錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~

蒼月幸二

第7話:錬金術師は決闘する

 まさかこの三人が勇者だとは思わなかった……。

「私の名はエルゼ・プランタード。盾の勇者として知られている」

 ふふん、と鼻を鳴らすエルゼ。
 確かに彼女は片手に盾を装備している。装飾が凝られた美しい白色の盾だ。
 剣もぶらさげているようだが、メインは守りなのだろう。

「そしてこっちはエレナ・レイズクロフトだ」

「私がエレナよ。癒しの勇者として、回復役を担当しているわ」

 回復魔法を使うからだろうか、彼女と背丈と同じくらいの長さの杖を携えている。
 『魔女』と言うとどこか暗い印象を受けるが、このエレナも白を基調とした装備をしており、逆に明るい。

「俺はシュン・サトウって言います。職業は錬金術師です」

「ふむ、錬金術師か」

「あ、エルゼったらシュンのこと甘く見てるでしょ! シュンは凄いんだから! 魔法が使える錬金術師なの!」

「な、そんなはずは……リーゼは頭がおかしくなったのか?」

 エルゼは、リーゼの説明に納得がいかないようだ。

「本当よ! あのダイヤモンドスライムを瞬殺しちゃったんだから!」

「リーゼの言うことが本当なら、シュン殿は我々よりも強いことになってしまうぞ?」

「だからそうなんだってば!」

 そういえば、リーゼはダイヤモンドスライムの説明の途中で、勇者でも手を焼くと言っていた。俺がほぼ一人で難なく倒せたのだとすると、確かに俺の方が強いことになってしまう。
 俺はたまたま相性の良い方法で倒しただけなのだが、ここまで話が肥大するとちょっと辛いな。
 よし、言い訳しよう。

「実はですね――」

「なるほど、それは面白い。ならば、決闘してもらうとしよう!」

 ……は?
 この人は何を言っているんだ?
 エルゼは盾ながら、俺を値踏みするように見つめる。

「決闘って……勇者相手に、俺がですか?」

「そうだ。もしリーゼより強い者がいたのだとしたら、その存在を放っておくことは出来ぬ。勇者は常に最強である必要があるのだ。魔族、魔王、さらにその上の存在と渡り合うためにはな。シュン・サトウ、わかってくれ」

「はあ……」

 とは言っても、俺に使えるのは現時点で六種の魔法と、【魔力無限】だけ。
 今から別のスキルを取れば確実に勝てそうではあるが、それはフェアじゃない気がする。

「エルゼ、それは本気ですか!? 確かにシュンさんは強いですけど……ごめんなさい、シュン」

「リーゼが謝ることじゃないよ」

「でも……多分、この決闘はシュンさんの未来を変えてしまいます。もしあなたが本当に――……になりたいのならいいのですが……」

 ん?
 途中が聞き取れなかった。きっと大事なことを言っているのだろう。しかし聞き返すタイミングを逃してしまった。

「さあ決闘だ。相手は私が務めよう」

 はあ、やれやれ。仕方ないな。
 全力で戦ってもきっとエルゼさんには勝てないだろう。でも、それでいい。リーゼには悪いが、ダイヤモンドスライムを倒したのはたまたまだった。それできっと納得してくれる。

「わかった、その決闘を受けるよ」

「おおっ! さすがはリーゼが見込んだ男だな!」

「ふうん、逃げるかと思ったけれど、意外と根性があるのね」

 どういうわけか、エレナさんからの評価も上々だ。
 まあ、この決闘が終わったら二度と会うことはないんだろうけど。

「シュン……お願いがあります」

「うん?」

 リーゼが俺のもとに駆け寄ってきた。
 俺の胸に顔をうずめてくる。

「決闘するからには、シュンが勝ってくださいね! 私、シュンに勝ってほしいんです!」

「はは、まあやるだけはやってみるさ。とは言っても、相手が勇者だとちょっと自信ないけどな」

「そんなことはありません、シュンならエルゼに勝てます」

「買いかぶりすぎだよ」

「買いかぶっていません。私はこの目であの戦いを見たんですから」

 ここまで言わせるほどのことをした覚えはない。
 ダイヤモンドの燃える温度を知っていたからできただけだ。なんにでも応用できるわけじゃない。

「シュン、絶対に勝つと約束してください。もしシュンが約束を守ってくれたら……なんでもお願いを聞きます。私はシュンと一緒にいたいです」

「なんでもって……じゃあ、結婚してくれっていったらしてくれんの?」

 冗談めかして言ってみる。
 女の子が「なんでも」なんて簡単に言っちゃいけないのさ。

「シュ、シュンさえ良ければ……考えます」

 え、本当かよ!
 本気だったのか!
 リーゼの頬が赤くなっていく。

「だから……お願いします」

 これだけの思いでお願いされちゃ、応えないわけにはいかないな。
 まったく、面倒なことになったぜ。

「その覚悟と思い、しっかり受け取ったよ。約束しよう、俺は必ずエルゼに……勇者に勝ってやる」

 高らかに勝利宣言する俺。
 リーゼは嬉しそうに微笑む。
 エルゼとエレナは、その様子を意外そうに見守っていた。

「盛り上がっているところで、そろそろ始めたいのだが、準備の方はどうだ?」

「俺はいつでも大丈夫ですよ、エルゼさん」

「リーゼには絶対に勝つと言っていたが、本気か?」

「本気も本気ですよ。あなたにだって俺は負けません」

「ふっ、面白い。では始めるとしようか」

 錬金術師は決して負けない。
 それに、よくよく考えれば相手は勇者とはいえ、盾だ。
 攻撃はそれほど強いとは思えない。長期戦になればなるほど、俺が有利だ!
 俺は負けない。

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