Eランク特典【謙虚】をもらって異世界転生したら万能すぎた件 ~謙虚すぎて世界最強なのに自覚なし~
第6話:試験官を瞬殺って普通じゃないんですか?
四人分の武器を用意することができた。
これで、何の憂いもなくギルドの入会試験に臨めるというものだ。
冒険者ギルドには既に受験者が集まっており、俺たちが最後だったようだ。
「よし、全員集まっているようだな。じゃあ今日の試験を始める!」
試験官はスキンヘッドのイカツイ男性だった。
ゴリゴリマッチョな体型をしている。【謙虚】の強化がなければ手も足もでないことだろう。
「冒険者にとって一番大事なのはなんだ? ――そこのお前、答えてみろ」
指名された受験者が震え声で答える。
「え、えっと……いかなる時も諦めない心……でしょうか?」
「ちがーーーーうっ! はい次お前」
「え、ええと……決して裏切らない仲間との絆でしょうか」
「それも違う! まったく……どいつもこいつも似たようなことばかり言う。……正解はな、『どんなものにも負けない力』だ」
シンと静まり返る。
「どんなに心が強くても、どんなに仲間との絆を大事にしていても、てめえの腕っぷしが弱けりゃ大事なものは何も守れねえ。だから俺はお前たちを試すんだ。大切なものを失わせたくねえからな。冒険者になる前にちゃんと力をつけて、俺を認めさせろ。俺に力で認めさせられねえ程度の奴が冒険者になったところで大事なものを失うだけだ。肝に銘じろ、心してかかれ。俺から言いたいのは以上だ」
イカツイ試験官は、どこか遠い目をしていた。このおっさんも何かを失ったのだろうか。
力が無ければ、守りたい物を守れない。確かにその通りだと思う。
言葉ではいくらでも取り繕うことができるだろう。
でも、現実はそう甘くない。これはゲームじゃない。死ねば本当に死ぬんだ。
でも、だからと言ってこんなところで足踏みなんてしていられない。
このおっさんを力でねじ伏せれば……認めさせればいいだけのことだ。
「試験は俺と一対一の決闘だ。真剣を使え。俺はお前らを斬ることはないが、お前たちは俺を斬り殺すくらいの気持ちで来い! 順番は問わん、来たい者から来い」
一対一の剣の戦いで勝つか、力を認めさせれば合格になる。
合格になれば冒険者の資格が得られる。
『認めさせる』というのは条件がいまいちはっきりしない。確実なのはこの試合に勝つことだ。
面白い。異世界らしくなってきた!
受験者の中でどよめきが起こる。
誰が最初に行くのかヒソヒソと話し合っているのだ。
誰も行かないなら俺が行ってやろうじゃないか。
「一番最初は俺でいいか?」
「珍しく一分以内に出てくるとはな。……もちろん相手になろう」
試験官と俺は剣を構える。
俺の剣はオプシディアンソード。漆黒色の剣だ。
試験官が試合開始の笛を鳴らす。まずは様子をうかがう。――先制攻撃はしてこないようだ。
俺は全速力で駆け抜け、試験官と肉薄する。そして、思い切り剣を振る――。
が、避けられてしまう。
そのまま試験官はジャンプ。俺と距離が離れる。
場所がちょうど入れ替わった。
「パワー、スピード……ともに申し分ない。だが、剣技はまだまだのようだな」
それは俺も危惧していた。
俺には剣の経験が無い。転生特典の【謙虚】のおかげで力だけはついたが、その力を使いこなす術を持ち合わせていない。
じゃあ、どうする?
剣技を鍛えてからリトライするか?
そんなことはしていられない。三人の女神を養えるだけの金がいるんだ。
冒険者以外に効率よく金が稼げる方法があるか?
商人をやったとして、最初の資金はどうする? 素材を安定して売るにはギルドが不可欠だ。
やっぱり、ギルドは必要なんだ。
俺はさらに勢いをつけ、試験官に迫る。今度は相手からの攻撃が来た。俺は俊敏な動きで軽やかに攻撃を避け、背後に回りこむ。
そうか、タイミングがわかった。
剣を振ったタイミングは体制を立て直すことができない。
重心を移動させないと剣にパワーが乗らないからだ。
じゃあ、その隙を突こう。
俺のスピードならそれができる。
試験官が後ろを振り向き、俺に剣を振る。
その瞬間、高速で移動してまた背後に回り込む。
そして、試験官の首に剣先が当たる直前で制止。
これで俺の勝ちだ。
「……俺の負けだ。まったく、馬鹿げた力とパワーだな」
「それはどうも」
俺は剣を下ろして、試験官と握手を交わす。
「そのパワーとスピードを生かして剣技を磨けば、君に勝てるものなどそういないだろう……良い冒険者になってくれ」
「もちろんです」
この言葉。
特に裏が無ければ合格ということでいいのだろう。
この剣の真価を発揮する機会はなかったが、これについては今後魔物と戦う時にでも使えばいい。
後は、三人が合格してくれれば完全に目標は達成だ。
俺は鞘にオプシディアンソードを納めた。
次はルビアの番だ。
炎の女神とやらの実力、盗賊の時にはまともに使えなかったが、しかと見届けさせてもらおう。
試験官を瞬殺するくらい普通だろ?
これで、何の憂いもなくギルドの入会試験に臨めるというものだ。
冒険者ギルドには既に受験者が集まっており、俺たちが最後だったようだ。
「よし、全員集まっているようだな。じゃあ今日の試験を始める!」
試験官はスキンヘッドのイカツイ男性だった。
ゴリゴリマッチョな体型をしている。【謙虚】の強化がなければ手も足もでないことだろう。
「冒険者にとって一番大事なのはなんだ? ――そこのお前、答えてみろ」
指名された受験者が震え声で答える。
「え、えっと……いかなる時も諦めない心……でしょうか?」
「ちがーーーーうっ! はい次お前」
「え、ええと……決して裏切らない仲間との絆でしょうか」
「それも違う! まったく……どいつもこいつも似たようなことばかり言う。……正解はな、『どんなものにも負けない力』だ」
シンと静まり返る。
「どんなに心が強くても、どんなに仲間との絆を大事にしていても、てめえの腕っぷしが弱けりゃ大事なものは何も守れねえ。だから俺はお前たちを試すんだ。大切なものを失わせたくねえからな。冒険者になる前にちゃんと力をつけて、俺を認めさせろ。俺に力で認めさせられねえ程度の奴が冒険者になったところで大事なものを失うだけだ。肝に銘じろ、心してかかれ。俺から言いたいのは以上だ」
イカツイ試験官は、どこか遠い目をしていた。このおっさんも何かを失ったのだろうか。
力が無ければ、守りたい物を守れない。確かにその通りだと思う。
言葉ではいくらでも取り繕うことができるだろう。
でも、現実はそう甘くない。これはゲームじゃない。死ねば本当に死ぬんだ。
でも、だからと言ってこんなところで足踏みなんてしていられない。
このおっさんを力でねじ伏せれば……認めさせればいいだけのことだ。
「試験は俺と一対一の決闘だ。真剣を使え。俺はお前らを斬ることはないが、お前たちは俺を斬り殺すくらいの気持ちで来い! 順番は問わん、来たい者から来い」
一対一の剣の戦いで勝つか、力を認めさせれば合格になる。
合格になれば冒険者の資格が得られる。
『認めさせる』というのは条件がいまいちはっきりしない。確実なのはこの試合に勝つことだ。
面白い。異世界らしくなってきた!
受験者の中でどよめきが起こる。
誰が最初に行くのかヒソヒソと話し合っているのだ。
誰も行かないなら俺が行ってやろうじゃないか。
「一番最初は俺でいいか?」
「珍しく一分以内に出てくるとはな。……もちろん相手になろう」
試験官と俺は剣を構える。
俺の剣はオプシディアンソード。漆黒色の剣だ。
試験官が試合開始の笛を鳴らす。まずは様子をうかがう。――先制攻撃はしてこないようだ。
俺は全速力で駆け抜け、試験官と肉薄する。そして、思い切り剣を振る――。
が、避けられてしまう。
そのまま試験官はジャンプ。俺と距離が離れる。
場所がちょうど入れ替わった。
「パワー、スピード……ともに申し分ない。だが、剣技はまだまだのようだな」
それは俺も危惧していた。
俺には剣の経験が無い。転生特典の【謙虚】のおかげで力だけはついたが、その力を使いこなす術を持ち合わせていない。
じゃあ、どうする?
剣技を鍛えてからリトライするか?
そんなことはしていられない。三人の女神を養えるだけの金がいるんだ。
冒険者以外に効率よく金が稼げる方法があるか?
商人をやったとして、最初の資金はどうする? 素材を安定して売るにはギルドが不可欠だ。
やっぱり、ギルドは必要なんだ。
俺はさらに勢いをつけ、試験官に迫る。今度は相手からの攻撃が来た。俺は俊敏な動きで軽やかに攻撃を避け、背後に回りこむ。
そうか、タイミングがわかった。
剣を振ったタイミングは体制を立て直すことができない。
重心を移動させないと剣にパワーが乗らないからだ。
じゃあ、その隙を突こう。
俺のスピードならそれができる。
試験官が後ろを振り向き、俺に剣を振る。
その瞬間、高速で移動してまた背後に回り込む。
そして、試験官の首に剣先が当たる直前で制止。
これで俺の勝ちだ。
「……俺の負けだ。まったく、馬鹿げた力とパワーだな」
「それはどうも」
俺は剣を下ろして、試験官と握手を交わす。
「そのパワーとスピードを生かして剣技を磨けば、君に勝てるものなどそういないだろう……良い冒険者になってくれ」
「もちろんです」
この言葉。
特に裏が無ければ合格ということでいいのだろう。
この剣の真価を発揮する機会はなかったが、これについては今後魔物と戦う時にでも使えばいい。
後は、三人が合格してくれれば完全に目標は達成だ。
俺は鞘にオプシディアンソードを納めた。
次はルビアの番だ。
炎の女神とやらの実力、盗賊の時にはまともに使えなかったが、しかと見届けさせてもらおう。
試験官を瞬殺するくらい普通だろ?
コメント
ぽんちゃま
タイトルから好き