錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~
第9話:錬金術師は修復する
エルゼの盾は粉々に打ち砕かれた。
俺の魔法が、勇者の盾に勝ったのだ。決闘のルールに則り、勝利が確定した。
リーゼとの約束を守ることができた。
勝利の充実感はとても心地よいものだ。
そんな俺とは対照的に、エルゼは粉々になった盾を見て絶句していた。
まさか最強の盾が壊れるなんて想定していなかったのだろう。だから俺の提案に簡単に乗ってくれたのだが、いまだに現実を受け入れられないのか、固まったままだ。
「――勝者、シュン・サトウ。決闘終了」
審判のエレナの声で、決闘終了を告げられる。
俺たちの決闘を見守っていたリーゼとエレナの二人が、大急ぎで駆け寄ってくる。
「まさかエルゼの盾が壊されるなんて……一体どれほどの威力があったのかしら」
「シュンは流石としか言いようがありませんが……これからどうしましょう」
二人が駆け寄ってきたタイミングで、固まったままだったエルゼも意識を取り戻し始める。
エルゼは立ち上がると、俺に握手を求めてきた。
俺はその手を取り、握手を受け入れる。
「さすがだったよ、シュン・サトウ。まさか私の盾が貫かれる日がこようとはな」
「エルゼさんの方こそ、さすが勇者だなって思いました。最初はどうなるかと思いましたよ」
自身の負けを受け入れ、勝者に握手を求めるとはな。さすがは勇者、人間が出来ている。メンタルも相当なものだ。
エルゼは足元に散らばったままの盾の破片を見て、遠い目をした。
「しかし……勇者武器が無くなってしまっては、もう引退するしかないだろうな」
「そ、そんな……エルゼが!」
リーゼが心配そうにエルゼを見る。
もしかしてこの盾は替えが効かないのか? だとしたら、俺もしかしてとんでもないことやっちゃったんじゃ……。
「そんな目をするな、シュン。貴様が悪いのではない。貴様の攻撃を受け止めきれなかった私が敗者であり、全てを受け入れる責任がある。私には剣の技もある。今後は剣術の家庭教師をやれば生きてはいけるさ」
……それはあまりに可哀想だ。この一戦が結果として彼女の将来を大きく変えてしまった。俺はリーゼとの約束を守るのに必死だった。でも、エルゼさんだって決して悪い人ではないと思う。なんとかしてあげたい。
「エルゼに家庭教師なんて無理よ。だって子どもを相手にするのが苦手でしょう?」
「な、何を言うかエレナ! 私は断じて子どもが苦手なのではない! 子どもがなぜか私を避けるのだ」
「同じことよ。仕事がなくてはこの先生活できないわ」
「ふん、剣術を学びたいのはなにも子どもだけではない。リタイアした時間に余裕のある大人だって学びたいのだ。私は誰であっても教えるつもりだ」
「……剣意外の仕事に就くつもりはないのかしら?」
「ふん、あるわけがない」
二人のやりとりを聞いていると、胸が痛くなってくる。エルゼは気にするなと言っていた。でも、気にしないなんてできるはずがない。盾が本職の彼女に、これからは剣だけで生きろと告げるなんて、酷すぎる。
俺が迂闊だった。この世界がゲームみたいだから、壊してもなんとかなるんだろうと勝手に考えていた。でも、どうにもならないこともあるのだ。
何か……何か手はないのか?
その時、ふと頭をよぎる。
不可能を可能にするだけの可能性を俺は持っているんじゃないか?
戦ったことなんてなかった俺がダイヤモンドスライムに勝ち、その後エルゼさんとの決闘に勝てた理由。それはスキルだ。
エルゼさんの盾をどうにかするスキルがあるかもしれない。
俺はシステムウィンドウを呼び出し、ワード検索をかける。
修復……あった!
【リペアイクイプメント】
説明を読むと、このスキルは壊れた装備の情報体を時空を越えて取得し、修復する効果がある。今回は破片が残っているが、仮になかったとしても修復は可能だということだ。
この状況にドンピシャのスキルがあったことに軽く感動する。このスキルライブラリーを使ってできないことなんて多分ないのだろう。
俺はスキルポイントを1使って、取得する。
心中でリペアイクイプペントと唱える。
すると、俺の身体から魔力が吸い取られるいく感覚を覚えた。
かなりの魔力を吸われている。
【魔力無限】が無ければ、廃人になっていたかもしれない量の魔力だ。魔力とは精神と密接に関係している。生命力が完全に無くなれば動けなくなってしまうように、魔力がなくなると意識が遠のき、自分を保てなくなる。誰からも説明を受けたわけではないが、そう直感した。
壊れた盾の破片が空中に集合していく。
その異様な光景に、俺以外の三人も気づいた。
「シュン、貴様は一体何を……なっ、盾が!」
またたく間に破片は盾の形を取り、パズルのように組み合わさっていく。
全てのピースが揃った盾はまだ部品が集まっただけ。継ぎ接ぎの盾だ。
さらに膨大な魔力が吸われていく――。
継ぎ接ぎはだんだんと結合し、滑らかになっていく。そして、全ての修復が完了した。
空中に浮かんでいた盾が地面に落下する。
「エルゼさん、あなたの盾はここに戻りました。引退するなんて言わないでください。あなたが持つべきものは、この盾です」
エルゼは口を半開きにさせたまま、盾を持ち上げて撫でる。
「ほ、本当に私の盾だ……こんな修復術、聞いたことがない! 国中の鍛冶職人を集めてもできないだろう……ありがとう……本当にありがとう!」
エルゼは俺に抱き着いてくる。
俺の顔に顔をうずめる彼女は、少し泣いているようだ。我慢していたのかもしれない。
エルゼが顔を上げる。照れているのか、頬が赤くなっている。気づけば耳まで真っ赤だ。そしてその真っ赤な顔には、はちきれんばかりの笑顔が浮かんでいる。
「シュン、貴様は勇者になるべきだ! 私と一緒に魔王を倒そう!」
……え?
俺の魔法が、勇者の盾に勝ったのだ。決闘のルールに則り、勝利が確定した。
リーゼとの約束を守ることができた。
勝利の充実感はとても心地よいものだ。
そんな俺とは対照的に、エルゼは粉々になった盾を見て絶句していた。
まさか最強の盾が壊れるなんて想定していなかったのだろう。だから俺の提案に簡単に乗ってくれたのだが、いまだに現実を受け入れられないのか、固まったままだ。
「――勝者、シュン・サトウ。決闘終了」
審判のエレナの声で、決闘終了を告げられる。
俺たちの決闘を見守っていたリーゼとエレナの二人が、大急ぎで駆け寄ってくる。
「まさかエルゼの盾が壊されるなんて……一体どれほどの威力があったのかしら」
「シュンは流石としか言いようがありませんが……これからどうしましょう」
二人が駆け寄ってきたタイミングで、固まったままだったエルゼも意識を取り戻し始める。
エルゼは立ち上がると、俺に握手を求めてきた。
俺はその手を取り、握手を受け入れる。
「さすがだったよ、シュン・サトウ。まさか私の盾が貫かれる日がこようとはな」
「エルゼさんの方こそ、さすが勇者だなって思いました。最初はどうなるかと思いましたよ」
自身の負けを受け入れ、勝者に握手を求めるとはな。さすがは勇者、人間が出来ている。メンタルも相当なものだ。
エルゼは足元に散らばったままの盾の破片を見て、遠い目をした。
「しかし……勇者武器が無くなってしまっては、もう引退するしかないだろうな」
「そ、そんな……エルゼが!」
リーゼが心配そうにエルゼを見る。
もしかしてこの盾は替えが効かないのか? だとしたら、俺もしかしてとんでもないことやっちゃったんじゃ……。
「そんな目をするな、シュン。貴様が悪いのではない。貴様の攻撃を受け止めきれなかった私が敗者であり、全てを受け入れる責任がある。私には剣の技もある。今後は剣術の家庭教師をやれば生きてはいけるさ」
……それはあまりに可哀想だ。この一戦が結果として彼女の将来を大きく変えてしまった。俺はリーゼとの約束を守るのに必死だった。でも、エルゼさんだって決して悪い人ではないと思う。なんとかしてあげたい。
「エルゼに家庭教師なんて無理よ。だって子どもを相手にするのが苦手でしょう?」
「な、何を言うかエレナ! 私は断じて子どもが苦手なのではない! 子どもがなぜか私を避けるのだ」
「同じことよ。仕事がなくてはこの先生活できないわ」
「ふん、剣術を学びたいのはなにも子どもだけではない。リタイアした時間に余裕のある大人だって学びたいのだ。私は誰であっても教えるつもりだ」
「……剣意外の仕事に就くつもりはないのかしら?」
「ふん、あるわけがない」
二人のやりとりを聞いていると、胸が痛くなってくる。エルゼは気にするなと言っていた。でも、気にしないなんてできるはずがない。盾が本職の彼女に、これからは剣だけで生きろと告げるなんて、酷すぎる。
俺が迂闊だった。この世界がゲームみたいだから、壊してもなんとかなるんだろうと勝手に考えていた。でも、どうにもならないこともあるのだ。
何か……何か手はないのか?
その時、ふと頭をよぎる。
不可能を可能にするだけの可能性を俺は持っているんじゃないか?
戦ったことなんてなかった俺がダイヤモンドスライムに勝ち、その後エルゼさんとの決闘に勝てた理由。それはスキルだ。
エルゼさんの盾をどうにかするスキルがあるかもしれない。
俺はシステムウィンドウを呼び出し、ワード検索をかける。
修復……あった!
【リペアイクイプメント】
説明を読むと、このスキルは壊れた装備の情報体を時空を越えて取得し、修復する効果がある。今回は破片が残っているが、仮になかったとしても修復は可能だということだ。
この状況にドンピシャのスキルがあったことに軽く感動する。このスキルライブラリーを使ってできないことなんて多分ないのだろう。
俺はスキルポイントを1使って、取得する。
心中でリペアイクイプペントと唱える。
すると、俺の身体から魔力が吸い取られるいく感覚を覚えた。
かなりの魔力を吸われている。
【魔力無限】が無ければ、廃人になっていたかもしれない量の魔力だ。魔力とは精神と密接に関係している。生命力が完全に無くなれば動けなくなってしまうように、魔力がなくなると意識が遠のき、自分を保てなくなる。誰からも説明を受けたわけではないが、そう直感した。
壊れた盾の破片が空中に集合していく。
その異様な光景に、俺以外の三人も気づいた。
「シュン、貴様は一体何を……なっ、盾が!」
またたく間に破片は盾の形を取り、パズルのように組み合わさっていく。
全てのピースが揃った盾はまだ部品が集まっただけ。継ぎ接ぎの盾だ。
さらに膨大な魔力が吸われていく――。
継ぎ接ぎはだんだんと結合し、滑らかになっていく。そして、全ての修復が完了した。
空中に浮かんでいた盾が地面に落下する。
「エルゼさん、あなたの盾はここに戻りました。引退するなんて言わないでください。あなたが持つべきものは、この盾です」
エルゼは口を半開きにさせたまま、盾を持ち上げて撫でる。
「ほ、本当に私の盾だ……こんな修復術、聞いたことがない! 国中の鍛冶職人を集めてもできないだろう……ありがとう……本当にありがとう!」
エルゼは俺に抱き着いてくる。
俺の顔に顔をうずめる彼女は、少し泣いているようだ。我慢していたのかもしれない。
エルゼが顔を上げる。照れているのか、頬が赤くなっている。気づけば耳まで真っ赤だ。そしてその真っ赤な顔には、はちきれんばかりの笑顔が浮かんでいる。
「シュン、貴様は勇者になるべきだ! 私と一緒に魔王を倒そう!」
……え?
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