錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~
第8話:錬金術師は約束を果たす
決闘は村の中では行わない。
村の中には商店が並んでいたり、たくさんの人が行き交っているのだ。
あくまで迷惑をかけないようにするのがマナー。暗黙の了解というやつだ。
制限時間は無し。審判はエレナが務める。
リーゼは俺とエルゼの戦いを見守っている。
エルゼが剣を抜いた。
「シュン、貴様は武器を使わないのか?」
「俺の攻撃は武器を使わないんだ」
「ふっ、武器を持たずにどう戦うのか見ものだな」
俺とエルゼの準備は万端。
後は決闘開始の合図を待つのみとなった。
「では、決闘を開始します」
エレナの宣言で、ついに決闘が始まった。
エルゼは盾を構えて俺を睨む。
攻撃をしてこいということか。先制攻撃のチャンスをくれるとは、舐められたものだ。
俺はダイヤモンドスライムを倒した時と同じ方法をとる。
【魔力無限】で高熱にしたファイヤーボールを召喚し、エルゼに向かって浴びせる。
エルゼは俺の攻撃を避けなかった。避けられなかったのではない。盾に当てたのだ。
被弾した盾の周辺で爆発が起こる。
爆風で土埃が舞い、視界が失われる。
やったか!?
「なるほど、私は少々貴様を甘く見ていたらしいな……」
「なっ……」
ダイヤモンドスライムでさえも燃える温度。1000度の熱と爆風にあてられたにも関わらず、エルゼは無事だった。盾は溶けるどころか、焦げ跡すらついていない。
頑丈すぎる。実戦経験がほぼゼロの俺は接近戦を想定していない。遠距離攻撃はファイヤーボールしか持ち合わせていない。
……どうしろってんだ!
「この高温。威力。……なるほど、これならダイヤモンドスライムを倒したというのも頷ける。さらには、世界でもほとんどいない無詠唱魔法を使うとは……リーゼの目は確かだったらしいな」
エルゼは前のめりの姿勢になる。
「だが、そのスキル自体は初心者魔法使いが覚える程度のもの。そんなものでこの盾を敗れはせんっ!」
エルゼは言い放つと、猛ダッシュで俺に向かって飛び込んでくる。
あの剣が盾ほどの性能を持つはずはないだろうが、それでも攻撃を受けるのは避けておきたい。
俺は【サンドボール】と【ウィンドボール】の重ね技で姿をくらます。
逃げるための一手だったが、思わぬ収穫があった。
「ゴホッ……ゴホッ……な、なんと卑怯な!」
想定外の砂埃のせいで、エルゼは咳き込んでしまう。
でも、このままではリーゼとの約束を果たせなくなってしまう。今のうちに何か考えろ、最善の一手を。
この状況を打破する方法を!
その瞬間、目の前に『TIPS』という大きな文字が出現する。
その下には、錬金術に関する様々な情報が羅列していた。その文字の羅列は、普通の人間が一生かかっても読み解くことのできないであろう、大量の情報が載っている。
しかし次の瞬間には、俺はその内容を完璧に理解していた。
読まなくても情報が自然に頭に入り込み、勝手に理解していく。身体に沁み込んでいく。
錬金術師の真価。錬金術師である所以。
「うおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!」
これこそが錬金術師にだけ使うことのできる奥義。この世界の歴史から失われた能力。俺が得た情報によれば、錬金術師が本当の意味で力を欲した時、数々の条件が揃っていれば解禁されるというシークレット能力だ。
【魔法錬金術】
既存の『魔法』を、魔力量などのある意味物理的・魔力的法則を無視して新たな魔法を生み出す能力。
突破口は開かれた。
エルゼにも勝てる最善の一手を思いついたのだ。
「どうした、急に叫んだりして」
エルゼが訝しむ。
あまりの情報量の多さに脳がパンクしそうになり、つい発狂してしまった。他人から見れば俺の姿は異常だったのだろう。
「なんでもないさ。この戦いに勝つ方法を思いついて嬉しかっただけだな」
「ふん、変なやつだな」
決闘は仕切り直しだ。
エルゼが盾を構える。
俺が使う魔法は六種の魔法全てだ。併せて【魔力無限】も使う。
この方法が最大の火力を発生させるのだ。スマートな戦いでは、攻守優れた相手を倒すことはできない。あの盾を打ち砕くことのできる魔法を放つことが出来れば、その瞬間に勝敗は決する。
「一つ提案がある」
「聞こう!」
「俺には魔力が無限に使えるという特殊な能力がある。エルゼも十分な体力を持っている。まともに勝負をすれば、戦いはかなりの長期戦になるだろう」
「そうかもしれないな」
「だから、今から俺が放つ一撃で勝負しないか?」
エルゼはなにやら考えているようだ。俺の提案になにか裏がないか疑っているのかもしれない。
「詳しく聞こう」
「簡単なことだ。俺が放つ一撃で、エルゼの盾を破壊することが出来たら俺の勝ち。破壊することができなければエルゼの勝ちだ」
「勇者の盾はどんな武器・魔法でも貫くことのできない鉄壁の盾だ。それを理解しているのか?」
「そこまで強いとは知らなかったが、相当硬いことは理解している」
「ふん、ならばその提案、受けようではないか。私には何の不利にもならないようだしな」
「感謝するよ」
交渉成立だ。この交渉のおかげで、全てを賭けた俺の一撃が避けられる心配はなくなった。
「では、さっそく攻撃に移らせてもらう」
俺はさっき覚えたばかりの【魔法錬金術】を使い、魔法を調合していく。
【魔法錬金術】は、同種の魔法を組み合わせる時に特別強い性能を発揮する。
属性ボールシリーズは全六種類。この六種類を調合することで、6の6乗倍……46656倍の攻撃力を、【魔力無限】により強化した攻撃に重ねることができる。
この攻撃力は、世界が恐怖した水爆を軽く凌駕する。
そのまま使ってしまうとこの世界の終焉を迎えてしまう。
だから、盾だけに攻撃を吸収させる。それも【魔法錬金術】の力だ。
「これで終わりだ」
俺は最大火力に強化した六属性魔法をエルゼの純白の盾に叩きこむ。
眩い光が煌めく。
そして、パキパキ……という音がした次の瞬間には、盾は粉々に砕け散っていた。
村の中には商店が並んでいたり、たくさんの人が行き交っているのだ。
あくまで迷惑をかけないようにするのがマナー。暗黙の了解というやつだ。
制限時間は無し。審判はエレナが務める。
リーゼは俺とエルゼの戦いを見守っている。
エルゼが剣を抜いた。
「シュン、貴様は武器を使わないのか?」
「俺の攻撃は武器を使わないんだ」
「ふっ、武器を持たずにどう戦うのか見ものだな」
俺とエルゼの準備は万端。
後は決闘開始の合図を待つのみとなった。
「では、決闘を開始します」
エレナの宣言で、ついに決闘が始まった。
エルゼは盾を構えて俺を睨む。
攻撃をしてこいということか。先制攻撃のチャンスをくれるとは、舐められたものだ。
俺はダイヤモンドスライムを倒した時と同じ方法をとる。
【魔力無限】で高熱にしたファイヤーボールを召喚し、エルゼに向かって浴びせる。
エルゼは俺の攻撃を避けなかった。避けられなかったのではない。盾に当てたのだ。
被弾した盾の周辺で爆発が起こる。
爆風で土埃が舞い、視界が失われる。
やったか!?
「なるほど、私は少々貴様を甘く見ていたらしいな……」
「なっ……」
ダイヤモンドスライムでさえも燃える温度。1000度の熱と爆風にあてられたにも関わらず、エルゼは無事だった。盾は溶けるどころか、焦げ跡すらついていない。
頑丈すぎる。実戦経験がほぼゼロの俺は接近戦を想定していない。遠距離攻撃はファイヤーボールしか持ち合わせていない。
……どうしろってんだ!
「この高温。威力。……なるほど、これならダイヤモンドスライムを倒したというのも頷ける。さらには、世界でもほとんどいない無詠唱魔法を使うとは……リーゼの目は確かだったらしいな」
エルゼは前のめりの姿勢になる。
「だが、そのスキル自体は初心者魔法使いが覚える程度のもの。そんなものでこの盾を敗れはせんっ!」
エルゼは言い放つと、猛ダッシュで俺に向かって飛び込んでくる。
あの剣が盾ほどの性能を持つはずはないだろうが、それでも攻撃を受けるのは避けておきたい。
俺は【サンドボール】と【ウィンドボール】の重ね技で姿をくらます。
逃げるための一手だったが、思わぬ収穫があった。
「ゴホッ……ゴホッ……な、なんと卑怯な!」
想定外の砂埃のせいで、エルゼは咳き込んでしまう。
でも、このままではリーゼとの約束を果たせなくなってしまう。今のうちに何か考えろ、最善の一手を。
この状況を打破する方法を!
その瞬間、目の前に『TIPS』という大きな文字が出現する。
その下には、錬金術に関する様々な情報が羅列していた。その文字の羅列は、普通の人間が一生かかっても読み解くことのできないであろう、大量の情報が載っている。
しかし次の瞬間には、俺はその内容を完璧に理解していた。
読まなくても情報が自然に頭に入り込み、勝手に理解していく。身体に沁み込んでいく。
錬金術師の真価。錬金術師である所以。
「うおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!」
これこそが錬金術師にだけ使うことのできる奥義。この世界の歴史から失われた能力。俺が得た情報によれば、錬金術師が本当の意味で力を欲した時、数々の条件が揃っていれば解禁されるというシークレット能力だ。
【魔法錬金術】
既存の『魔法』を、魔力量などのある意味物理的・魔力的法則を無視して新たな魔法を生み出す能力。
突破口は開かれた。
エルゼにも勝てる最善の一手を思いついたのだ。
「どうした、急に叫んだりして」
エルゼが訝しむ。
あまりの情報量の多さに脳がパンクしそうになり、つい発狂してしまった。他人から見れば俺の姿は異常だったのだろう。
「なんでもないさ。この戦いに勝つ方法を思いついて嬉しかっただけだな」
「ふん、変なやつだな」
決闘は仕切り直しだ。
エルゼが盾を構える。
俺が使う魔法は六種の魔法全てだ。併せて【魔力無限】も使う。
この方法が最大の火力を発生させるのだ。スマートな戦いでは、攻守優れた相手を倒すことはできない。あの盾を打ち砕くことのできる魔法を放つことが出来れば、その瞬間に勝敗は決する。
「一つ提案がある」
「聞こう!」
「俺には魔力が無限に使えるという特殊な能力がある。エルゼも十分な体力を持っている。まともに勝負をすれば、戦いはかなりの長期戦になるだろう」
「そうかもしれないな」
「だから、今から俺が放つ一撃で勝負しないか?」
エルゼはなにやら考えているようだ。俺の提案になにか裏がないか疑っているのかもしれない。
「詳しく聞こう」
「簡単なことだ。俺が放つ一撃で、エルゼの盾を破壊することが出来たら俺の勝ち。破壊することができなければエルゼの勝ちだ」
「勇者の盾はどんな武器・魔法でも貫くことのできない鉄壁の盾だ。それを理解しているのか?」
「そこまで強いとは知らなかったが、相当硬いことは理解している」
「ふん、ならばその提案、受けようではないか。私には何の不利にもならないようだしな」
「感謝するよ」
交渉成立だ。この交渉のおかげで、全てを賭けた俺の一撃が避けられる心配はなくなった。
「では、さっそく攻撃に移らせてもらう」
俺はさっき覚えたばかりの【魔法錬金術】を使い、魔法を調合していく。
【魔法錬金術】は、同種の魔法を組み合わせる時に特別強い性能を発揮する。
属性ボールシリーズは全六種類。この六種類を調合することで、6の6乗倍……46656倍の攻撃力を、【魔力無限】により強化した攻撃に重ねることができる。
この攻撃力は、世界が恐怖した水爆を軽く凌駕する。
そのまま使ってしまうとこの世界の終焉を迎えてしまう。
だから、盾だけに攻撃を吸収させる。それも【魔法錬金術】の力だ。
「これで終わりだ」
俺は最大火力に強化した六属性魔法をエルゼの純白の盾に叩きこむ。
眩い光が煌めく。
そして、パキパキ……という音がした次の瞬間には、盾は粉々に砕け散っていた。
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