異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第17節 衝突

第17節   衝突

ガヤガヤガヤガヤ・・・
昼休憩になった途端にクラスは一気に喧騒に包まれた。ここはSクラスの教室ではなく、剣士クラスの一角だ。なぜここに桐生達が居るかと言うと時間を少し遡ることになる・・・。
ー。
ーー。
ーーー。
『では本日の科目は剣士と加護になります。該当になる人はそれぞれの学級に動いてください。該当しない場合は自習となります』
朝礼に来ていたミュゼはそう言うと朝の挨拶を終わらせた。なぜミュゼが居るかと言うとSクラスの主担当だというのだ。自分の加護のクラスもあるのだが、そちらは副担当が行っているとのことだった。
『あ、ちなみに桐生君は全科目受けてもらいますのでよろしくね♪』
『・・・Why?』
『だって桐生君、全部出来るんだもん。そりゃ全部出なきゃダメよね♪?』
『俺に拒否権は?』
『ありません♪学園長からの通達でちゃあんと来ていますから♪』
ミュゼは自信満々に胸を張り答えた。桐生は初めて自分のチートな能力を恨む事になった。
『ま、まぁ私も一緒だから行こうよ、勇人?』
レイナは哀れみか桐生に声を掛けてきた。
『そうだぞ?俺も行くんだから元気出せよ♪』
レオンは8割ざまぁwwwの感情で桐生に話しかけてきた。
『しゃーねーなぁ・・・』
ボヤきながらも桐生はレイナ達と共にクラスを後にするのだった。
昨日の一件以来、リコルはレイナから距離を置くようになった。周りも昨日の事が噂になったのだろう。話しかけてくる人間が増えたとレイナは喜んで桐生に話しかけてきた。本人曰く『友達と表で話せるなんて夢みたい♪』との事だった。
ー。そして現在に至る。
『れ、レイナさん!ご飯でもどうですかっ!』
『お前抜け駆けはずるいぞっ!?』
『ちょっとそこのモテない奴ら?誰のおかげでレイナと話せるか分かってるの?』
『そうそう♪桐生様のおかげなの分かってるの?』
『レイナは他の男達と食べるみたいだから私達とご飯食べましょー♪?』
レイナとレオンと桐生の周りには人混みが出来ていた。レイナは苦笑いで話していたがホントに嫌そうな感じてはないので放っておくとして・・・。
『俺は今日は先客がいるからごめんよ?』
桐生は済まなそうに女子達に謝罪した。先約などないが一緒にご飯なんか行ったらゆっくり飯も食えないと察したのだ。
『じゃあさ?俺とご飯でもどう?いくらでも付き合うよ♪♪?』
レオンはチャンスと思ったのか俺の目の前に割って入ってきた。
『えー、桐生様が来ないならやだー』
『レオンじゃいらないwww』
『てかレオンそー言ってデートの約束しようと企んでるでしょ?顔、にやけてるよwww?』
女子から痛烈な言葉を浴びレオンは崩れ落ちた。それを見て周りは笑っていたが桐生は憐れむ事しか出来なかった。
『わ、私も先約があるから・・・っ!ご、ごめんなさいっ!』
レイナはとうとう我慢が出来なかったのか断りの返事をすると桐生の後ろまで逃げ、背中を盾に隠れてしまった。
『お、おい!?』
『うー・・・///』
『やれやれ・・・www』
仕方ないと呆れ桐生は声を掛けてきた男子達に謝罪をした。
『すまんな?俺が先約入れてたからよ。断ろうにもここまで話す事無かったからどう話したらいいかわかんないんだろーさ。ま、また今度誘ってやってくれや♪』
桐生がそう説明すると男子達は渋々と諦めて行った。
『はぁ・・・もういいぞ?』
『うー・・・ごめんなさい ︎  ︎』
すごすごとレイナが姿を出すと女子達も諦めたのかその場を離れていった。
『全く・・・せっかく友達と仲良くなれるチャンスなのに何をしとるんですか貴女はwww』
『だって・・・ ︎ ︎ ︎ ︎』
『まぁいきなりだと上手く話せないのも分かるけどな。とりあえず飯にしよーぜ?』
『うん・・・』
『おい、レオン!いつまでしょぼくれてんだwww飯食うぞ?』
『・・・あぃ』
『どいつもこいつも・・・www』
呆れていたが腹の減り具合が勝ったので桐生はそそくさと食堂に向かうのだった。
『・・・くそ』
その背中に向け悪態をつく男を桐生は気付いていなかった。
ー。
ーー。
簡単に昼食を取り、談笑していると午後の鐘がなったのだろう園生達は自分の席に戻り始めた。午前中は剣士としての座学を学び、午後からは実践訓練との事だったのでクラス全員で校庭に向かうのだった。
『さぁって、午後の授業だが・・・』
ジェイクが説明をしようとすると幾人の生徒から模擬戦がしたいと声が上がった。ジェイクは悩む素振りを見せたが口元は笑っていた。
『うし、なら模擬戦すっか♪誰が相手とは決めないから各々やりたい奴と組め!相手が参ったと言うまでならやってもいーぞ♪ただあんまり酷い怪我はするなよ?俺が怒られるwww』
ジェイクはテキトーに言って近くの木陰に座った。監視するつもりだがあれだと寝るのではと思う生徒が過半数だが触れずに対戦相手を探し始めた。
『れ、レイナさん!お願いしてもいいですか?!』
一人の男子がレイナに声を掛けてきた。見た目は普通だがその手には双剣が握られていた。恐らくスピード重視の手数勝負なのだろう。
『うん、いーよ♪よろしくね♪』
レイナは快く申し受けると細剣を抜き対峙した。
『勇人はどーすんだ?』
レオンは未だに相手を見つけない桐生に対して質問をした。周りでは既に戦闘が始まっていたが決まっていないのはごく少数のようだった。
『あー・・・誰でも良いけどなぁ』
『つか、さっきの女子達は勇人に来ないのか?千載一遇のお近付きチャンスじゃね?』
レオンは周りを見ると先程話しかけてきた女子達は仲間同士で組んでいた。
『ありゃ?なんであいつら同士やってんだ?』
桐生はその心境に元の世界のモテる同級生に対する女子の言い分を思い出した。
『あぁ、なるほど・・・』
『なんだよ?なんかわかるのか?』
『あぁ。ありゃカモフラージュだ』
『カモフラージュ?何に対してだよ?』
『周りさ。あーやって仲間同士で組めば自ずと合わせる事が出来る。合わせる事が出来れば周りを見る事が出来る。つまり?』
『??わからんwww』
『つまり、だ?俺が誰かと模擬戦やるのを見たいって事だ。現にチラチラとコッチを見てる』
桐生が顎で示すとレオンはその方向を見た。確かに女子達は本気で戦闘はしていないように感じたし、視線は常に桐生が入る様に立ち回っていた。
『モテる男はいいねー ︎でもよ? ︎』
『ん?』
『もし俺とやって俺が勝ったら俺の株とか上がんじゃね?』
レオンは自信満々に桐生に言った。一片の迷いもなく。
『逆にお前をフルボッコにすればお前は更に株を失うのかwww・・・やるかwww?』
『・・・いい、なんか切ないw』
『だなwww俺もダチはいたぶりたくないwww』
そう言って二人で笑っていると背後から誰かが近寄ってきた。
『・・・おい』
『ん?』
『貴様、手が空いているのか?なら光栄に思え。この僕第三王子、リコルが直々に相手をしてやる』
話しかけてきたのはリコルだった。その態度はいつも通りだがその裏に何かを隠しているように桐生は感じたが・・・
『いいぜ?相手してやるよ?』
桐生はその挑発に乗った。内心フルボッコにしてやろうと考えていたのは隣にいたレオンは読み取ることが出来たのか『あーあ・・・』と取れる顔をしていた。
『ならば始めようではないか。その偉そうな態度、改め直してやろう!』
リコルは剣を抜き切っ先を桐生に向けた。桐生はその行為に何も感じずただ構えるのだった。
『んじゃ俺はここで見てるかな♪勇人がどれだけすげーか見といてやるよwww』
『お前も誰かと戦ってこいよwww』
ごもっともなツッコミを入れた直後、リコルは桐生に向け突きを放った。
『バカめ!敵前にしてよそ見とはなんたる愚行!その顔面切り刻んでやる!』
リコルは勢いに任せ突いてきたがその剣先は空を切るだけだった。
『おいおい、いきなり始めるとかどこの発情期の猿だよwwwまぁ卑怯者のお前にはピッタリな攻撃だけどなwww』
桐生は横に躱しリコルを挑発した。避けられた事に驚いていたリコルだったが、すぐさま薙ぎ払いに変え桐生を再度狙った。
『せいっ!』
だがまたもやリコルの剣は空を斬った。桐生はリコルの背後で欠伸をしていた。
『ふぁぁぁぁあ~。おっせぇ。それでホントにお前Sクラスかよ?レオンよりよえーんじゃね?』
その言葉が頭に来たのかリコルは殺気を放ち桐生を睨んだ。
『ちょこまかと逃げるだけか!それとも戦い方を知らないのか!?』
背後に回った桐生から距離を置きリコルは怒鳴った。その表情は既に怒り以外は無くなっていた。
『逃げる?なぜ俺がお前ごときから逃げなきゃならん?当たらない事を人のせいにするのは良くないよチミwww』
桐生は呆れたように呟いた。それもそのはず、桐生は先程から力の1割も出していないのだ。
『ちっ・・・おい、お前ら!僕の指示に従え!』
リコルはそう言って近くにいた生徒に声をかけた。すると周りから7人ほど集まり桐生を囲んだ。
『どうだ!僕が声をかけるだけでこんなに集まるんだぞ!諦めて素直に殺られるがいい!』
リコルはその様子に不敵に笑って桐生を見た。だが桐生はのんびりと女子生徒に手を振っていた。
『え?なんか言ったか?』
その態度がカンに触ったのかリコルは罵声とも聞こえる声で攻撃を開始する合図を送った。
『やれやれ・・・弱いものいじめとか好きじゃねーんだけどなぁ ︎ ︎ ︎ ︎』
と呟いた直後全員が見ていたハズの桐生の姿が消えた。と同時に二人の生徒がその場に崩れ落ちた。
『まずは二人』
桐生はどうやったのか二人を気絶させ次の目標を見つけたのかまた姿を消した。
ドサッ・・・ドサッ・・・ドサッ・・・
続けて三人が地に伏せた。どの生徒も気絶しており立ち上がる素振りは無かった。その光景に残った生徒は恐怖し見るからに慌て始めた。
『さぁて・・・残るは三人かwww』
桐生は笑いながら残った生徒を舐めまわすように見た。いきなり現れた桐生に生徒は半狂乱して剣を降るがまたもや空を斬るだけだった。
『ぐあっ?!』
『がっ!?』
そして遂には集めた七人全てがその場に倒れる結果になった。リコルはその光景に膝が震え剣を持つ手は自信なさそうに握っていた。
『残りは坊ちゃんだけかwwwいいのか?そんな貧弱な立ち方でwww?』
桐生は堂々とリコルの前に姿を現し挑発した。
『ひ、卑怯者はそっちではないかっ!?姿を消して攻撃など分かるわけ無いだろう!?』
その言葉に桐生は盛大にため息をついた。
『はぁぁぁぁ~ ︎ ︎ ︎ ︎お前さぁ?それモンスターにも同じ事言うのか?この状況なったら気絶=死んだ奴らの家族とか友達になんて言うんだ?『モンスターが消えたので勝てませんでした』ってか?馬鹿じゃね?要はお前が偉そうに威張り散らしてるだけで努力もなんもしてない証拠だろ?つか、そんな早く動いてねーしwwwレオン!見えてたろ?』
桐生は休んでるレオンに声をかけた。その証言の為にレオンは立ち上がり近寄ってきた。
『あぁ、見えてたな。披露式の時の方が何倍も早かったなwww』
レオンは笑いながら桐生に話した。その様子にリコルは顔を赤くして抗議し始めた。
『そ、そんなわけないだろう!どうせお前らグルなんだろ?!僕は騙されないぞ?!卑怯者が!』
『つかよ?卑怯者はお前だろ?開始の合図も出さずに始めるし、多人数でバトルし始めるし』
レオンもその意見に同意したのかうんうんと頭を縦に振っていた。
『ストーカーしてばっかだからその程度なんじゃね?自分がどの立場に居るか自覚しろよwwwお子ちゃまwww』
桐生とレオンが笑いながら言うとヤケになったのかリコルはいきなり斬りかかってきた。
『おっと?図星言われて逆上して斬りかかるとか、そんなんだからガキなんだよwwwそれで世界を救う?冗談は顔だけにしてくださいよwww笑い殺す気ですか貴方www?』
桐生が話してる間も『くそっ!くそっ!』と言いながら斬りかかるリコルに桐生は魔力を込めた。
『ちょっと痛い目見ないと分かんねーんだな?・・・当分寝てろ!』
桐生は魔力を込めた正拳突きを放った。狙うは右腕。リコルはとっさの事に反応出来ず攻撃を受けてしまった。
ゴキっ!!
鈍い音と共にリコルの腕は曲がらない方向に曲がっていた。
『ぎ、ぎゃぁぁぁぁ!痛い痛い痛い痛いっ!!か、回復!回復!』
リコルは地べたで転げ周り回復を求めた。だが桐生は追い討ちの様に折れた右腕を踏みつけた。
『ぎゃぁぁぁぁ!や、やめろ!やめてくれ!』
『辞めるわけねーだろ?少しは感じたか?人の痛みってやつをよ?心の痛みはもっと痛てーんだぞ?理解出来ますか?』
桐生は更に踏む力を入れた。騒ぎを聞きつけたのかジェイクが駆け寄ってきた。
『何してんだお前ら!』
『さーせーん。大人数でリンチにあいそーだったのでちょっと力出しましたー』
『リンチ?・・・おい、リコル?本当か?』
そう言いながら回復をし始めるジェイクに対してリコルは何も言わなかった。
『ちっ・・・。おい、桐生?いくらなんでもこれはやりすぎじゃないのか?』
『いえ?卑怯者にはそれなりの罰を与えるべきかと』
『しかし本当に大人数で囲ったのか?』
『はい』
『私も見ました・・・』
『俺も俺も!』
『7人ぐらいだったよね?』
『うんうん、そんぐらい』
『なんか事前に声かけてたっけよ?』
『うわ、サイテー』
『いくらレイナ取られたからってそこまでする?』
『ないよねー?』
周りから生徒が集まってきたのか口々に証言してくれた。ジェイクはため息をついてその場に立ち上がると周りの生徒達に指示を出した。
『分かった分かった!とりあえずこの件は置いとくから今日の授業はここまでだ。各自解散しろ!』
ジェイクの指示によりその日の講義は終わりを迎えたがこの時桐生は今後どうなるかなど考えてもいなかったーーー。

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