異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??

頤親仁

第15話『到着』

陸を離れた機体は、そのまま三十分ほど飛行を続けると、巨大な純白の建物が姿を現し始めた。
「あそこに見えている白い建物が、アニュッシュ学園です」
「マジででけえな…」
アニュッシュ学園は、コウジの想像を遥かに超える敷地面積だった。
「本校の敷地面積は約十平方キロメートルです」
浜曷は淡々と説明を続けた。
「小さい町なら収まるわよ。んで、今からそこに降りるの」
隣から補足をつけるように、横から城嶺が言った。見ると、校舎の屋上にヘリポートと思しきマークが描かれている。
そして、その場所へとヘリはゆっくりと降下していき、着陸した。
着陸すると、スーツに身を包んだ男が浜曷と言葉を交わしていた。
「では、塚田コウジさん。これよりあなたには地下特殊隔離施設に入っていただきます」
「…………………………………え?」
今何と言っただろうか。転入早々に隔離施設?特待生なのに?聞き間違えただけだろうか?
すると、横に居た城嶺がおもむろに説明を挟む。
「アニュッシュ学園の地下にある、能力者矯正施設よ。通称〔ホワイトルーム〕。ここへ来る生徒はホワイトルームで三週間生活することが決まっているのよ」
城嶺は簡潔かつ分かりやすく、隔離施設についての概要を述べた。
「なんで……?」
「なんでって、そりゃあ能力の発動条件や制御方法も知らない奴を、いきなり人の密集した教室なんかにブチ込んだら大事故になりかねないでしょうよ。そのくらい考えが回ってもいいんじゃないの?もしかしてアンタ、そこそこバカだったの?」
ちょっと疑問しただけでとても貶してくる。つらい。だが、確かに城嶺の言う通りでもある。コウジのように人を一人殺めてから転校した奴もいるだろう。にも関わらず、同じ過ちを繰り返すのは賢明とは言えないだろう。
「その間の勉強は……?」
「ホワイトルームに関しては追って説明致します。まずは、学園長室に向かいます」
まだまだ疑問は山積みだったが、転校先の学園長に挨拶もしないのは無礼だ。コウジは浜曷に案内されるまま学園長室へ向かって行った。

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