異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??
第6話『絶叫』
「………は?」
男子生徒が忽然とその姿を消した。
その突然のことに状況を飲み込めないでいると、突如、どこからともなく大量の水が、コウジのすぐ左で吹き出した。反射的にコウジは左を見た。すると左手首から先が純白の焔に包まれていた。そして、その左手から水がとめどなく噴き出していた。
「なんだよ……これ…っ!」
その謎の焔に驚いたコウジは右手で白い炎を払おうとした。だが、その右手は黒い炎に包まれていた。
コウジは何が起きているのか全くわからなかった。
「う、うわぁああぁぁぁあ!」
水の音を聞いて我に返った男子生徒二人が、悲鳴をあげながら走り去って行く。
そして、大量の水と二人の叫び声に興味を持った人たちがゾロゾロと集まり出してくる。
ふと、佐伯の方を見た。佐伯も、未だ何が起きたのかわからないといった様子だった。俺はゆっくりと佐伯に近寄ろうとした。だが、俺の目を見るなり佐伯は顔を真っ青にして後ずさって行く。
「あ、ぁあ、あ…」
「お、おい。まっ、待ってくれよ」
自分でも驚くほど情けない声で佐伯を呼び止めようとする。今の俺の脳内では最悪の予測が巡っている。まさか、まさか…。
「来ないで!このバケモノ!」
佐伯は今まで見たことないような、畏れと憤怒と混ぜ合わせたような表情でそう叫んだ。
そしてその叫びは、俺の最悪の予測そのものだった。
つまり、俺があの男子生徒を消した…。そういうことだろう。
周囲の野次馬は数を増し、騒ぎを聞いて教師たちが駆け付け始めた。
教員の1人が何かを言っているが、聞こえなかった。否、聞こえてはいたのだが、その発言に思考を割けなかったのだ。あまりに突然のことすぎて完全に状況を理解しきれていないのだ。一瞬で消えた男子生徒、突如吹き出した大量の水。そして、佐伯の絶叫。
人を消すなんて出来るはずがない。そう理解はしていても、他人に言われるとそう思い込んでしまう。やはり、俺が彼を消したのだろうか…。
段々と周囲の目が、冷たくなってゆくのを肌で感じた。周囲の雑音や俺を敲く声がやたらと大きく聞こえてきた。圧倒的な孤独感。俺は半ば無意識にその場から駆け出していた。
これはきっと悪い夢だ。きっと朝になれば、普段通りの生活を送れるはず。そう自分に言い聞かせながら、自宅への最短ルートを全力で疾走する。家の屋根が見えた時点で自宅の鍵を取り出し、玄関前に着くと同時に鍵穴に鍵を差し込み捻る。勢いよく扉を開けると、リビングでテレビを観ているスミレがいた。
「えっ?ちょっと、おにいちゃ…」
スミレを尻目に自室に駆け込み、扉の鍵を閉めた。扉に寄りかかるようにへたり込んだが、脳裏に焼き付いた佐伯の顔は消えなかった。左足はあの水でひどく濡れていた。
「はぁ、はぁ…」
上がった自分の息でさえ、今は煩わしかった。部屋着に着替え、イヤホンで大音量で音楽を流しながら俺は眠りについた。
男子生徒が忽然とその姿を消した。
その突然のことに状況を飲み込めないでいると、突如、どこからともなく大量の水が、コウジのすぐ左で吹き出した。反射的にコウジは左を見た。すると左手首から先が純白の焔に包まれていた。そして、その左手から水がとめどなく噴き出していた。
「なんだよ……これ…っ!」
その謎の焔に驚いたコウジは右手で白い炎を払おうとした。だが、その右手は黒い炎に包まれていた。
コウジは何が起きているのか全くわからなかった。
「う、うわぁああぁぁぁあ!」
水の音を聞いて我に返った男子生徒二人が、悲鳴をあげながら走り去って行く。
そして、大量の水と二人の叫び声に興味を持った人たちがゾロゾロと集まり出してくる。
ふと、佐伯の方を見た。佐伯も、未だ何が起きたのかわからないといった様子だった。俺はゆっくりと佐伯に近寄ろうとした。だが、俺の目を見るなり佐伯は顔を真っ青にして後ずさって行く。
「あ、ぁあ、あ…」
「お、おい。まっ、待ってくれよ」
自分でも驚くほど情けない声で佐伯を呼び止めようとする。今の俺の脳内では最悪の予測が巡っている。まさか、まさか…。
「来ないで!このバケモノ!」
佐伯は今まで見たことないような、畏れと憤怒と混ぜ合わせたような表情でそう叫んだ。
そしてその叫びは、俺の最悪の予測そのものだった。
つまり、俺があの男子生徒を消した…。そういうことだろう。
周囲の野次馬は数を増し、騒ぎを聞いて教師たちが駆け付け始めた。
教員の1人が何かを言っているが、聞こえなかった。否、聞こえてはいたのだが、その発言に思考を割けなかったのだ。あまりに突然のことすぎて完全に状況を理解しきれていないのだ。一瞬で消えた男子生徒、突如吹き出した大量の水。そして、佐伯の絶叫。
人を消すなんて出来るはずがない。そう理解はしていても、他人に言われるとそう思い込んでしまう。やはり、俺が彼を消したのだろうか…。
段々と周囲の目が、冷たくなってゆくのを肌で感じた。周囲の雑音や俺を敲く声がやたらと大きく聞こえてきた。圧倒的な孤独感。俺は半ば無意識にその場から駆け出していた。
これはきっと悪い夢だ。きっと朝になれば、普段通りの生活を送れるはず。そう自分に言い聞かせながら、自宅への最短ルートを全力で疾走する。家の屋根が見えた時点で自宅の鍵を取り出し、玄関前に着くと同時に鍵穴に鍵を差し込み捻る。勢いよく扉を開けると、リビングでテレビを観ているスミレがいた。
「えっ?ちょっと、おにいちゃ…」
スミレを尻目に自室に駆け込み、扉の鍵を閉めた。扉に寄りかかるようにへたり込んだが、脳裏に焼き付いた佐伯の顔は消えなかった。左足はあの水でひどく濡れていた。
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