗くて何も見えないと思っていたが小さく光る物が見えた。
『なんか光ってるな・・・』
『こんな瘴気が湧いてる所で光・・・?』
『行けばわかるでしょ。さっさと行きましょ』
ベルがその方向へ向け歩き出したのを追い掛けるように二人は歩き出した。奥に進んでいくと次第にその光はチカチカと瞬きをする様になり、音も響くようになってきた。
キンっ!・・・キンっ・・・!!
『なんの音だろう・・・』
『・・・』
『・・・っ!?いたっ!ミントが戦闘しているっ!』
最初に気付いたのは桐生だった。閃光のように光る瞬間、ミントの様な人が居るのを見逃さなかった。三人は即座に走り出し、音のする方へ駆け寄った。
『・・・くっ』
『ゴォォォォォ・・・』
『グルルルルルルル・・・』
その光景はまさに絶体絶命のピンチだった。ミントは周りをグールやウルフに囲われ、為す術もない様な状況だった。
『・・・邪魔』
威圧的に言葉を発するがモンスター達は気にせず目の前に居る餌に飛びかかろうと構えていた。だがその状況を打開する様に桐生達は背後から号令をかけた。
『レイナっ!ミントの護衛に!ベルっ!魔法で奴らをミント達から離すぞっ!』
『了解っ!』
『ふんっ・・・!言われなくてもっ・・・!』
レイナが風のようにモンスターの間をくぐりミントの前に立ちはだかり、桐生とベルは魔法を発動した。
『雷よ、閃光の如く敵を撃ち貫け!ライトニング!!』
『我が名によりいでよ、雷の王よ!インフィニティストーム!!』
ベルと桐生の魔法が発動するとその場に居たモンスターの上空から雷の雨が降り注いだ。モンスター達はなす術もなく次々と雷の餌食となり、残ったモンスターは居なくなった。
『・・・ふぇ?』
いきなり現れたクラスメイトに驚いたのだろう。ミントは変な声が出てしまった。
『もう大丈夫だよ、ミント♪』
レイナが振り返りながらミントにそう告げると緊張が無くなったのかその場に座り込んでしまった。
『だ、大丈夫っ!?』
レイナが心配してその場に膝を折るとベルと桐生も近寄ってきた。
『・・・ったく。心配かけんじゃないわよ』
『そー言うなって、無事だったんだから良いじゃないか♪ミント、怪我してないか?』
桐生がそう聞くとミントはふるふると首を振った。見た目は埃などで汚れていたが特に目立った怪我も見えないので桐生は魔力譲渡を施したベイクを取り出しミントに渡した。
『・・・?』
『食べな♪疲れてるなら甘いのとった方がいい♪』
桐生が促すとミントは小さな口でモグモグと食べ始めた。
『・・・(やば、めっちゃ尊い・・・!!)』
思わず頭を撫でたくなりそうな気持ちを抑え、桐生は周りを見回した。
『まだ先があるのか・・・』
独り言で呟いたつもりだったがベルとレイナもその先を見据えていた。
『学園の下にこんな所があるなんて・・・』
『・・・』
二人が何を考えているかは分からなかったがその先は更に瘴気が濃い様な所だった。
『・・・行かないと』
ミントはベイクを食べ終わると立ち上がり桐生を見た。
『・・・』
『?どした?』
『魔力・・・あ、ありがと・・・』
『あ、あぁ♪気にしなくていいぞ♪』
桐生が答えるとミントはペコッと頭を下げ奥に向かおうとした。
『ちょ、ちょ、ちょっと待て!まだ奥に行くのか?!』
『・・・?』
『ここまで大変だったろ?逆召喚で送ってやるから後の瘴気の問題は俺らに任せてゆっくり休めってばよ??』
桐生が慌ててミントを引き止めるが、その目は帰るつもりが無いようだった。
『ねぇ。帰らないなら一緒に行けばいいじゃない』
そう切り出したのはベルだった。
『ベル?!』
『だってこの子、帰るつもり全くないわよ?それに私達もこの瘴気の原因を探らなきゃならないし、封印もしなきゃない。メンバーも減ってるからここで回復したのなら連れてっても問題ないでしょ?』
桐生はその答えに悩むとレイナを見た。レイナは桐生とベルとミントをそれぞれ見ると自分の意見を話し始めた。
『私もそれに賛成かも・・・。またミントが無理しちゃうぐらいなら私達でサポートしながら進んだ方がミントも安心だし、私達も安心だから・・・』
桐生は二人の意見を聞きながらミントに対して一つ約束を守る様に告げた。
『んじゃ、ミントはこれから俺らと一緒に行くけど、一人でやろうとしないこと。それだけ守ってくれ?じゃないとミントだけじゃなく皆が危険に晒されるからな?』
桐生が提案したことにミントは理解したのかコクっと頭を縦に振り答えた。
『んじゃま、ミントも無事見つかったし、今度は瘴気さんが出てきた原因探しながら封印してくか!』
新たにミントが加わった四人は更に奥へ続く道を進み始めた。

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