錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~

蒼月幸二

第4話:錬金術師は慢心しない

 スキルは他にもたくさんの種類がある。
 数百、いや数千か。
 効果が被ってしまっているものも含め、この世のスキルを網羅しているんじゃないかというくらいのラインナップだ。

 スキルポイントの集め方に関して何もわからない今は、下手に勘に頼って取っていくことはやめよう。無駄にしてしまう可能性がある。
 そして肝心のスキル選びだが、一つ言えるのはここで慢心してはいけないのだ。

 俺的異世界の掟の一番大事な部分だ。
 慢心しない。

 調子に乗って強そうなスキルをとったとしよう。
 そのスキルの重大な欠陥に気が付かなければ、強敵と戦った時に死んでしまう。
 俺が取得したファイヤーボールは名前からして低レベルから使える汎用スキルに違いない。

 しかし、低レベルだからと言って使えないわけではないのだ。
 効果が弱い代わりに、汎用性が高い。
 俺が憧れた錬金術師は、知恵と工夫で強敵と戦った。

 まずは基本のスキルを取得しよう。

 ファイヤーボールは火属性だから……ソート機能でレアリティを低く設定して、『火』以外の『水』『土』『風』『光』『闇』を検索する。

 出てきた。

 『ウォーターボール』『サンドボール』『ウィンドボール』『ライトニングボール』『ダークネスボール』

 おそらく基本であろう五種類のスキルにそれぞれ1ポイントを支払い、取得した。
 便利な特化系強力スキルは都度取得すればいい。

「さて、まずは近くの村を探すとしよう」

 俺は草原の新鮮な空気を肺一杯に吸い込み、歩き出した。
 異世界で生きていくにはまず情報収集が基本だ。何も知らないのだから、人に聞くしかない。
 こんな草原のど真ん中に都合よく人なんていないだろうから――。

「いないだろうから――ってえっ!?」

 思わず一人でボケてしまう。
 しかしこのくらいの言い訳は許してほしい。草原のど真ん中に人が蹲っているのだから、驚くなという方が酷な話だ。

 さっそく話を聞いて――っとその前に。

 まずはこの地域の公用語を調べることにする。
 システムウィンドウにはこの世界の情報が詳細に記されている。詳細に記されすぎていて、大雑把なことを知りたいときには不便なくらいだ。

 この地域の公用語が『アリシ語』であることを調べたら、次はスキル取得だ。
 スキルの中には、言語に関するものもある。オールマイティになんでも翻訳できるものは残念ながらなかったが、『アリシ語』は問題なくあったので、1ポイント払って取得する。

「あのー、誰かそこにいるんですか?」

 俺は人影に向かって歩いていく。
 蹲った人影は、俺の声が聞こえる位置まで近づいても顔を上げなかった。
 そして――。

「近づかないでっ! お願いだから!」

 突然こんなことを言い出した。
 声の質からして女……それも十代後半の若い女の声だ。草に隠れてもチラッと除く艶やかな金髪。肩から腰までの透き通るような薄桃色の肌。これは美少女に違いない。

 ん?

 美少女には違いない……のだが、肩から腰まで透き通るような薄桃色の肌!?
 ま、まるで服を着ていないみたいじゃないか!?

 その瞬間、風が吹いた。
 ヒュー~~~。ヒュー~~~。

 彼女の姿を隠していた草が斜めに押し倒され、全裸の美少女の姿が見えそうになる。もう少し風が強くなったら、完全に見えてしまう!
 じ、自主規制! 自主規制!
 まだこれは早いって!

「や、やめて! 見ないで~~~~~~っっっ!」

 女の子の甘い声が悲鳴となって草原をこだまする。

 な、なにか手はないのか!?
 困っている女の子を救える魔法とか、スキルとか!

 ハッ!

 スキルがないなら取ればいいじゃないか!
 俺はほとんど反射的にシステムウィンドウの中からスキル一覧を表示。
 検索窓に『服』と打ち込むと、『ファッショニスタ』というスキルが出てきた。
 ええい、説明を読んでいる暇はない! 大急ぎで取得する。

「な、何か服をこの子に!」

 すると、女の子の身体を白い光が覆って、形が作られていく――。
 白と黒の二色。ふりふりのミニスカートに、白く伸びるタイツ。真っ白なエプロンにピンクのリボン。
 アキバのちょっとお高い飲食店の店員さんのような格好だった。

 可愛い……可愛い……可愛い……可愛い!

 改めてスキルを確認すると、イメージした通りの服に着せ替えできるというスキルらしい。メイド服を着せようなどとは思っていなかったはずなのだが、スキルが気を利かせたのだろうか?

 いや、そんなことより大事なことがある。

「えっと、もう大丈夫ですよ!」

 金髪の美少女は頭が混乱に追いつかないのか、一瞬の間ポーっとしていたが、すぐに意識が戻ってくる。

「あ、ありがとうございます……スライムに服を溶かされてしまってとても困っていたんです。……しかもこんな上等な服を……感謝してもしきれません!」

「そ、そんな大層なものじゃないって!」

 いや、本当はどうなのかわからないんだけど。
 メイド服って本来は金持ちが使用人に着せる服だもんなあ。
 確かに中世基準では高級なのかもしれない。気に入ってもらえたようでなによりだ。

 そして忘れかけていた本題。

「実は俺、ここから近い村を探しているんですが、道を教えてもらえませんか?」

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