異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??
第59話『看破』
「……………時間を…操る……?」
レンタの口から放たれた言葉に、コウジは一瞬呆けてしまった。
だが、そんな様子を気にも留めず、レンタは続けた。
「そう。でも、結構制限のある才華だよ」
「…制限?」
「うん。鵞糜さんの才華は、物体の時間の流れに対して“緩める”“止める”“巻き戻す”のいずれかが出来るんだけど、それが出来るのは『刀で貫いた物体』だけなんだ」
「いや、待ってくれよ。鵞糜はさっき、ペンライトを猛スピードで飛ばしてたんだ。今言った能力じゃ、そんなこと出来ないんじゃないのか?」
「ああ。それかい?それはね、時間を“止めた”んだよ」
「え?でも、時間を止めただけじゃ、あんな動きしないだろ」
「良いかい?時間には二種類あるんだ。物体の形状や状態に関与する主観的時間と、物体の運動や位置に関与する客観的時間の二種類がね。鵞糜さんはその二種類も使い分けられるから、計6通りの使い方があるんだ」
例えよう。木から林檎が落ちたとする。
その林檎が落下途中でサナエの刀に貫かれ、時を止められたとしよう。
主観的時間を止めれば、林檎はそのまま落下を続け、地面とぶつかる。
だが、通常の林檎と大きく異なる点は、どれ程強い力を与えても、その林檎には全くの影響が無いという点だ。
ロードローラーで轢こうと、濃硫酸を垂らそうと、核分裂炉に落とそうと、サナエ自身が能力を解かない限り絶対に傷一つつかず、反応一つ起こさない。
微粒子一つとて、取り出すことはできない。
これが主観的時間の停止による効果である。
次いで、客観的時間を止めたとしよう。
客観的時間を止めると、林檎はその座標から動かなくなる。
だがそれは、単に動かなくなるだけでは無い。
我々から見た林檎は───────1400km/hで西へと移動するのだ。
物体の客観的時間が止まれば、座標が固定される。運動する時間すらも止まるためだ。
それはつまり、“地球の自転からも置いていかれる”ということになる。
観測者である我々が動き、林檎は宇宙空間の座標レベルで固定される。
そうすると、我々が林檎を置き去りにしているにも関わらず、あたかも林檎が高速で移動しているように見えるのだ。
「時間操作か……」
苛立たしげに、マサタはサナエを睨む。
「左様だ。我は此の才華を〈司刻刀〉と呼称している」
「じゃあ、俺も教えてやるよ。俺の超能力。てめえらの言い方なら『サイカ』っつーのか?俺の能力は─────」
「“次元転移”……だな?」
サナエの声が、マサタの言葉を殺した。
「…なんだと?」
マサタはその顔面を感嘆の色に染めている。
「貴様の才華は次元を変える能力だ。違うか?」
「てめえまさか…見抜いたのか……!?」
「彼程見せ付けられれば、厭でも察する」
「ははっ。その通りだよ。俺の能力は次元を変えることが出来る」
マサタは乾いた笑みを浮かべながら肩を竦めた。
「………なるほどね」
レンタは得心がいったように頷いていた。
レンタ、コウジ、ヒカリの3名は、近くのアトラクションのレールの上からサナエとマサタの行く末を見守っていた。
「どういうこと?次元が変わると何が起こるの?」
理解の追いつかぬヒカリとコウジは、未だに頭を捻っていた。
「────────ミンコフスキー時空って知ってるかな?」
レンタの口から放たれた言葉に、コウジは一瞬呆けてしまった。
だが、そんな様子を気にも留めず、レンタは続けた。
「そう。でも、結構制限のある才華だよ」
「…制限?」
「うん。鵞糜さんの才華は、物体の時間の流れに対して“緩める”“止める”“巻き戻す”のいずれかが出来るんだけど、それが出来るのは『刀で貫いた物体』だけなんだ」
「いや、待ってくれよ。鵞糜はさっき、ペンライトを猛スピードで飛ばしてたんだ。今言った能力じゃ、そんなこと出来ないんじゃないのか?」
「ああ。それかい?それはね、時間を“止めた”んだよ」
「え?でも、時間を止めただけじゃ、あんな動きしないだろ」
「良いかい?時間には二種類あるんだ。物体の形状や状態に関与する主観的時間と、物体の運動や位置に関与する客観的時間の二種類がね。鵞糜さんはその二種類も使い分けられるから、計6通りの使い方があるんだ」
例えよう。木から林檎が落ちたとする。
その林檎が落下途中でサナエの刀に貫かれ、時を止められたとしよう。
主観的時間を止めれば、林檎はそのまま落下を続け、地面とぶつかる。
だが、通常の林檎と大きく異なる点は、どれ程強い力を与えても、その林檎には全くの影響が無いという点だ。
ロードローラーで轢こうと、濃硫酸を垂らそうと、核分裂炉に落とそうと、サナエ自身が能力を解かない限り絶対に傷一つつかず、反応一つ起こさない。
微粒子一つとて、取り出すことはできない。
これが主観的時間の停止による効果である。
次いで、客観的時間を止めたとしよう。
客観的時間を止めると、林檎はその座標から動かなくなる。
だがそれは、単に動かなくなるだけでは無い。
我々から見た林檎は───────1400km/hで西へと移動するのだ。
物体の客観的時間が止まれば、座標が固定される。運動する時間すらも止まるためだ。
それはつまり、“地球の自転からも置いていかれる”ということになる。
観測者である我々が動き、林檎は宇宙空間の座標レベルで固定される。
そうすると、我々が林檎を置き去りにしているにも関わらず、あたかも林檎が高速で移動しているように見えるのだ。
「時間操作か……」
苛立たしげに、マサタはサナエを睨む。
「左様だ。我は此の才華を〈司刻刀〉と呼称している」
「じゃあ、俺も教えてやるよ。俺の超能力。てめえらの言い方なら『サイカ』っつーのか?俺の能力は─────」
「“次元転移”……だな?」
サナエの声が、マサタの言葉を殺した。
「…なんだと?」
マサタはその顔面を感嘆の色に染めている。
「貴様の才華は次元を変える能力だ。違うか?」
「てめえまさか…見抜いたのか……!?」
「彼程見せ付けられれば、厭でも察する」
「ははっ。その通りだよ。俺の能力は次元を変えることが出来る」
マサタは乾いた笑みを浮かべながら肩を竦めた。
「………なるほどね」
レンタは得心がいったように頷いていた。
レンタ、コウジ、ヒカリの3名は、近くのアトラクションのレールの上からサナエとマサタの行く末を見守っていた。
「どういうこと?次元が変わると何が起こるの?」
理解の追いつかぬヒカリとコウジは、未だに頭を捻っていた。
「────────ミンコフスキー時空って知ってるかな?」
「異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
14
-
8
-
-
2,629
-
7,284
-
-
3,653
-
9,436
-
-
62
-
89
-
-
344
-
843
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
89
-
139
-
-
23
-
3
-
-
86
-
288
-
-
614
-
1,144
-
-
218
-
165
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
408
-
439
-
-
5,039
-
1万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
1,658
-
2,771
-
-
42
-
52
-
-
62
-
89
-
-
164
-
253
-
-
34
-
83
-
-
51
-
163
-
-
42
-
14
-
-
1,391
-
1,159
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
183
-
157
-
-
220
-
516
-
-
2,799
-
1万
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
614
-
221
-
-
2,431
-
9,370
コメント