異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??

頤親仁

第64話『排除』

「いやぁー、ちょっと買いすぎちゃったかな」
自分の手元から鉛直にぶら下がるビニール袋を眺めて、マサタはぼやいた。
だが、口でこそ後悔してる風を装ってはいるが、その口角は上がりきっており、まるで満足しきっている様だった。
すっかりと“大ファン”になっていたマサタにとって、アニメはもはや生活の一部と化していた。


そんなマサタも高校生になった。スクールバッグにはアニメキャラクターがプリントされた缶バッジとストラップが大量に付けられていた。
更にクリアファイルや下敷き、筆記用具に至るまでが、大好きなアニメのグッズであった。
行動原理は単純で、「好きなものに囲まれたい」という極めて一般的なもの。
きっとそう思ったことがある人も少なくないはずだ。特に、何かをこよなく愛したことがある人は。
例えばアイドルが好きなら、団扇やサイリウム。銃が好きなら、モデルガン。何かのマスコットキャラクターが好きなら、ぬいぐるみ。歌手ならCD、画家なら絵。と、いった様に、人は好きなものを自分の傍に置いておこうとするものである。
無論マサタも、その一つに過ぎない。
しかし不思議なことに、そんな誰もが抱いたことのある感情と、やったことのある行動を、表面化させてはならないと考えている人間が一定数存在している。
否。そう考えているのではない。彼らにとって重要なのは、表面化させたことではなく、どのような趣味を表面化させたかである。ある趣味は許され、また別の趣味は許されない。


結果から端的に言おう。マサタはいじめをうけた。

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