異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第9節 学園編入試験

2人は城を後にして、隣に建っている学園の中へ足を踏み入れた。作りは宮殿の様な作りだが、中を見ると学園と言うだけありいくつもの教室があり、中庭にはベンチなどがあり学園の生徒だろうかチラホラと食事をしているのが見受けられた。
『なんか・・・普通だな』
『ん?何が?』
『いや、戦闘技術を磨いたり勉強したりするならもうちょっとピリピリというか殺伐というか・・・
そんなイメージを持ってたから平和そうでさ?』
『あ、それはそうだよ♪学園長の方針で普段は明るく楽しくがモットーらしくて、みんなのびのび住んでるよ♪』
そう話すとレイナはこっちだよと手を引き桐生を案内するのだった。
『ねぇねぇ・・・』
『嘘・・・』
『カッコイイ・・・』
『成功してたんだ・・・』
『リコルはどこ行った(笑)??』
『えーっ!?修羅場修羅場(笑)?!』
『またライバルが・・・↓↓』
そんな声を聞きながら桐生は安心していた。
『レイナ』
『んー?』
『大丈夫だ♪お前の性格も周りは理解してるし、すぐに友達は出来るぞwww』
『いきなりなにw?』
『まぁそのうち分かるさwww』
レイナは頭にクエスチョンマークを作りながら案内を続けるのだった。
コンコン・・・
『レイナです。桐生勇人を連れてきました。』
レイナは3階にある重厚な扉の前に立ち、ノックをした。
『お待ちしてましたよ♪どうぞ♪』
中から学園長だろう。入室の許可が出たので2人は同時に入室した。
中に入ると、その内室に桐生は緊張してしまった。見たことも無い花々や、恐らく高いのだろう。鮮やかな食器やテーブルなどが並んでおり目を引くものが多くあった。その一角に高級感漂う漆黒のテーブルに学園長は居た。
『ようこそ我が学園へ♪街の様子などは如何でした♪?』
『活気があって、凄く楽しそうですね。学園生ものびのびと楽しそうでしたし、余程治安が良いのでしょうか?』
そう答えると学園長は静かに微笑みながら窓際に立ち空を見上げた。
『・・・そう、見えるのでしたら良かったです。桐生勇人さん。あなたにはこの世界、メルト・フォーレンとここ学園都市レミニセンスについて詳しく説明しておかなければなりませんね』
学園長は気を引き締めたのか少し固い表情で桐生に話した。
『えぇ。多少はレイナさんから伺っていましたが、より詳しくこの世界について教えていただきたいです。』
そう言うと学園長はひとつ息を吐き静かに語りだした。
『この世界、メルト・フォーレンではモンスターや魔法が存在します。あなたの世界ではなかったでしょう?そしてそれに対抗する力、学園生やギルドの冒険者。世界はモンスターの恐怖に対抗して生きてきました。ですが、文献によると500年周期でモンスターが大量発生すると出ております。原因は分かっていませんが、その周期の影響か、近頃モンスターの被害が増加しつつあります。そこで私達は特殊な召喚が出来る人に他の世界から強い力を持っている人を呼び込む事にしました』
『それが俺だってことですね』
『えぇ。私達は結果だけ見ると召喚に成功はしましたが、これから先の事も考えなければなりませんでした。冒険者と学園生の強さについての評価は聞きましたか?』
桐生はその問いに無言で頷いた。
『なら、詳しい話は省きますね?つまりは・・・我が学園の生徒として強さを磨きたいのか、冒険者としてやって自由に行きたいのか、もしくは元の世界に帰るのか・・・。あなたにはその中から選んでいただきたいのです』
桐生は少しだけ思案したが答えはもう出ていたのでその場でハッキリと伝えた。
『俺は・・・この学園で生活して行きたい。特に理由は無いが世話になった人達が居るならその人達の役に立つ事をしたい。』
桐生は真っ直ぐに学園長をみて答えた。
『本当に宜しいのですか?冒険者としてなら学園生としての規律などなく、自分の実力でランクを駆け上がれるのですよ?』
『いや、別に偉くなりたいとか、強さを誇示したいとかは考えていないですね。・・・俺は手が届く中で誰かが死んだり、悲しんだり、辛い思いをするのが嫌なだけなので・・・そんな人達を救いたいと思うだけです』
『元の世界に帰りたくないのですか?』
『そこまで未練があったわけではありませんし・・・、帰りたかったらこの世界を救ってからにしますwww』
『・・・わかりました。では桐生勇人さん。貴方を正式に当学園へ編入致します。寮生活にもなりますので必要なものは買っておくように。・・・それと編入試験ですが・・・』
そこで今まで黙っていたレイナが一歩前に進み話し始めた。
『失礼ですが学園長。今回のココルの森からの移動の際、数回に渡りモンスターと交戦しました。その中で大型のトロールを討伐する事に成功致しました。そこでの戦闘は全て桐生が行いましたが・・・』
『・・・?どうしました?』
『率直に言います。私の試験の時に戦ったトロールのおよそ倍の相手でしたが・・・圧勝でした。まるで赤子を相手にするかの様に簡単に』
そう言うと学園長はチラリと桐生を見た。当の本人はその報告になにも感じていない様だった。
『(レイナさんが嘘を言ってるようには聞こえませんね・・・流石召喚者・・・と、でも言うべきでしょうか・・・なるほど・・・個人の判断で今後を決めれない訳ですね・・・)』
そう考えると学園長は椅子に座り桐生を真っ直ぐに見た。
『桐生勇人さん。この報告に嘘、偽りはありませんね?』
『そうですね。その通りです。』
『・・・』
『学園長・・・』
2人は何も語らない学園長を見ていたが、おもむろに学園長はベルを鳴らした。
コンコン・・・
『入りなさい』
『失礼します』
ガチャ・・・ーーー
『お呼びでございますか?』
『今すぐここに各クラスの最高責任者を集めなさい。』
『は・・・了解致しました。』
兵士は言葉少なく学園長の部屋を去っていった。
数分後ーーー
コンコン・・・
『最高責任者4名揃いました。入室の許可をお願いします』
『構いません。お入りなさい』
『失礼します』
そう言うと先程の兵士が先に入り、様々な大人が4人入ってきた。
『お忙しい中お呼び立てして申し訳ないわね』
4人は各々頭を下げた。顔を上げるとまずレイナに目線が行き、次に桐生を見た。
『・・・それで私達を呼んだ理由とは?』
1人のローブを纏った老人が学園長に向けて質問をした。
『ここにいる桐生勇人さんは先日ミントさんが召喚した際にこの世界に呼ばれた召喚者だそうです』
4人は驚き、ザワザワと話し始めた。
『えぇ。皆さんが思う通り、あれは失敗だったと言う結果に終わったと思いましたが、ここから東にあるココルの森で異常な光の柱を確認したと噂が流れまして、急遽ですがレイナさんに確認に赴いて貰いました。その際に森の中で桐生さんを発見した次第です』
そう話終えると剣士風な男が桐生を見ながらレイナに話しかけた。
『戦闘は?』
『ありました。ゴブリン等でしたが、トロールの討伐も成功しています。』
その言葉に剣士風の男は眉をピクリと反応させ、桐生に質問をした。
『武器は?』
『素手で行いました』
その答えが気に入ったのか男はガッハッハッと大きく笑いながら学園長に話しかけた。
『どうやら本物らしいっすな(笑)!トロール相手に素手で勝つなんてうちのSクラスにはいやしないし、冒険者でもダイヤモンド以上じゃなきゃ無理だ(笑)!』
満足したのか男は腕組をしてうんうんと頷いていた。
『皆さんを呼んだのは他でもありません。彼のSクラス編入にあたり各々で試験を執り行って貰いたいのです。筆記についてはこの世界に呼ばれて間もないので魔法の知識などはないのですが、使用は出来るとの事なので実技のみの試験とさせていただきます』
4人は学園長の言葉に驚きを隠せないでいた。当然である。召喚者とはいえ、Sクラス編入もさる事ながら、4人の担当事の試験を行うなど異例中の異例だからだ。
『か、加護も使えるのですか?!』
白いローブを纏い優しそうな女性が声を大きくしながら聞いた。
『まさかレンジャーのスキルもあるとは・・・』
緑のローブを羽織った細身の男も驚いていた。
『ふむ・・・魔法の実技となると何がいいかのぅ・・・』
老人は試験について思考を巡らせていた。
『そいつぁ、いい♪俺もどんだけ強いのか試してみたいしな(笑)!!』
剣士風の男は喜んでいた。
『・・・(˚Д˚)』
レイナは空いた口が塞がらないのかポカーンと聞いていた。
『桐生勇人さん。貴方を当学園、Sクラスに編入するにはこの試験を受けてもらいますが、宜しいですか?』
学園長はそう言いながら桐生を見た。その眼差しには期待が込められていることを桐生は感じた。
『受けます。自分でもちゃんと使えるのか試したい気持ちもありますし、今後の事もありますから今のうちに自分も含めて理解するのに必要だと思いますから』
そう答えると桐生は力強く頷いた。
『分かりました。では先生方。準備の方をよろしくお願いしますね♪』
4人の先生と呼ばれた人達はぞろぞろと部屋を退出して行った。中には『どぎついの出しても文句なさそうだ(笑)』などとんでもない事を言っている者もいた(主に剣士風の男だが)
桐生はどの様な試験になるか不安よりも楽しみで仕方がなかった。それでも、召喚された者として恥ずかしくない結果を残そうと心の中で誓いを立てるのだった。ーーー

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