異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??
第73話『見妄』
眼前の少年が、左手に白の、右手に黒の炎を灯しながら立っている。
その少年は背中越しに、静かにこう問いかけた。
「美那原………。お前、何しにここに来た…?」
「え……?」
「何しにここに来たっつってんだよ!」
「それは………」
と、マサタがこの暴力的で粗野な来訪の真意を告げようとしたとき、その言葉は遮られた。
「塚田くん………どうして邪魔をするんだい?」
レンタがそう問いかける。その声はナイフの様に鋭い視線と共に、コウジの胸に突き刺さる。
「少しだけ、待ってくれないか…。俺は、美那原に聞きたいことがあるんだ」
「それは今じゃなきゃダメなの?それは本当に必要なことなの?それは……大切な仲間の敵討ちよりも、重要なの?」
「ああ、大事だよ。ここは知恵と知識がなきゃダメなんだろ?知恵も知識も、疑って、考えて、その答えを導き出して、それで初めて手に入るものだろ。俺は、俺の疑問を、疑問のままで終わらせたくないんだ」
それは下らぬ屁理屈だが、重要な真実に他ならなかった。
そのコウジの言葉に、レンタは口籠った。
「……………………5分。それまでしか待てないよ。それ以上は、美那原の顔を見てられない。ホントは、今すぐにでも殺したいんだ……。手短に頼むよ」
「…わかった」
短く返事をすると、コウジは振り返り、マサタに向き直る。
「……お前、何のためにここ来たんだ?ただ暴れたいだけには見えなかったけど」
マサタの心を見透かした様に、コウジは問いかけた。
「ど、どうして…」
「お前の動きは明らかにおかしいんだよ。防御のときは反射的に才華を使ってるのに、肝心の攻撃にそれを使わない。なんか……………“才華で人を傷つけない様に気を付けてる”みてえな…」
マサタは、唖然として動けなかった。
自分の動きと、その心理は完全に見抜かれていた。
「どうしてだ?お前は一体、何がしたいんだ?」
その言葉を聞いて、マサタは確信した。
この男は、自分の真意を見抜いた。もしかしたら、彼なら……。
マサタは体勢を立て直し、正座した。
そして、スマホを差し出し────────。
「この人を!救ってやって下さい!」
────────────土下座をした。
差し出されたスマホの画面には、1人の少女が表示されている。
その少女の顔、髪色、体格は、あの少女に瓜二つだった。
「鵞糜!?」
「これは……どういう…?」
コウジとレンタ、2人が目を白黒させていると、土下座をしたまま、マサタが答えた。
「俺の才華で、2次元に転送しました……」
なるほど、と、コウジは納得した。
マサタの才華は、次元を変えられる。
そして、今いる3+1次元を2次元へと変えれば、距離軸一つと時間軸が失われることになる。
時間軸がない、つまり、その空間には永久に変化が生じないと言うことである。
そこへ怪我人を転送すれば、時間経過に伴う病状の変化を、完全に無視することが可能になる。
そうすれば、瀕死の重体を負った怪我人や病人を、その状態のままで、何年も先まで保管することが可能になるのだ。
マサタはそれを行い、鵞糜の肉体の状態をあの時から一切変化させることなく、この学園まで連れてきたのだ。
「お願いします………。出来るだけ、無関係な人を巻き込みたくないんです……」
血と涙でその顔を汚しながら、マサタは希った。
その少年は背中越しに、静かにこう問いかけた。
「美那原………。お前、何しにここに来た…?」
「え……?」
「何しにここに来たっつってんだよ!」
「それは………」
と、マサタがこの暴力的で粗野な来訪の真意を告げようとしたとき、その言葉は遮られた。
「塚田くん………どうして邪魔をするんだい?」
レンタがそう問いかける。その声はナイフの様に鋭い視線と共に、コウジの胸に突き刺さる。
「少しだけ、待ってくれないか…。俺は、美那原に聞きたいことがあるんだ」
「それは今じゃなきゃダメなの?それは本当に必要なことなの?それは……大切な仲間の敵討ちよりも、重要なの?」
「ああ、大事だよ。ここは知恵と知識がなきゃダメなんだろ?知恵も知識も、疑って、考えて、その答えを導き出して、それで初めて手に入るものだろ。俺は、俺の疑問を、疑問のままで終わらせたくないんだ」
それは下らぬ屁理屈だが、重要な真実に他ならなかった。
そのコウジの言葉に、レンタは口籠った。
「……………………5分。それまでしか待てないよ。それ以上は、美那原の顔を見てられない。ホントは、今すぐにでも殺したいんだ……。手短に頼むよ」
「…わかった」
短く返事をすると、コウジは振り返り、マサタに向き直る。
「……お前、何のためにここ来たんだ?ただ暴れたいだけには見えなかったけど」
マサタの心を見透かした様に、コウジは問いかけた。
「ど、どうして…」
「お前の動きは明らかにおかしいんだよ。防御のときは反射的に才華を使ってるのに、肝心の攻撃にそれを使わない。なんか……………“才華で人を傷つけない様に気を付けてる”みてえな…」
マサタは、唖然として動けなかった。
自分の動きと、その心理は完全に見抜かれていた。
「どうしてだ?お前は一体、何がしたいんだ?」
その言葉を聞いて、マサタは確信した。
この男は、自分の真意を見抜いた。もしかしたら、彼なら……。
マサタは体勢を立て直し、正座した。
そして、スマホを差し出し────────。
「この人を!救ってやって下さい!」
────────────土下座をした。
差し出されたスマホの画面には、1人の少女が表示されている。
その少女の顔、髪色、体格は、あの少女に瓜二つだった。
「鵞糜!?」
「これは……どういう…?」
コウジとレンタ、2人が目を白黒させていると、土下座をしたまま、マサタが答えた。
「俺の才華で、2次元に転送しました……」
なるほど、と、コウジは納得した。
マサタの才華は、次元を変えられる。
そして、今いる3+1次元を2次元へと変えれば、距離軸一つと時間軸が失われることになる。
時間軸がない、つまり、その空間には永久に変化が生じないと言うことである。
そこへ怪我人を転送すれば、時間経過に伴う病状の変化を、完全に無視することが可能になる。
そうすれば、瀕死の重体を負った怪我人や病人を、その状態のままで、何年も先まで保管することが可能になるのだ。
マサタはそれを行い、鵞糜の肉体の状態をあの時から一切変化させることなく、この学園まで連れてきたのだ。
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