異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第12節 ミュゼ(加護)の試験

バタバタバタバタ・・・!
ドカバタドンドン・・・!!
朝から騒がしい音に桐生は目が覚めた。
見知らぬ天井に桐生は某アニメの主人公と同じセリフを吐いてしまった。
『知らない天井だ・・・つってwww』
そう言いながら桐生は起き上がると階下の騒々しさにため息をついた。
『やっぱ、気まずいよなぁ・・・w』
そう。昨日試験が終わり寮に戻ると手荒い出迎えがあったのだ。

ーー
ーーー
『レイナおかえりーっ♪!!』
『彼が噂の召喚された人っ?!』
『やばっ!?めっちゃイケメン?!』
『もしかしてSクラス?!』
『ねぇーねぇーちょっとお話しよーよー♪』
『ついにリコルの独裁が終わるときが来るとはwww』
『試験今日だったの?!見たかったぁ・・・ ︎ ︎ ︎ ︎』
『てか、レイナ満更でもない顔してなぁいwww?』
『えwww?・・・まさかwww?!』
『これじゃリコルは勝てないわwww』
ガヤガヤガヤガヤ・・・ーーー
『す、すげぇな・・・これが女子の力か・・・w』
『ごめんね ︎ ︎みんないい人達なんだけど噂とか大好きだし、その・・・』
『?』
『イケメンとか強い人とか好きで・・・///』
『そりゃしゃーないw自分がって言うわけじゃないけど俺のいた世界でもそうだったしwww』
2人はとめどない質問に答え(主に桐生だが)嵐がさろうとした瞬間にひとつの質問がさらなる嵐を呼ぶのだった。
『でもどうして勇人さんがここに?』
『あぁ、学園長の決定でここの屋根裏で住むようにって話しで来たんだけど・・・』
『『『・・・・・・・・・』』』
『・・・やっぱまず』
『『や、やばいっ!!ま、まだ中に入らないで下さいねっ?!レイナっ!?あんたの部屋も片付けて上げるから勇人さんを絶対中に入れないでねっ?!・・・もし入れたら・・・』』
女子全員の声がシンクロするほど言うことは同じだった。そして、目が怖かった。
そこからは嵐が嵐を呼ぶ大騒ぎがおき、メイドのミカも他のメイド達を増員して手伝う始末になってしまった。
しばらくレイナと中庭でたわいも無い話をしているとミカが近寄ってきたので立ち上がった。
『お待たせしました♪お部屋の方も片付けさせて頂きましたのでどうぞお使い下さい♪』
『さんきゅ・・・ホントに大丈夫かwww?』
『大丈夫です♪・・・むしろいい薬です♪乙女なんですから少しは片付けて頂きたいと思っておりましたから♪』
そう言うミカは来てくれた事に感謝している様だった。
寮につくとまだ少しバタバタと音がしているがさほど気になるものでもなかった。桐生はあまりジロジロ見ないように自分の部屋へ向かった。桐生の部屋自体は綺麗に掃除が行き届き、家具もシーツも新しくなっていた。
『他に必要なものがあれば準備致しますので、お声掛け下さい』
そう言うとミカは部屋から去っていった。帰り際にレイナになにかアイコンタクトをしていたが、事情を聞くと『し、知らないっ!勇人は気にしなくていーのっ!』と怒られた為訳が分からなかった。ーーーそして次の日に至るのだった。

ーー
ーーー
『でも・・・めっちゃいい匂いするんだよなぁwww』
考えたくなくても考えてしまうのは男として仕方ない事だと思う。と、自分に納得させ桐生は朝食を取りに部屋を出た。
『まぁ間違いとか変な事しなきゃ大丈夫だろ。・・・同意なら多分セーフなハズ・・・』
そんな独り言を呟きながら食堂につくと女生徒が一斉に桐生を見た。そしてヒソヒソと噂話をするのであった。
『朝からイケメンとか幸せ過ぎ~♪♪』
『同じ寮に住んでるんだよね・・・』
『今度部屋に遊びに行こうかな・・・』
『あ、抜け駆けずるいっ!』
『でもレイナ怒りそうだよね・・・w』
『でも彼女ではないって言ってたし』
『その時のレイナちょっと凹んでたけどねw』
『確かにwでも、あれは仕方ない事だと思うけどね~』
『てかてか、リコルともやり合ったんでしょ?!』
『え?!なにそれ聞いてない!?』
『マジマジ♪ここについてソッコーで声掛けてきた時にやり返されたらしいよwww』
『うーわっ・・・すぐ近寄るとかマジキモ ︎ ︎ ︎ ︎』
『ただのストーカーだよねぇ ︎ ︎ ︎ ︎』
『それなら桐生君と一緒になってくれた方が周りも幸せだよねぇ』
『そうそう!アイツさぁ、レイナは俺の女だから誰も近付くなとか意味不明な事言ってるしね』
『マジ頭おかしいよねぇ。結局寮でしかレイナとは話せないし』
『権力あるから調子乗ってるだけでしょ?』
『そんな奴をやり返すとか・・・www』
『最っ高に楽しくなりそうだね♪♪』
『ねーっ♪♪』
桐生は女子達が賑わっているのを遠目に見て今日も平和だ、と勘違いしていた。自分の事とは思わずに。すると・・・
『・・・お、おはよう///♪』
『ん?レイナか、おはようさん』
『隣・・・い、いーぃ///?』
『あぁ構わんぞw』
そう言うとレイナは遠慮がちに桐生の隣に座った。若干だかレイナの耳が赤い気がしたのは気のせいだろう。そして先程の賑やかさよりも声の量が増えたのも気のせいだろう。
『(自然に座れた///!自然に座れたよ///!なんか皆して煽ってくるのに嫌じゃないのは好き・・・だからなんだよねぇ・・・///やばいよぉー。どうしたらいいかわかんないよ ︎ ︎でも隣にいるとなんか安心するよぉ・・・///)』
そんな事を考えており、食事をしないレイナに桐生は食べる様促して自分はお代わりに向かった。
『あら?桐生・・・君?』
その時ちょうどトレーを取る所に昨日見た4人の先生のうちの一人が居た。名前はミュゼ。加護の担当者だと桐生は認識していた。
『あ、ども』
『朝はしっかりと食べるんですよ・・・って言わなくてもしっかり食べてますねwww♪』
『あ、はいwwwなんか腹減っちゃってw』
『フフフ・・・♪いいと思いますよ♪昨日は疲れたんでしょうから♪』
『まぁ、そーっすねw』
『そういえば、今日は私とジークハルトさんの試験でしたね?』
『あ、はい。そーっすね』
『その試験なんですけど、今日は私だけの試験との伝言がありましたので前もってお伝えしますね?』
『え?そーなんすか?』
『えぇ、ジークハルト先生は桐生君の試験に何がいいか深く考えているようですよwそれで明日まで待って欲しいとの事でした。』
桐生はなんと言っていいか分からず困惑していた。すると・・・
『大丈夫ですよ♪そんな難しい試験は作ったりはしないハズですし、試験の日が伸びても貴方は紛れもない召喚者なのですから♪自信を持ってください♪!』
そう言って桐生に向かい両手でガッツポーズを作り応援してくれた。
『は、はい・・・。(尊い・・・なんだこれ?天使か?そして・・・で、でかい・・・俺の眼パイ判定で・・・っ!?ま、まさか?!こ、国宝級じゃねぇか?!Gの上向きだと・・・?!正しくおっぱい。朝から良いものを拝ませてもらった。感謝感謝)』
桐生はそこまで考え込んでいないが勘違いからラッキーハプニングをもらって意気揚々と自分の席に帰ってきた。
『・・・おかえり』
『お、おう。どした?機嫌悪いな?』
『別になんでもないもん・・・』
『な、なんだよ?』
『むー・・・』
『なんか、俺悪いことしたのか?』
『別に・・・ミュゼ先生綺麗だもん仕方ないもん・・・』
桐生はその言葉にピンときた。どこぞのアニメと違い、俺は鈍くないと証明してやろうと。ついでにちょっとしたイタズラも合わせて・・・
『ボソッ・・・(レイナの方が綺麗だぞ・・・)』
『・・・っ///?!』
その事を考えていたのかレイナは不意打ちの言葉に顔が真っ赤になった。桐生は半分冗談、半分本気もあったので言ったことを後悔する様に顔を伏せた。恐らく桐生も顔は赤いのだろう。
『さ、先行くからねっ///!!』
そう言ってレイナは立ち上がり食器を片付け始めた。すれ違いざまに小さく『・・・バカ///』と言ったのは聞こえないフリをした。
『さて、俺も飯食ってサッサと行く準備するか』
桐生は気持ちを切り替え、朝食を食べるのだった。
ゴーンゴーンゴーンゴーン・・・
都市全体に響く鐘の音を境に街は賑わいを増して行った。各々に学業、門番、商売など始める中桐生は闘技場内で試験開始を待っていた。今日の試験は加護の試験のみとのことだったので些か足りない気持ちはあるが、それで試験に落ちても馬鹿臭いので集中しようとしていた。
『お、遅くない・・・?』
桐生はもう何十分待ったのか。一向にミュゼが来ない事に場所を間違えたのかと焦り始めた。すると・・・
『ご、ごめんなさっ・・・きゃっ?!』
ズシャア!!
桐生の後方で何か滑る音がしたので見てみるとミュゼが盛大に転んでいた。白いローブは砂を付け汚れてしまっていたがそれよりも・・・
『ふ、ふぇぇぇぇぇ・・・』
泣き出した。堪えていたのだろう。涙は滝のように流れていた。桐生はその姿に呆然としていたが、心配になったのか小走りにミュゼの元へ駆け寄った。
『だ、大丈夫っすか?!』
『ふぇ・・・大丈夫ですぅ・・・うぅ・・・』
そう言うと目をコシコシ擦りながらゆっくりと立ち上がった。2、3度深呼吸をして気持ちを落ち着かせたのかミュゼは、いつも通りの笑顔で桐生に向き合った。
『すいませんでした。お待たせしてしまって・・・』
『いえ、なんでもないっすよ・・・大丈夫です?』
『はい、問題ありません・・・あの・・・軽蔑しました・・・?』
『はい?!なんで軽蔑しなきゃならんのですか?!』
『だって・・・最初から今日の朝までクールな女性を作ってたのに蓋を開けたらただのドジで泣き虫で・・・そんな人が先生とかいやなんじゃないかなぁって・・・』
『(尊い・・・っ!この世界の女の人は尊い生き物しか居ないのかっ!?神よっ!ありがとうっ!)』
桐生はまたしても世界に感謝を述べた。
『そんな事ないですよ?先生は先生です。無理に自分を作らなくても軽蔑なんかしませんよ♪それに素直な方が親しみやすくて良いですよ♪』
桐生はミュゼのローブについた砂を払い落としながらそう伝えた。返事が何も無く、ふと見上げるとミュゼは顔を赤くして桐生を見ていた。
『こ、今度はどうしたんですかっ?!』
『は、初めてそんな事言われました・・・///』
そう言うとまた泣き始めてしまい、収拾がつかなくなってしまった。

ーー
ーーー
『ふぅ・・・』
『はぁ・・・』
『・・・試験、やりますか』
『はい・・・お願いします・・・』
桐生は慣れないフォローの連続に疲労していた。コホン、と咳払いするとミュゼは言葉を繋げた。
『色々ありましたが、おはようございます。本日の加護の試験を担当するミュゼと申します。宜しくお願いします。桐生君は加護についてどれくらい知っていますか?』
桐生はミュゼの質問にレイナから聞いた知識を答えた。
『はい、加護は治癒の力や悪しきものを拒絶する力とレイナから聞いています』
『そうですね。大まかに言うとその通りです。パーティーとして活動する際に怪我やバッドステータスなどは付き物です。それをそのままにしておくと最悪、死に陥る事があります。そうならないようにする為にも一つのパーティーに一人は欲しい存在です』
そう言うとミュゼは合図を出した。するとミュゼの後ろから檻に入れられたウルフが連れられてきた。
『今回は人で試すわけに行かないのでモンスターを使って試験を行います。このモンスターは既に手負いであり、バッドステータスも付与しております』
そう説明すると桐生に向けて試験の内容を説明した。
『これから行う試験は加護に力を使えるかどうかの判断をする為の試験です。このモンスターを回復してみてください』
ミュゼは桐生とモンスターから少し距離を置きその様子を伺っていた。
『じゃあ・・・やるっすよ?』
桐生はモンスターを見て、まずスキルでステータス確認を行った。
『視認情報化』
桐生はステータスを確認した。確かにウルフのHPは残り三分の一といった所だった。そして、バッドステータスとして毒が付与されていた。
桐生は意識を集中させた。魔法の発動はイメージすると脳内に発動可能魔法の一覧が出るのだが、生前(?)のゲームの情報が強いのか魔法の種類については認識がしやすかった。
『癒しの光を、ここに・・・ヒールっ!』
桐生は回復の呪文を唱えると緑色の光がウルフを包み込んだ。さらに追い打ちで桐生は毒の除去に取り掛かった。
『大地の息吹よ・・・彼の者の悪を取り除け・・・アンチドートっ!』
呪文の発動が終わったのか桐生はミュゼに振り返った。
『・・・どーっすか?』
『確かに傷は回復していますが・・・聞いたことの無い呪文を使うのですね?』
桐生はなんて説明しようか悩んだが素直に答えることにした。
『元の世界で娯楽でやっていた物語の人が使っていた呪文をそのまま使えるようですねw詳しい事はわかんないっすw』
ミュゼはよく分からなかったが、現実問題として、癒しは成功している事に納得はした様だ。
『なるほど。わかりました。では試験については合格とします。お疲れ様でした♪』
そう言うと満面の笑みで桐生を見てきた。桐生は気恥しいのか顔を背けその場を後にした。明日もまた試験である為、桐生は早めの就寝をしようと寮に戻るのだった。

「異世界呼ばれたから世界でも救ってみた」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く