異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第18節 二人目の召喚者

リコルとの一件もあり、午後から暇になった桐生は学園の敷地をレイナと散歩していた。未だに施設関係が分かっていない桐生を案じたレイナが連れ出したのがきっかけだった。周りからはデートだ逢い引きだと冷やかされ、レイナは照れながら否定していたが満更でもない様子だった。
『(まぁ俺も満更じゃないんだけどなwww初デートが可愛い子なんで俺の人生捨てたもんじゃ・・・あ、1回捨ててるかwww)』
と、心で考えながらもレイナとの散歩を楽しむ桐生であった。
『ここが図書館だよ♪魔法関係の書物とかいっぱいあるし個人的に勉強したい人とかはよく通ってるね♪』
古ぼけてはいるが立派な雰囲気をだす建物を見ながらレイナが教えてくれた。
『でけーな・・・かなりの蔵書量じゃないか?』
『うん、確かに凄い量だった。ベルの話だと全部わかる人は居ないんじゃないかって話だし・・・。』
『だよな』
『あ、でも1番詳しい人なら知ってるよ♪?』
『誰だ?ベルか?』
『うぅん?ミントだよ♪』
『あのちみっ子がwww?』
『それ、あの子に言ったら怒るよ?・・・でも、うん。彼女が一番ここを把握してる♪』
『なんでまた?』
『彼女召喚士だから授業とかないのね?だから暇だから召喚の塔にいるかここで本を読んでるんだって。多分わかんない事ないんじゃないのかな?』
『マジか・・・恐るべき女ミント・・・www』
『そんなあだ名付けなくてもwww』
二人はそんな話をしながら図書館に入っていった。中に入ると本の独特の匂いが部屋中に篭っており幾人かの生徒が静かに勉学に勤しんでいた。
『ヒソヒソ・・・(ここじゃ静かにしてね?皆から怒られちゃうから)』
『ヒソヒソ・・・(分かってるよ、そこまでガキじゃない)』
そんな話をしながら中を見て歩いていると隅にある角の机で勉強している生徒に目がいった。
『(ベル・・・だったか?)』
その視線の先には静かに勉強しているのであろうベルの姿があった。今日の課業は剣士と加護の授業のはずなので自習しているのではあるが・・・。
『(真面目だな・・・しかしなんだか様になってるな)』
そう感じた桐生は邪魔をしては行けないと思いその場を静かに去ったのだった。
ー。
ーー。
ーーー。
桐生達は図書館を後にすると次の場所まで再び歩き始めた。
『次は・・・召喚の塔に行ってみようか?』
『おう、どこでもいーぞ♪』
二人は召喚の塔を目指し歩き始めた。場所までは既に塔が見えているので迷わずすんなりと着くことが出来たが桐生は確認をとった。
『そこにはミントがいるんだよな?』
『多分ね?さっき図書館には居なかったから居るとは思うけど・・・何かあったの?』
『いや、この世界に呼ばれたならとりあえずお礼でもと思ったけど・・・なんか引っかかるから聞きたいことがある』
『そうなの?』
『あぁ・・・まぁ着いたら話すからいいや』
そう話すと桐生達は召喚の塔に入っていった。中に入ると特にめぼしいものはなくただ螺旋上の階段が続いているだけだった。
『結構高いな?』
『うん、でも上まで行くと見晴らしが良くて私は好きな所だよ♪』
レイナが楽しそうに話しながら階段を登り始めたので桐生も後に続いた。最上階まで行くと確かに周囲が見渡せる様に吹き抜けになっており風が優しく吹いていた。地面にはなにやらよく分からない模様が書いていたが恐らくこれが召喚する時に必要な魔法陣なのだと桐生は理解した。
『ミントー?いるー?』
レイナが声をかけ周りを見渡すとちょうど反対側の吹き抜けの窓から景色を見ているミントを発見した。二人に気付いたのかミントは振り返るとペコっと頭を下げまた景色を見始めた。
『やほっ♪今日はどこを見てるの♪?』
『山・・・』
『そっか♪景色いーねー♪私も隣座っていい♪?』
ミントは答える代わりにシートの様な物を自分の隣に引いてあげた。
『ありがと♪勇人も座る?』
『いや、俺はここでいい』
『そう?じゃ遠慮なく・・・♪』
三人はしばらくその景色を見ていた。周りには街や山、城などが見え、遠くには川がキラキラと反射しながら流れているのを見る事が出来た。
『確かに景色はいーな♪』
『でしょ♪?好きなんだー♪こうやって静かに見てるの♪』
『・・・どうしたの?』
ミントは何故この二人がここに来たのか理由を聞きたいのか簡潔にまとめた疑問を聞いてきた。
『あ、ごめんごめん!今日は勇人を案内してたんだけど、勇人はミントに聞きたいことがあるんだって♪』
『・・・?』
『ん?あぁ、そうだな。とりあえずこの世界に呼んでくれたのはミントだって言うからお礼しようかなってさ』
『?』
ミントは『なんでお礼?』と言わんばかりの顔をして頭を傾けた。
『呼ばれなきゃこんな景色を見ることなんか出来なかったしレイナやミントに会えなかったからさ』
そう言うとミントは照れたのか顔を隠して小さく頭を下げた。
『でもおかしな話だよな?ホントはここに呼ばれるはずだったんだろ?』
『・・・(コクン)』
『でも何がどうなったのか俺は森の中で目が覚めた、と。』
『・・・ごめん・・・なさい』
『いや、謝る事はなんもしてないぞ?おかげでこの世界がどんなとこだってのが簡単に分かったしな♪』
『・・・?』
『じゃあなんでおかしな話なのか?って顔だな?・・・単刀直入に聞くけど召喚する時って別の世界に誰かしら送るのか?』
『・・・(フルフル)』
『じゃあどうやってこの人だって決めて呼ぶことが出来るんだ?』
『・・・念話・・・』
『念話?』
桐生が分からないといった顔をするとミントに代わりレイナが説明をしてくれた。
『あ、それはね?前にミントから聞いたんだけど、召喚される人とミントで情報を交換するんだよね?スカウトするわけだからどんな世界だとかこんな事情だとか』
『ふむ』
『それでオッケーがもらえたら呼んで正式にこの世界に来れるって事♪』
『ち、ちょっと待て?!俺、誰とも話してないぞ?!』
その発言にレイナは驚愕して立ち上がった。
『うそっ!?なんも話してないの?!』
『あぁ。俺は誰とも話してないしいきなりこの世界に呼ばれたんだが?』
二人は顔を合わせた後、ミントを見るとミントは『話したよ?』と言いたそうな顔をしていた。
『どうゆう事だ・・・?』
『ねぇミント?話したって言ってたけどその時に名前聞かなかった?』
『・・・聞いた』
『その人ホントに勇人だった?』
『・・・女の人だった』
その発言に二人はその場で空いた口が塞がらなかった。
『お、俺女だったのか?!』
『んなわけあるかいっ!!』
桐生がボけ、レイナがツッこむと言う珍しい光景になったが二人は疑問しか残らなかった。
『その人勇人じゃないんじゃない?!』
『・・・桐生って言ってた』
『ドコノキリュウサンデスカwww』
『待って待って・・・これやばくない?』
『確かにな・・・。でも力はあるから多分疑われる事はないと思うけどな』
『でもそうなると・・・もう1人この世界に呼ばれてるって事だ・・・よね?』
ミントに確認するレイナだったがミントは『わかんない』と取れる顔をしていた。
『やばくない?』
『多少な?大丈夫だろwww』
楽観視する桐生にレイナは頭を抱えるが、疑問があったのか桐生に向き直って聞き出した。
『ねぇ?勇人が呼ばれた時ってどんな感じだったの?』
桐生は自分が呼ばれた時の事を思い出した。
『俺は・・・会社から帰る時に変な黒い塊が現れてごにょごにょ呟いたら消えたっけな。その後に黒猫が出てきて構ってたらいきなり道路に出てトラック・・・っても分かんねーか?あー、馬車が自動で動くような物だけどサイズはデカい物・・・に引かれそうになったから助けようとしたらこの世界に来てた』
二人は興味津々なのか桐生の話を集中して聞いていた。
『で、あの森に来てたら助けた猫も一緒にいて、そしたら猫が世界を頼むとかこの世界はどーたらとか説明してくれてまた目が覚めたら猫は消えてた。そしたらレイナが来たんだよ』
話終えると二人は目を合わせて何かを考えていた。
『やっぱなんか違うよな?ミントなんて俺は知らなかったし』
『そうだね・・・その猫も気になるけど誰が呼んだのかさっぱり分からないって事は分かったね・・・』
『・・・(コクコク)』
三人は互いにうーんと頭を捻るが解決策は出てこなかった。
『まぁ、そんな気にする程じゃないだろwww』
『そうかもしれないけど・・・』
レイナは心配そうにミントを見た。実際これでミントの召喚は失敗したという可能性が増えてしまったからだ。
『・・・大丈夫・・・』
ミントは自信があるのか力強く頷いて返事をした。
『・・・多分・・・居る・・・』
『居るってその誰か分からない桐生さんが?』
『・・・(コクン)』
『なんで分かるの?』
『繋がり・・・感じる・・・』
『そいつが居るか分かるのか?』
『・・・(コクン)』
そう返事をすると窓に近寄り東の方向を指さした。
『・・・あっち・・・居る感じする・・・』
レイナと桐生はミントが指さす方を見た。特に何も無く美しい景色が広がっているだけだった。
『かなり遠いとこだろうな』
『だね・・・』
『・・・(コクン)』
『そのうち会えるさ♪どこの誰かの桐生さんとよwww』
桐生がそう言って話を切り上げたところで背後から桐生達を呼ぶ声が聞こえた。
『お忙しい中、失礼致します!桐生勇人様、レイナ様、学園長が至急学園長室まで来るようにと伝言を預かって参りました。移動をお願いします』
声はよく見る街の警備兵だった。学園長がなにか話があるとの事だったので二人はミントと別れ駆け足で学園長室へ向かうのだった。

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