錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~
第12話:錬金術師は活躍する
宿に着いた。
部屋に関しては人数分の料金を取るのではなく、一部屋につき一泊銀貨一枚の料金を払えばそれでいいらしい。
既に三人は何泊かしていたらしく、鍵を持ったままなので、そのまま通路を通って部屋に到着した。
木製の扉を開いて中に入っていく。
部屋はとても簡素なものだった。テーブルとベッドが一台ずつある以外には本当に何もない。雨風を凌ぐためだけの施設になっているらしい。
酔いつぶれたエルゼを肩に抱えたエレナは、部屋の奥に向かうとすぐにエルゼを下ろし、毛布を掛けた。
安心したのか、エルゼはすぐにいびきをかいて眠ってしまう。
「ベッドの順番は三人でローテーションしていたのだけれど、今日のところはシュンが使ってちょうだい」
「いいんですか?」
「私たちはもう慣れてるけど、しっかり疲れをとっておかないと次の日に困るのよ。明日は長距離移動になる予定だし、宿に泊まれるかどうかもわからない。気にせず使ってくれて構わないわ」
確かに今日は新しい人との出会いがあって――いや、その前に訳のわからないまま異世界に連れてこられて、追い出されて、戦って……正直疲れている。
エレナさんにはしっかりと見破られていたらしい。
「わかりました。ありがたく使わせてもらいます」
「ええ、じゃあおやすみ」
「シュン、おやすみなさい」
「ああ、二人ともおやすみ」
俺はベッドに身を寄せ、リーゼとエレナは床で身体に毛布を掛けている。
それにしても、美少女三人と同じ部屋で寝ることになるとはな。……さすがにドキドキしないわけがない。とはいえ、疲れもあって今日のところは眠れそうだ。
ちらっとリーゼを見る。部屋は真っ暗だが、目が慣れてきて様子くらいはわかる。
すやすやと眠っていた。今日知り合ったばかりの男がいるというのに、呑気な勇者もいたものだな。
さて、寝るか。
◇
勇者の起床時間は午前七時だ。
リーゼに起こされて、寝ぼけ眼を擦りながら起き上がる。
……どうやら、俺が異世界に来たのは夢でも幻でもなく、現実だったらしい。一夜が明けてもそこは異世界で、昨日泊まった簡素な部屋だった。
「おはようございます、シュン」
「おはよう、リーゼ」
近くの食堂で朝食を済ませると、次に向かったのは雑貨屋だ。
長距離移動時には事前の準備が何よりも大切になる。食料、水、その他消耗品など万が一に備えてたくさんのものを準備しなければならない。
普段から大荷物を持っていると大変なので、直前に買う取り決めになっているという。
「他にも買っておきたいけれど……さすがに全部は無理よね」
エレナさんが悩まし気に呟く。
「シュンがパーティに入ってくれたのでいつもより多くは持てますけど、あんまり多いと今度は戦闘に支障が出ます」
「ならば私が根性で二人分の荷物を持とう!」
どうやら、用意しておきたい物が多すぎてどれを削ろうか悩んでいるとのことらしい。
「でも、どれかを削ると何かのリスクが増えるってことですよね」
「そうなのよ。食料と水は絶対に外せない。……でも、水は重いからそんなに量を持てないし、食料は買いすぎても腐らせてしまう。諸々の消耗品だって毎回悩みの種だわ」
四人で分担して持てばかなりの量を運ぶことができる。それでも、やはり持っていきたい物を全てカバーすることはできないのだ。
でも、もしかすると俺なら解決できるかもしれない。
「あの、もしよければ俺が全部持ちますけど」
「……エルゼじゃないんだから。さすがにそれは無理よ」
「できますよ、例えばほら」
購入した物を詰めるためのリュックをアイテムスロットにしまう。
これはダイヤモンドの原石を収納するときにリーゼに見せたのとまったく同じだ。
「なっ……どこに消えたの!?」
「安心してください、ちゃんとここにあります」
今度はアイテムスロットからバッグを取り出した。
「さ、さすがはシュンです!」
「こんな魔法見たことがない……錬金術とは極めればここまでのことができるものなのか!?」
三人はそれぞれが驚愕したのだった。
アイテムスロットに収納すればどれだけの量のアイテムでも保管できるし、移動中も身軽になれる。
「もしよければ、いくらでも持ちますよ」
「こ、これはシュンに頼むほかないわね……」
こうして必要な物を不足なく全て揃えて、万全な状態で出発することができた。
「シュン、ダイヤモンドの原石のことなんですけど」
隣を歩くリーゼが話しかけてくる。
「うん?」
「王都アリシにはたくさんの人が集まります。あの大都市ならきっと高値で売れると思います。着いたらさっそくオークションを開きましょう!」
おおっそれは助かる。
必要なお金は今まで全部勇者パーティに出してもらっていたから、不自由はしていなかったけれど、少しはお金を持っておいた方が良いのも確かだ。きっと大金になるだろう。今からとても楽しみだ。
「オークションのやり方とかわからないんだけど……ついてきてもらってもいいか?」
「当然ですっ!」
「そうか、よろしく頼むよ」
今のところ、道のりは平坦だ。このまま首都アリシに着くまで何事もなければいいのだが……。
部屋に関しては人数分の料金を取るのではなく、一部屋につき一泊銀貨一枚の料金を払えばそれでいいらしい。
既に三人は何泊かしていたらしく、鍵を持ったままなので、そのまま通路を通って部屋に到着した。
木製の扉を開いて中に入っていく。
部屋はとても簡素なものだった。テーブルとベッドが一台ずつある以外には本当に何もない。雨風を凌ぐためだけの施設になっているらしい。
酔いつぶれたエルゼを肩に抱えたエレナは、部屋の奥に向かうとすぐにエルゼを下ろし、毛布を掛けた。
安心したのか、エルゼはすぐにいびきをかいて眠ってしまう。
「ベッドの順番は三人でローテーションしていたのだけれど、今日のところはシュンが使ってちょうだい」
「いいんですか?」
「私たちはもう慣れてるけど、しっかり疲れをとっておかないと次の日に困るのよ。明日は長距離移動になる予定だし、宿に泊まれるかどうかもわからない。気にせず使ってくれて構わないわ」
確かに今日は新しい人との出会いがあって――いや、その前に訳のわからないまま異世界に連れてこられて、追い出されて、戦って……正直疲れている。
エレナさんにはしっかりと見破られていたらしい。
「わかりました。ありがたく使わせてもらいます」
「ええ、じゃあおやすみ」
「シュン、おやすみなさい」
「ああ、二人ともおやすみ」
俺はベッドに身を寄せ、リーゼとエレナは床で身体に毛布を掛けている。
それにしても、美少女三人と同じ部屋で寝ることになるとはな。……さすがにドキドキしないわけがない。とはいえ、疲れもあって今日のところは眠れそうだ。
ちらっとリーゼを見る。部屋は真っ暗だが、目が慣れてきて様子くらいはわかる。
すやすやと眠っていた。今日知り合ったばかりの男がいるというのに、呑気な勇者もいたものだな。
さて、寝るか。
◇
勇者の起床時間は午前七時だ。
リーゼに起こされて、寝ぼけ眼を擦りながら起き上がる。
……どうやら、俺が異世界に来たのは夢でも幻でもなく、現実だったらしい。一夜が明けてもそこは異世界で、昨日泊まった簡素な部屋だった。
「おはようございます、シュン」
「おはよう、リーゼ」
近くの食堂で朝食を済ませると、次に向かったのは雑貨屋だ。
長距離移動時には事前の準備が何よりも大切になる。食料、水、その他消耗品など万が一に備えてたくさんのものを準備しなければならない。
普段から大荷物を持っていると大変なので、直前に買う取り決めになっているという。
「他にも買っておきたいけれど……さすがに全部は無理よね」
エレナさんが悩まし気に呟く。
「シュンがパーティに入ってくれたのでいつもより多くは持てますけど、あんまり多いと今度は戦闘に支障が出ます」
「ならば私が根性で二人分の荷物を持とう!」
どうやら、用意しておきたい物が多すぎてどれを削ろうか悩んでいるとのことらしい。
「でも、どれかを削ると何かのリスクが増えるってことですよね」
「そうなのよ。食料と水は絶対に外せない。……でも、水は重いからそんなに量を持てないし、食料は買いすぎても腐らせてしまう。諸々の消耗品だって毎回悩みの種だわ」
四人で分担して持てばかなりの量を運ぶことができる。それでも、やはり持っていきたい物を全てカバーすることはできないのだ。
でも、もしかすると俺なら解決できるかもしれない。
「あの、もしよければ俺が全部持ちますけど」
「……エルゼじゃないんだから。さすがにそれは無理よ」
「できますよ、例えばほら」
購入した物を詰めるためのリュックをアイテムスロットにしまう。
これはダイヤモンドの原石を収納するときにリーゼに見せたのとまったく同じだ。
「なっ……どこに消えたの!?」
「安心してください、ちゃんとここにあります」
今度はアイテムスロットからバッグを取り出した。
「さ、さすがはシュンです!」
「こんな魔法見たことがない……錬金術とは極めればここまでのことができるものなのか!?」
三人はそれぞれが驚愕したのだった。
アイテムスロットに収納すればどれだけの量のアイテムでも保管できるし、移動中も身軽になれる。
「もしよければ、いくらでも持ちますよ」
「こ、これはシュンに頼むほかないわね……」
こうして必要な物を不足なく全て揃えて、万全な状態で出発することができた。
「シュン、ダイヤモンドの原石のことなんですけど」
隣を歩くリーゼが話しかけてくる。
「うん?」
「王都アリシにはたくさんの人が集まります。あの大都市ならきっと高値で売れると思います。着いたらさっそくオークションを開きましょう!」
おおっそれは助かる。
必要なお金は今まで全部勇者パーティに出してもらっていたから、不自由はしていなかったけれど、少しはお金を持っておいた方が良いのも確かだ。きっと大金になるだろう。今からとても楽しみだ。
「オークションのやり方とかわからないんだけど……ついてきてもらってもいいか?」
「当然ですっ!」
「そうか、よろしく頼むよ」
今のところ、道のりは平坦だ。このまま首都アリシに着くまで何事もなければいいのだが……。
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