異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第21節 不幸の続き

リィムを逆召喚で送った後、桐生達は更に奥まで進んでいた。その途中何体かのモンスターと戦闘になったが、脱落者もなく順調に進んでいたが疲労が溜まってきただろうと小休憩を挟むことになった。
『・・・ふぅ。大丈夫か?』
『う・・・ん。・・・まだ奥に続くの・・・?』
『だなぁ・・・はぁ、俺も流石に疲れてきたぜ ︎ ︎』
『・・・』
誰もが疲れたのだろう口々に疲労を呟いていた。その中でも特に疲労していたのは・・・。
『ベル、大丈夫か?』
『・・・なによ』
『いや、疲れてないかって』
『疲れてるわよ・・・』
『魔力量はどうだ?』
『別に・・・』
『・・・やれやれ・・・』
疲労からなのか元からなのかベルの態度は褒められたものではなかった。それにカンに触ったのかレイナは立ち上がるとベルの前まで歩いてきた。
『・・・なによ』
『そんな態度ないと思う・・・皆疲れてるのに勇人に当たるのは間違いだと思う』
『別に当たってないわよ』
『当たってるよ。現に私にもそんな態度取ってるじゃない』
『しつこいわね・・・疲れてるの。ほっといて』
『ほっといてもいいけど次の戦闘の時にそんな状態で連携取れると思わない。絶対この中で誰かが学級長みたいにリタイアしちゃう。それでもいいの?』
『なによ?私のせいでリィムが倒れたっていうの?』
『そうじゃなくて・・・っ!』
二人が険悪な態度になってきた時に桐生は近寄り手をパンパンと叩いた。
『待て待て、二人とも。今は喧嘩する時じゃない。態度がどうであれ目標を見失うな。今頃ミントは一人で奥に居るんだからまずは助ける目標を考えような?』
桐生が仲介すると二人は顔を合わせずそっぽを向いていた。
『・・・はぁ。レオン、ちょっとこい』
『んぁ・・・?』
『よし、ここいらでなんか食うか♪戦闘ばっかで疲れただろうから甘いものでも食べようぜ♪』
『『『・・・はぁ?』』』
三人は突拍子もない発言に頭が回らなかった。
『何食うかな・・・♪あ、お前らのもあるから安心しろよ♪』
『ちょ、ちょっと待ってよ勇人?!なんで今のタイミングなの?!』
『そうだぜ?!しかもそんなもの何も準備してなかったじやねーか?』
『・・・空間魔法、アイテムボックスね・・・』
『ベル、せいかーい♪♪ちょっとしたおやつでもって思ってここに入る前にボックスにちょこっと入れといたんだよ♪♪』
そう言うと桐生は空間魔法を発動してアイテムボックスを漁り始めた。
『元の世界と同じものがあったから助かったぜ♪部屋の準備してる時に見つけたから買っておいたが今役に経つとはね♪何が起きるか分かんねーもんだな♪』
そう言うと三枚の板のようなものを取り出し全員に配った。
『これって・・・?』
『ん?なんだこれ?』
『・・・』
『露店で売ってたけどベイクってお菓子らしい。味は俺の元の世界で売ってたチョコって奴と同じだから甘いお菓子だな♪・・・そして更に・・・♪』
桐生は手渡したベイクにスキルを発動した。スキルはーー。『魔力譲渡』。対象に対して自分の魔力を渡すスキルだ。
『さぁ、これで準備は終わりだ♪食べろ食べろ♪♪』
桐生に唆され三人は恐る恐るベイクを口に入れた。するとーー。
『・・・うまっ!!』
『・・・甘い・・・♪♪』
『・・・ふん・・・気が利くじゃない』
三人は最初は恐る恐るだったがその甘さに心を許したのか黙々と食べ始めた。先程までの険悪な雰囲気はその場になく、穏やかな雰囲気が流れていた。そしてスキルが発動する。
『『『えっ!?』』』
三人はその場に立ち上がり自分の身体の異変を感じた。戦闘で使っていた魔力が回復していたのだ。それもほぼ全回復までに。
『あんた何したのよ』
『ん?皆魔力切れだっけから俺の魔力を分けてみた♪大丈夫だ♪渡したとしても俺の魔力全然減ってないからwww』
『凄い・・・身体がすごく楽になったよ ︎ ︎』
『あぁ・・・!これだったらまだまだ行けるぜwww』
『・・・ふ、ふん。無駄に使って。後で無くなっても知らないからね!?』
そう憎まれ口を叩きながらも桐生だけに見えるように小さく『ありがと・・・』と言っていたのを見ることが出来た。
『あの・・・』
『・・・』
『さっきはごめんなさい!私も疲れてたのか小さな事でイライラしちゃって・・・ホントにごめんなさい!』
『別にいいわよ・・・私も悪かったんだし・・・お互い様って事でいいんじゃない?』
『いいの?』
『悪かったわよ・・・///』
そんな二人のやり取りをレオンと桐生はニヤニヤとしながら見ていた。
『百合だ・・・www』
『百合ですね・・・www』
『分かるのかwww?!』
『当然じゃないかwww・・・兄弟www』
二人は互いに手を取り合い何かの友情が生まれていた。その光景にベルとレイナは白い目で見ながら合わせて『キモ・・・』と呟いていた。
ー。
ーー。
ーーー。
小休憩を挟んだお陰かそれ以降の戦闘は楽にこなすことが出来た。ベルとリィムの関係も険悪でなくなったので連携はスムーズに取れていた。
『ごめんっ!討ち漏らしたっ!』
『任せろっ!ベル嬢っ!援護頼むっ!』
『もう詠唱してるわよっ!』
三人の連携は当初に比べ格段にレベルが上がっていた。桐生も加護で結界を貼りつつも前線に立ち、モンスター相手に猛威を奮っていた。
『あいつらだけにいい格好させられねーなwww・・・しゃあ!行くぜぇっ!!』
その光景を横目に見ながらベルは考え事をしていた。
『・・・(あいつ・・・魔力を渡したとか言ってたけど全然余裕じゃない・・・ホント、規格外な存在ね・・・)』
ベルが物思いに耽っていた為、後方からの気配に気付くのが遅れた。
『(後ろっ!?この距離はまずいっ!)』
咄嗟に前方に向け回避行動を取るが間に合わずその攻撃を受けてしまった。
『きゃっ!?』
小さく悲鳴をあげたが思いのほかダメージがない事に疑問を持ちつつその場に立ち上がると横を颯爽と駆ける存在がいた。
『てめぇ、後ろからとか卑怯だぞっ!』
レオンが駆け、モンスターを倒すまで時間はかからなかった。倒すとレオンは小走りにベルまで近寄ってきた。
『大丈夫かベル嬢?』
『問題ないわ。早く持ち場に戻って』
『大丈夫そうだなwじゃ、行くわ』
レオンはサラッと受け答えると持ち場に戻ろうと1歩を踏み出した瞬間、カチッっとスイッチを入れた様な音が響いた。
『?なんだこれ?』
レオンがその音の原因を探ろうとして屈むと突然レオンを囲む様に光が現れた。
『お、お、お?なんだこれ?!は、勇人っ!?』
レオンが桐生を呼ぶとその異変に気付いたのか即座にレオンまで駆け寄った。
『なんだこれ?!ダメージはあんのか?!』
『いや、特には・・・ただ、出れねぇな!おい、なんだよこれ?!』
二人が謎の現象を探ろうとしているとどこからか声が聞こえてきた。
『・・・強制転移発動・・・転送先を選択してください・・・』
その声が聞こえたのか最後のモンスターを倒したレイナも近寄ってきた。
『これなに?!』
『・・・まさか、これって・・・』
ベルはその光景に思い当る節があるのか光の柱を見ていた。
『分かるのか?!』
『多分、ダンジョンとかで設置されてる強制的に帰還させる古代のシステムね・・・転送先は自分で決めれるはずだけど・・・』
『帰還?!じゃあレオンは・・・?』
『恐らく転送しなきゃならない・・・』
全員がその場で沈黙になってしまった。現状からレオンが抜ける損害を考えてしまったからだ。
『・・・しゃーねーはな。こればっかりは』
切り出したのはレオンだった。その表情は諦めが見えていた。
『皆、すまねぇな。この先俺は一緒に行けねーわ。先に帰って学級長の様子でも見てくるさ』
レオンはそう切り出すと桐生に向けて視線を送った。
『勇人・・・』
『あ、あぁ・・・』
『言いたいことは分かるな・・・?』
『任せとけ。死ぬわけじゃないから安心はしてる』
『いや、そっちじゃなく・・・』
『・・・?』
『俺が居なくなったからってベル嬢やレイナっちに手ぇ出すなよwwwwww?』
『やかましぃっ!!早く行けwww!!』
『wwwwww!・・・まぁ冗談はこんぐらいにして、必ずミントちゃん助けてこいよ?』
『任せろ』
『んじゃま、転送されますわwww・・・行先、図書館入口まで』
レオンが行先を発すると光の柱は輝きを増した。
『・・・転送先、了解。図書館入口。』
声が響くと更に光が増しレオンの姿は見えなくなった。光が収まっていくとその中に居たレオンの姿は無くなっていた。
『また、居なくなっちゃった・・・』
『・・・こんなトラップもあるなんて・・・』
『・・・気を付けよう。こっから先誰かが欠けてもミントを助ける確率は下がっちまう』
三人はそれぞれが事の重大さを理解したのか険しい表情になっていた。ここまでかなりの距離を進んだのでもう少しでミントに追い付けると信じて歩みを進めるのだった。ーーー。

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