錬金術師の転生無双 ~異世界で勇者になった錬金術師は【魔法錬金】で万能無双~
第1話:錬金術師は転生する
俺は一冊のラノベを読んでいた。
それは、錬金術師が大活躍する物語。一見戦いに弱そうな錬金術師が仲間を集めて強敵に立ち向かう話。
物語の中の主人公はどんなことがあっても負けることはない。
不遇の職業だって、使い方次第。
高校一年生にもなってフィクションに憧れるなんて幼いと思われるかもしれない。
けれど、いつしか俺は主人公に自分を重ねていた――。
◇
……ん?
寝落ちしてしまったのだろうか。
たまにあるのだ。読書後に疲れてそのまま眠ってしまって、朝になっていることが。
俺は何もない空間に立っていた。
『何もない』というのは少し違うかもしれない。
背景がパソコンのスクリーンセーバーのように眩く高速に変化している。
幻想的というしかない刺激の強い光。
いつしか不思議な光は俺を包み込み、意識を刈り取られていた。
気が付くと――。
「異世界の魔王たちよ、よくぞ来たな」
俺は足元に輝く魔法陣の中心に立っていた。
目の前には王冠を被った壮年の男性。高級そうな椅子に深く腰掛け、少し離れた舞台の上から俺を見下ろしている。
周りには武装した騎士の格好をした者。
他には俺と同じように魔法陣の中心に立っている少年三人だ。
ひとまず安心した。
よくわからない状況になっているのは俺一人ではなかったということだ。
「な、なあ……これってどういう状況?」
おそるおそる隣の少年に尋ねる。
黒髪の少年は、俺を一瞥すると不思議そうに首を傾げる。
「何って……女神様に魔王として転生させてもらったのでは?」
女神? なんのことだそれは。俺は聞いてない。
「それに、僕の他に二人転生させると聞きましたが、どういうわけか三人もいるようですし……」
この時点で俺の頭の中は???でいっぱいだった。
女神、魔王、転生。
まるで現実とは思えない言葉の数々が俺を混乱させる。
「一番驚いたのは、どうしてあなたは武器を持っていないのでしょうか」
「は?」
俺の他に立っている三人を見ると、確かに何らかの武器を持っていた。
剣、弓、杖。どれも綺麗に装飾されている。
俺は何も持っていない。
「魔王たちよ、ステータスを確認し、報告するが良い」
王冠を被った壮年の男性――王様と呼ぶことにする――が、低い声で俺たちに指示する。
「な、なあ……ステータスってどうやって見るんだ?」
隣の少年はまたもや不思議そうな顔をしながらも説明してくれた。
「心中で『ステータスオープン』と唱えればウィンドウが表示するはずですよ」
言われた通りにゲームのコマンドのような言葉を心中で呟く。
ステータスオープン。
「おっ出てきた!」
―――キャラクター情報――
Lv1
名前:佐藤俊
職業:錬金術師
スキル:無し
―――――――――――――
「名前と職業を言ってみよ」
王様の指示で、次々と声が上がる。
「僕は菊池佑弥、パラディンです」
「俺は藤本雅史。アーチャーだ」
「星野輝、ビショップです」
王様はそれぞれ「うむ」と声に出して頷いている。
俺の職業は……。
「お、俺は佐藤俊。錬金術師です!」
……………………。
なんだこの沈黙は。
王様は固まっているし、菊池・藤本・星野もぽかーんとしている。
「え、えっと……」
「冗談はよしてくださいよ。錬金術師なんて女神様が挙げた候補にはありませんでしたよ?」
さっき少しだけ話した菊池がツッコミを入れてくる。
しかし、俺は冗談のつもりはない。
「いや、冗談じゃなく本当に書いてあるんだが……」
「ええ……」
三人と王様が顔を見合わせる。
王様はハアと息を吐いた。
「伝承によると、伝説の職業は合計七つ存在する。パラディン・アーチャー・ビショップはその中に含まれておるが……錬金術師は聞いたことがない。つまりは……言わなくてもわかるじゃろう」
そんなことを言われても、俺は知らない。
なぜか周りからは嘲笑うような声がが聞こえてくる。
「今日のところは魔王諸君には屋敷でゆっくりしてもらうとしよう。これからのことについては明日話そう」
俺はなるべくなら早く話を聞きたいのだが……。
言い出せないまま、『魔王』と呼ばれた俺たち四人は騎士たちに部屋に連れられた。
三人は何か事情を知っていた風だし、聞いてみるとしよう。
それは、錬金術師が大活躍する物語。一見戦いに弱そうな錬金術師が仲間を集めて強敵に立ち向かう話。
物語の中の主人公はどんなことがあっても負けることはない。
不遇の職業だって、使い方次第。
高校一年生にもなってフィクションに憧れるなんて幼いと思われるかもしれない。
けれど、いつしか俺は主人公に自分を重ねていた――。
◇
……ん?
寝落ちしてしまったのだろうか。
たまにあるのだ。読書後に疲れてそのまま眠ってしまって、朝になっていることが。
俺は何もない空間に立っていた。
『何もない』というのは少し違うかもしれない。
背景がパソコンのスクリーンセーバーのように眩く高速に変化している。
幻想的というしかない刺激の強い光。
いつしか不思議な光は俺を包み込み、意識を刈り取られていた。
気が付くと――。
「異世界の魔王たちよ、よくぞ来たな」
俺は足元に輝く魔法陣の中心に立っていた。
目の前には王冠を被った壮年の男性。高級そうな椅子に深く腰掛け、少し離れた舞台の上から俺を見下ろしている。
周りには武装した騎士の格好をした者。
他には俺と同じように魔法陣の中心に立っている少年三人だ。
ひとまず安心した。
よくわからない状況になっているのは俺一人ではなかったということだ。
「な、なあ……これってどういう状況?」
おそるおそる隣の少年に尋ねる。
黒髪の少年は、俺を一瞥すると不思議そうに首を傾げる。
「何って……女神様に魔王として転生させてもらったのでは?」
女神? なんのことだそれは。俺は聞いてない。
「それに、僕の他に二人転生させると聞きましたが、どういうわけか三人もいるようですし……」
この時点で俺の頭の中は???でいっぱいだった。
女神、魔王、転生。
まるで現実とは思えない言葉の数々が俺を混乱させる。
「一番驚いたのは、どうしてあなたは武器を持っていないのでしょうか」
「は?」
俺の他に立っている三人を見ると、確かに何らかの武器を持っていた。
剣、弓、杖。どれも綺麗に装飾されている。
俺は何も持っていない。
「魔王たちよ、ステータスを確認し、報告するが良い」
王冠を被った壮年の男性――王様と呼ぶことにする――が、低い声で俺たちに指示する。
「な、なあ……ステータスってどうやって見るんだ?」
隣の少年はまたもや不思議そうな顔をしながらも説明してくれた。
「心中で『ステータスオープン』と唱えればウィンドウが表示するはずですよ」
言われた通りにゲームのコマンドのような言葉を心中で呟く。
ステータスオープン。
「おっ出てきた!」
―――キャラクター情報――
Lv1
名前:佐藤俊
職業:錬金術師
スキル:無し
―――――――――――――
「名前と職業を言ってみよ」
王様の指示で、次々と声が上がる。
「僕は菊池佑弥、パラディンです」
「俺は藤本雅史。アーチャーだ」
「星野輝、ビショップです」
王様はそれぞれ「うむ」と声に出して頷いている。
俺の職業は……。
「お、俺は佐藤俊。錬金術師です!」
……………………。
なんだこの沈黙は。
王様は固まっているし、菊池・藤本・星野もぽかーんとしている。
「え、えっと……」
「冗談はよしてくださいよ。錬金術師なんて女神様が挙げた候補にはありませんでしたよ?」
さっき少しだけ話した菊池がツッコミを入れてくる。
しかし、俺は冗談のつもりはない。
「いや、冗談じゃなく本当に書いてあるんだが……」
「ええ……」
三人と王様が顔を見合わせる。
王様はハアと息を吐いた。
「伝承によると、伝説の職業は合計七つ存在する。パラディン・アーチャー・ビショップはその中に含まれておるが……錬金術師は聞いたことがない。つまりは……言わなくてもわかるじゃろう」
そんなことを言われても、俺は知らない。
なぜか周りからは嘲笑うような声がが聞こえてくる。
「今日のところは魔王諸君には屋敷でゆっくりしてもらうとしよう。これからのことについては明日話そう」
俺はなるべくなら早く話を聞きたいのだが……。
言い出せないまま、『魔王』と呼ばれた俺たち四人は騎士たちに部屋に連れられた。
三人は何か事情を知っていた風だし、聞いてみるとしよう。
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