異世界呼ばれたから世界でも救ってみた

黒騎士

第3節 仲間(?)との出会い、旅立ち

『・・・んっ、んぁ?』
目覚めると意識を失う前と同じ景色だった。時間的にも日の傾きからそこまで経っている訳ではなかった。変化とすればあの黒猫の姿が無くなった事ぐらいだった。
『・・・世界を救う。ねぇ・・・。実感わかねーけど、まぁやってみるかぁw』
そう言うと桐生は先程の話を振り返り始めて、思い出した。
『そだ、なんかステータス弄ったとかなんとか言ってたっけな。ゲームかよwって思ったけど、確認しとかなきゃな』
独り言を零しながらステータスを確認しようとしたが・・・ーーー
『ど、どーやって見ろと・・・(苦笑)?』
そう。この世界でいきなりステータスを確認と言われてもどう行えばいいか分からなかったのだ。誰かに聞こうにもここは森の中。どうしようか悩んでいると、ふと桐生は思いついた様な顔をした。
『・・・』
『・・・・・・ステータス、オープン』
ヴォンっ・・・!
軽い音と同時に半透明の液晶が桐生の目の前に開かれた。
『マジか?!ホントに開きやがった!?』
ここは異世界。魔法やらモンスターやらが犇めく世界。その中で今までの常識なんて通用する所が無いと言っていい程の状況下。役に立つのはゲーム、アニメの知識。そこから導き出した答えを実行すると思いのほか的中した様だった。
『ホントにファンタジーだな、おぃ・・・w。まぁいいゃ、えっと・・・ステータス、ステータスっと・・・』
桐生は液晶をタップしながら自分のステータスを確認し始めると途端に・・・何度目か分からない同じリアクションをした。
『・・・ん、だこりゃぁ・・・?!これは・・・チート級の扱いじゃねぇか?』
驚愕しながら桐生は自分のステータスをもう一度確認した。
桐生勇人
種族︰人間
職業︰魔法拳闘士
使用可能魔法︰火、水、土、風、雷、光、闇、音、毒、無(気功)、癒、空間、補助、召喚
スキル︰魔法創造、魔法錬成、魔力付与、魔力譲渡、魔力吸収、魔力徐々回復(大)、無詠唱、詠唱時威力増大、体力向上、筋肉強化、体力徐々回復(大)、視覚広域化、感覚共有、索敵、暗殺、隠密、全属性耐性、バッドステータス無効化、視認情報化、気功、
『・・・』
『・・・・・・アホやないすか』
異常だった。自分がやっているゲームでもこんなチートはないぐらいだった。あの声の主がかなうものはほぼ居ないと言った理由がハッキリと理解出来た。
『まぁ・・・死ぬ事はほぼ無くなったから良いけどさ・・・これじゃ倒す相手が可哀想だぞ?』
自分のステータスをまじまじと見ながらボヤいていると近くの茂みが揺れているのを感じた。
『だれだ?!』
桐生は茂みから距離をとり身構えた。異世界について初めての緊張の中心臓の音がやけに聞こえてくる。
ガサガサ・・・
ガサガサ・・・
『誰かいるのか?!』
声をかけ、返事がなかったらさらに距離をとり牽制で石でも投げようかと思案していると・・・
『あ、やっぱり誰かいたー!おーい♪』
その声は警戒など無くすかのように能天気に聞こえた。言い方は悪いがバカっぽい感じだった。
『(人・・・?)』
桐生は構えを解き、声のする方に注意していると声の主が茂みから顔を出してきた。
『ありゃ?珍しい!この森に人が居るよー♪』
『あ、いや、そう・・・なのか?』
『うんうん!ここはあんまり学園の人とか冒険者の人も来ない森だからちょっとビックリ(笑)♪』
そう言うと桐生の側まで歩み寄り服に着いた葉っぱを払いながら顔を上げた。
『・・・』
『・・・』
『・・・』
『『・・・え?』』
2人のリアクションが同時になった。
桐生の方はその声の主が自分の世界に居た人と全く違う服装だったからだ。赤と黒のチェックの服(分かる)、白を基調とした短めのスカート(分かる&絶対領域ktkr)、そしてゲームでしか見たことの無い軽鎧に細剣(コスプレ?)。そして極めつけは容姿だった。綺麗な金色の髪、蒼い瞳に整った顔。正しく、ゲームのヒロインだった。
『『・・・えーっと・・・』』
『『あ、お先にどうぞ』』
『『いやいや、どうぞ』』
そこまで被るともはやコントだった。桐生は軽く咳払いをして話を切り出した。
『初めまして・・・?』
『多分・・・そう・・・ですね』
『え、と・・・桐生勇人と申します』
『あ、すいません。私はレイナと申します・・・』
『あ、こりゃどうも・・・。』
『・・・もしかして・・・』
『は、はい?!』
『もしかして・・・違う世界から来られた・・・方??』
『あ、全くその通りでございますw』
『えーーーっ!?!?なんでこんな所に?!』
『いやぁ・・・なんでと言われても・・・w』
『いや、ちょっ、うぇっ?!』
桐生は目の前の女性がコロコロと表情が変わるのを見て必死に笑うのを堪えていた。堪えている途中に『ミントが失敗・・・?』『まさかこんな所になんて・・・』『とりあえず学園かなぁ・・・』などなど色々な独り言をボヤいていたが、本人が決意したのか桐生に振り返り話を続けた。
『いきなりゴメンね?私はレイナ。この世界メルト・フォーレンでの魔術学園の生徒です。今回桐生・・・さん?は恐らく我が学園の生徒の召喚に呼ばれましたが何らかの都合で召喚先が変わってしまい、ココルの森になってしまいました。・・・多分。』
そこまで話すとペコっとお辞儀をして宜しくという意味だろう。手を差し出してきた。
『そして、今回なぜあなたが召喚されたのか、ここはどんな世界なのか、などなど詳しく説明しなくてはならないと思うのですが私の話よりも学園長の方がより詳しく話を聞けると思うので、案内しますので良かったら一緒に来てくれませんか??』
彼女ーーレイナと名乗る人物はそう言いながら握手を求めてきた。つまり、ここじゃなんだから理解が早い人に一緒に聞きに行こうとの事だった。
『(あの声の主とかも関係あるかもだし・・・正直一人じゃなんも出来ないしな。ここは素直に付いて行くのがベストだな)』
『どう・・・です?』
『あ、ゴメン。確かに俺もいきなりだから情報やら世界の事やら分からないことしかないからもし良いのであれば連れて行って貰いたい。』
答えると途端に明るい笑顔になって、桐生の手を掴んでブンブンと振り始めた。
『うんっ!任されたよ♪!ようこそ、メルトフォーレンへ♪色々大変な事も多いけど、いい所だからこれからよろしくね♪』
こうして桐生は新たな仲間(?)が出来、次に行く目的地が出来た。

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