錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~
第3話:錬金術師は転移する
雲行きが怪しくなってきた。
王、騎士、そして召喚された『魔王』たちが俺に注目する。
「佐藤俊――貴様を国外追放とする」
は?
何を言っているんだこの人は。
一方的に召喚しておいて、まともに訓練もせず『錬金術師』だからとけらけら笑って。
俺の意思を無視して国外追放だと?
「ちょ、ちょっと待ってください! いきなり追放ってどういうことですか!?」
「これは仕方がないことなんですよ、俊くん。錬金術師は……」
菊池はニタニタと笑いながら言葉を濁す。
なんだ、錬金術師だからなんだんだ?
「僕たち……七職業以外は魔宝具を使えないんですよ。つまり、錬金術師という時点で『魔王』の力の1パーセントも引き出せない。端的に言えば既にあなたはお払い箱なのです」
「…………」
絶句するしかない。
同意も得ずに召喚して、お払い箱だからと追放する?
そんなことが許されていいはずがない!
「そんなの、あまりに理不尽じゃないか! それなら元の世界に帰してくれよ! 召喚したんならそれくらいできるんだろうが!」
「――静まらんか。わしにとって魔王など少なくなったら足していくだけの存在……殺さぬだけでもありがたいと思うんじゃな」
「元の世界に戻せって言ってるだけだろ! アンタがそんなに凄い王なら戻してくれよ!」
「それはできぬ。戻し方など知らんからな」
――――クソっ!
そんなことだろうとは思った。
でも、いざ言われると絶望感に押しつぶされそうだ。
異世界に来たってのに開幕からお払い箱だ。普通ならチート能力に恵まれて、美少女に囲まれて悠々自適に隠居生活を送りつつ面倒ごとに首を突っ込むハメになるとか、それが異世界ってもんだろ!
ろくな説明もなしに召喚されて、目当ての性能じゃなかったら捨てるなんて……まるでガチャの景品じゃないか。レアリティ:『レア』でも育ててくれたっていいじゃないか!
「その者を取り押さえろ」
しかし俺の心の声は届かない。
いや、届いたところで無視するだろう。
百歩譲って王や騎士がレアリティの低い俺を嫌う理由はわかる。
でも、同郷のはずの『魔王』たちまで俺をいじめて楽しむなんて、おかしいだろ。こいつらには人の心がないのかよ!
「大人しくしろ。暴れなければ痛くない」
騎士から身体を取り押さえられ、俺の足元に魔法陣が組まれていく。
チョークのような棒状のアイテムで図形や記号が書き込まれていく。
するとパァッと光始める。
「――貴様は魔大陸を離れ、どこかに漂着するじゃろうな。魔物にでも食われるが良い」
「お、お前らに人の心はないのか――――!」
言い終わると同時に転移が始まった。
異世界に来ておそらく初めて見る魔法。皮肉なことにもそれで俺は追い出されることになった。
◇
気が付くと、俺はどこだかわからない平原で横になっていた。
俺は目が覚めてもそのまま茫然と空を見上げていた。
この世界で初めて見る空は、地球のそれと大差ない。生えている草木も日本のものではないことはわかるが、地球のどこかで生えていてもおかしくはない。
漫画・ラノベ・アニメなんかで見る異世界そのものだった。
「ステータスオープン」
キャラクター情報ウィンドウが表示された。
職業欄に浮かび上がる『錬金術師』という文字。
俺はこの職業に憧れたんだっけな。
おかげで今は無一文で追い出され、死ぬんじゃないかと不安に駆られることになった。
せっかく異世界に来たんだからこのまま死ぬつもりはない。
せいぜい足掻いてやるさ。
それにしても、と思う。
この画面はどうもゲーム的だ。
このシステムを一体誰が管理しているんだろう?
神様か?
もしこの世界に普遍に存在するものだったとしたら、何か別のことができたりしてな。
なにか適当に口ずさんでみよう。
「アイテムボックスオープン」
何も変化はない。
「スキルオープン」
何も変化はない。
「ヘルプオープン」
何も変化はない。
だんだん恥ずかしくなってきた。
高校一年生にもなって一人で変なことを呟いているのだ。恥ずかしくもなる。
それでも、やることもないので試し続ける。
何通りくらい言っただろうか。
「システムオープン」
そう言った瞬間、『はい』『いいえ』という選択肢が出現した。
説明を読む。
『管理者権限を複製しますか?』
なんだかよくわからないが、『はい』を選択する。
視界上に表示された選択肢を指でタップすると、新たなウィンドウが表示される。
そこには、権限・スキル・地図・歴史など膨大な情報が詰まっていた。
全てタブ分けされており、PCソフトを開いたような感覚で操作することができる。
『スキル』タブの上部には現在のスキルポイントが表示されている。
1,000,000ポイント。
下にスクロールしていくと、スキルの取得やレベルアップができることがわかった。
スキル取得に必要なポイントはと言うと……1ポイント!
思ったよりも少ない!
俺は『ファイヤーボール』を取得した。
使い方がわからなくて困るんだが……。
とりあえず心中で『ファイヤーボール』と呟いてみる。
すると、手のひらに火の玉が出現した。
遠くに飛んでいくイメージを込めると、ファイヤーボールは遠くに飛んでいった。
近くにあった湖にポチャっと落ちてすぐに鎮火した。
どうやら、俺にもチートな能力はあったということらしい。
王、騎士、そして召喚された『魔王』たちが俺に注目する。
「佐藤俊――貴様を国外追放とする」
は?
何を言っているんだこの人は。
一方的に召喚しておいて、まともに訓練もせず『錬金術師』だからとけらけら笑って。
俺の意思を無視して国外追放だと?
「ちょ、ちょっと待ってください! いきなり追放ってどういうことですか!?」
「これは仕方がないことなんですよ、俊くん。錬金術師は……」
菊池はニタニタと笑いながら言葉を濁す。
なんだ、錬金術師だからなんだんだ?
「僕たち……七職業以外は魔宝具を使えないんですよ。つまり、錬金術師という時点で『魔王』の力の1パーセントも引き出せない。端的に言えば既にあなたはお払い箱なのです」
「…………」
絶句するしかない。
同意も得ずに召喚して、お払い箱だからと追放する?
そんなことが許されていいはずがない!
「そんなの、あまりに理不尽じゃないか! それなら元の世界に帰してくれよ! 召喚したんならそれくらいできるんだろうが!」
「――静まらんか。わしにとって魔王など少なくなったら足していくだけの存在……殺さぬだけでもありがたいと思うんじゃな」
「元の世界に戻せって言ってるだけだろ! アンタがそんなに凄い王なら戻してくれよ!」
「それはできぬ。戻し方など知らんからな」
――――クソっ!
そんなことだろうとは思った。
でも、いざ言われると絶望感に押しつぶされそうだ。
異世界に来たってのに開幕からお払い箱だ。普通ならチート能力に恵まれて、美少女に囲まれて悠々自適に隠居生活を送りつつ面倒ごとに首を突っ込むハメになるとか、それが異世界ってもんだろ!
ろくな説明もなしに召喚されて、目当ての性能じゃなかったら捨てるなんて……まるでガチャの景品じゃないか。レアリティ:『レア』でも育ててくれたっていいじゃないか!
「その者を取り押さえろ」
しかし俺の心の声は届かない。
いや、届いたところで無視するだろう。
百歩譲って王や騎士がレアリティの低い俺を嫌う理由はわかる。
でも、同郷のはずの『魔王』たちまで俺をいじめて楽しむなんて、おかしいだろ。こいつらには人の心がないのかよ!
「大人しくしろ。暴れなければ痛くない」
騎士から身体を取り押さえられ、俺の足元に魔法陣が組まれていく。
チョークのような棒状のアイテムで図形や記号が書き込まれていく。
するとパァッと光始める。
「――貴様は魔大陸を離れ、どこかに漂着するじゃろうな。魔物にでも食われるが良い」
「お、お前らに人の心はないのか――――!」
言い終わると同時に転移が始まった。
異世界に来ておそらく初めて見る魔法。皮肉なことにもそれで俺は追い出されることになった。
◇
気が付くと、俺はどこだかわからない平原で横になっていた。
俺は目が覚めてもそのまま茫然と空を見上げていた。
この世界で初めて見る空は、地球のそれと大差ない。生えている草木も日本のものではないことはわかるが、地球のどこかで生えていてもおかしくはない。
漫画・ラノベ・アニメなんかで見る異世界そのものだった。
「ステータスオープン」
キャラクター情報ウィンドウが表示された。
職業欄に浮かび上がる『錬金術師』という文字。
俺はこの職業に憧れたんだっけな。
おかげで今は無一文で追い出され、死ぬんじゃないかと不安に駆られることになった。
せっかく異世界に来たんだからこのまま死ぬつもりはない。
せいぜい足掻いてやるさ。
それにしても、と思う。
この画面はどうもゲーム的だ。
このシステムを一体誰が管理しているんだろう?
神様か?
もしこの世界に普遍に存在するものだったとしたら、何か別のことができたりしてな。
なにか適当に口ずさんでみよう。
「アイテムボックスオープン」
何も変化はない。
「スキルオープン」
何も変化はない。
「ヘルプオープン」
何も変化はない。
だんだん恥ずかしくなってきた。
高校一年生にもなって一人で変なことを呟いているのだ。恥ずかしくもなる。
それでも、やることもないので試し続ける。
何通りくらい言っただろうか。
「システムオープン」
そう言った瞬間、『はい』『いいえ』という選択肢が出現した。
説明を読む。
『管理者権限を複製しますか?』
なんだかよくわからないが、『はい』を選択する。
視界上に表示された選択肢を指でタップすると、新たなウィンドウが表示される。
そこには、権限・スキル・地図・歴史など膨大な情報が詰まっていた。
全てタブ分けされており、PCソフトを開いたような感覚で操作することができる。
『スキル』タブの上部には現在のスキルポイントが表示されている。
1,000,000ポイント。
下にスクロールしていくと、スキルの取得やレベルアップができることがわかった。
スキル取得に必要なポイントはと言うと……1ポイント!
思ったよりも少ない!
俺は『ファイヤーボール』を取得した。
使い方がわからなくて困るんだが……。
とりあえず心中で『ファイヤーボール』と呟いてみる。
すると、手のひらに火の玉が出現した。
遠くに飛んでいくイメージを込めると、ファイヤーボールは遠くに飛んでいった。
近くにあった湖にポチャっと落ちてすぐに鎮火した。
どうやら、俺にもチートな能力はあったということらしい。
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