異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??

頤親仁

第43話『対策』

「…………なんだって…?」
「とにかく、今は第3会議室へ向かおう。説明は行きながらするよ」
そう言うと、レンタは駆け出した。
コウジはそれを追った。
招集場所へ向かいながら、コウジはレンタから様々な説明を受けた。
まず、招集とは、【排斥対象イントゥルージョン】が出現した際に、戦力である生徒らに「出現場所」「出現個体数」と「【排斥対象】の危険レベル」を提示し、その掃討作戦を指示するものである。
【排斥対象】の危険レベルは、下から順に“ポーン級”“ナイト級”“ビショップ級”“ルーク級”“クイーン級”“キング級”と並んでいる。
そして、その【排斥対象】の掃討に向かう生徒はSSランクが最優先であり、その次にS+、次いでSという順になっている。
曰く、戦力として強力な生徒を、より前線にすることで生徒の被害を最小限に抑えるつもりらしい。また、ただでさえ【排斥対象】一体あたりの討伐賞金が高い生徒が、出撃回数も高くなれば生徒はより高いランクを目指して、自身の才華と武力を向上させようと努力する。そうすれば生徒は強くなり、戦闘における損失も少なく、国や世界にその存在の必要性を認識させることができ、全ての生徒が裕福な生活を送れる。学園としては万々歳である。
そして、【排斥対象】は才華を持った者が固有武器で攻撃することでしか倒せない。
原理は不明だが、【排斥対象】の近くには常識の一切が通用しない『反物理空間』という空間が展開されているため、物理攻撃は銃や剣、爆弾や核弾頭でさえも通用しない。
だが、コウジ達が有している才華とは“通常の物理現象に、人間の意識が介入することで発現する能力”である。端的に言えば、強化された常識だ。
そして、強化された常識と非常識な空間は対極に位置していると言っていいだろう。
すなわち、常識が通じない空間でも、人間の意識により強化された常識を持ち込むことができれば、相殺されるため、勝算はあるのだ。しかし、生身で反物理空間に侵入するのはリスクが高い。そのため、生徒達は固有武器によって、自らの身体を危険にさらすことなく。かつ、攻撃力を上げることで【排斥対象】を討つことができるのだ。
そのような説明を受けながら校舎内を奔走していると、『第3会議室』のプレートが目に入る。
レンタはその扉の前で立ち止まると、二度ノックし、普段とは異なる力のこもった声で言う。
「SSランク、平佐名レンタと塚田コウジです」
すると、中から浜曷の声で返答が聞こえる。
『入りなさい』
「失礼します」
扉を開けると、SSランクの面々が並んでいた。
そして、その列にコウジとレンタも加わる。すると、浜曷が部屋全体を見回し、厳かな声を発した。
「これで全員が揃いました。それでは、現在、東京都足立区で発生している【排斥対象イントゥルージョン】の対策会議を始めます」

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品