異世界無双の最強管理者(チートマスター) ~リセットマラソンで最強クラス【大賢者】に転生したら世界最強~
第8話:大賢者は見知らぬ女を助ける
村から歩いて約一時間。
人間のいる村から遠ざかれば遠ざかるほどモンスターは強くなる。さっきからスライムやゴブリンなどの低級モンスターの姿は見られなくなった。かといって高級モンスターがいるというわけでなく、フィールドは閑散としていた。
モンスターのいないフィールドは新鮮ではあるが、不気味だった。
「なんか、音がしませんか?」
手を当てて耳を澄ませていたミーシャがこぼす。
確かにカサカサ……という音が聞こえてくる。
「向こうの方か?」
「多分……」
俺は草むらの中を突き進み、音の正体を確かめる。
そこには、大型肉食モンスターが小型肉食モンスターを食らっている生々しい光景があった。
ブラックバードは獰猛なモンスターではあるが、ホワイトタイガー相手ではどうにもならない。
ブラックバードはその名の通り鳥なので飛行ができる。ホワイトタイガーは哺乳類型の肉食動物なので飛行はできない。
しかし、ホワイトタイガーは地上から魔法を撃つことで攻撃することができる。撃ち落されたブラックバードは翼がボロボロになっている。
「ミ、ミナトさん!」
ミーシャが俺の服の裾を掴んで震えている。
「落ち着け、とりあえず後退するぞ。……作戦を立てて始末する」
「で、でも!」
「安心しろ。最悪死んでも死ぬことはない」
「確かに……!」
今は草むらの陰から覗き込んでいるだけだ。このままホワイトタイガーに気づかれないように下がり、不意を狙って先制攻撃で始末する。これが格上モンスターと戦う時の正しいやり方だ。
「ミ、ミナトさん!」
「ん?」
「誰かがいます……そこに!」
ミーシャの目線は上を向いていた。五十メートルほど離れた場所には高く積まれた石のオブジェクトがあった。石の高さは目測だが十メートルほど。そこから弓を持った女がホワイトタイガーを狙っていた。
矢が放たれ、ホワイトタイガーの頭をかすめる。
女は先制攻撃に失敗してしまった。
ホワイトタイガーも馬鹿ではない。攻撃された場所から対象を予測し、弓の女に狙いを定める。次の瞬間には、猛烈なスピードで駆け出していた。
連続で矢が放たれるが、命中率が足りていない。
全て致命傷にはならなかった。
「ミ、ミナトさんどうしましょう!?」
「あの女が死んでもどうでもいいが……ちょっと聞いておきたいこともあるしな。俺に任せろ」
放っておけばホワイトタイガーは石をよじ登り、あの女を殺してしまうだろう。
死んでしまってもここは所詮ゲームの中なのだから、本当に死ぬことはない。放っておいても良心が痛んだりとかそういう心配はないのだが、こんな時にクエスト関係なくフィールドに出てくる馬鹿に興味があったのだ。
高レベルプレイヤーであればクエストを受けての可能性もあるのだが、ホワイトタイガー相手に不意打ちに失敗する辺り、それほどの手練れではないのだろうと判断した。
【魔眼】でホワイトタイガーの動きを正確に予測する。
どのタイミングでどの方向にどのくらい移動するのか、手に取るようにわかる。
俺は【ファイヤーボール】をホワイトタイガーの目の前に投げる。
ホワイトタイガーは不意打ちに怯み、動きが一瞬鈍くなる。
その隙を狙って【アイススピア】で氷の槍を飛ばし、ホワイトタイガーの背中を串刺しにする。
氷の槍は地面にまで届き、敵の動きを封じる。
キュエエエエエエという喘ぎ声をあげるホワイトタイガー。
「ミーシャ、【ファイヤーボール】を撃ってみろ。今ならとどめをさせるはずだ」
「え、私ですか!?」
俺からの突然の指示にミーシャは飛び上がる。
「そうだ。実践経験に勝る訓練はないからな。経験値さえ上げればある程度は強くなるが、勘とか第六感とか、そういう要素も無視できない。今のタイミングなら安全にやれるはずだ」
「そ、そうなんですか……! わかりました!」
ミーシャはホワイトタイガーを睨み、魔法を発動する。
「火の球……火の玉……飛んでいけ! ファイヤーボールッッッ!」
【ファイヤーボール】の発動に成功し、火球が飛んでいく。
動けないホワイトタイガーに【ファイヤーボール】が着弾し、爆発する。
ホワイトタイガーは大型肉食動物であり、それなりに強いことは確かだが、所詮は初心者村からそれほど離れていないモンスターだ。
チートなしレベル1のミーシャでも、とどめくらいは刺せる。
ホワイトタイガーが消滅し、アイテムがドロップする。
「ミーシャ、よくやったな」
「ありがとうございますっ!」
ミーシャは嬉しそうに笑った。
ドロップアイテムを確認する。今回は【円】ではなく装飾品がドロップしたようだ。モンスタードロップの装飾品は鍛冶師が作るアイテムに比べて能力で落ちるのだが……これはよくわからない。
「えーと……ヘアピンですか?」
「……みたいだな」
LLO2で同時に装備できる装飾品は『ネックレス』『イヤリング』『指輪』に分類される。
『ヘアピン』は初めて見た。
【鑑定】を使い、能力を確認する。
―――――情報―――――
名称:ホワイトタイガーのヘアピン
種類:装飾品【区分S】
効果:装備することで、使用者の能力値が上昇する。
――――――――――――
俺は能力値がカンストしているから意味がないとして……ミーシャにばっちりじゃないか!
「能力値が上がるアイテムのようだ。これはミーシャが使うといい」
「え、でもそういうのはミナトさんが使った方が……」
俺の能力値がカンストしていることを教えても良いのだが……まだ隠しておくか。
ちょっと苦笑いで、
「俺は男だぞ? ヘアピンはちょっとな。ミーシャなら似合うと思うんだが」
「に、似合うんですか!? 私が!?」
ミーシャはポッと赤くなる。
「ん? ああ、きっと似合うと思うぞ」
ミーシャは何を装備しても似合うと思う。
「じゃ、じゃあ頂きますね!」
らんらんと嬉しそうに目を輝かせ、ミーシャはその髪にヘアピンを飾った。
うん、とてもよく似合っている。
さて、そろそろ弓の女に事情を聞きに行くとするか。
人間のいる村から遠ざかれば遠ざかるほどモンスターは強くなる。さっきからスライムやゴブリンなどの低級モンスターの姿は見られなくなった。かといって高級モンスターがいるというわけでなく、フィールドは閑散としていた。
モンスターのいないフィールドは新鮮ではあるが、不気味だった。
「なんか、音がしませんか?」
手を当てて耳を澄ませていたミーシャがこぼす。
確かにカサカサ……という音が聞こえてくる。
「向こうの方か?」
「多分……」
俺は草むらの中を突き進み、音の正体を確かめる。
そこには、大型肉食モンスターが小型肉食モンスターを食らっている生々しい光景があった。
ブラックバードは獰猛なモンスターではあるが、ホワイトタイガー相手ではどうにもならない。
ブラックバードはその名の通り鳥なので飛行ができる。ホワイトタイガーは哺乳類型の肉食動物なので飛行はできない。
しかし、ホワイトタイガーは地上から魔法を撃つことで攻撃することができる。撃ち落されたブラックバードは翼がボロボロになっている。
「ミ、ミナトさん!」
ミーシャが俺の服の裾を掴んで震えている。
「落ち着け、とりあえず後退するぞ。……作戦を立てて始末する」
「で、でも!」
「安心しろ。最悪死んでも死ぬことはない」
「確かに……!」
今は草むらの陰から覗き込んでいるだけだ。このままホワイトタイガーに気づかれないように下がり、不意を狙って先制攻撃で始末する。これが格上モンスターと戦う時の正しいやり方だ。
「ミ、ミナトさん!」
「ん?」
「誰かがいます……そこに!」
ミーシャの目線は上を向いていた。五十メートルほど離れた場所には高く積まれた石のオブジェクトがあった。石の高さは目測だが十メートルほど。そこから弓を持った女がホワイトタイガーを狙っていた。
矢が放たれ、ホワイトタイガーの頭をかすめる。
女は先制攻撃に失敗してしまった。
ホワイトタイガーも馬鹿ではない。攻撃された場所から対象を予測し、弓の女に狙いを定める。次の瞬間には、猛烈なスピードで駆け出していた。
連続で矢が放たれるが、命中率が足りていない。
全て致命傷にはならなかった。
「ミ、ミナトさんどうしましょう!?」
「あの女が死んでもどうでもいいが……ちょっと聞いておきたいこともあるしな。俺に任せろ」
放っておけばホワイトタイガーは石をよじ登り、あの女を殺してしまうだろう。
死んでしまってもここは所詮ゲームの中なのだから、本当に死ぬことはない。放っておいても良心が痛んだりとかそういう心配はないのだが、こんな時にクエスト関係なくフィールドに出てくる馬鹿に興味があったのだ。
高レベルプレイヤーであればクエストを受けての可能性もあるのだが、ホワイトタイガー相手に不意打ちに失敗する辺り、それほどの手練れではないのだろうと判断した。
【魔眼】でホワイトタイガーの動きを正確に予測する。
どのタイミングでどの方向にどのくらい移動するのか、手に取るようにわかる。
俺は【ファイヤーボール】をホワイトタイガーの目の前に投げる。
ホワイトタイガーは不意打ちに怯み、動きが一瞬鈍くなる。
その隙を狙って【アイススピア】で氷の槍を飛ばし、ホワイトタイガーの背中を串刺しにする。
氷の槍は地面にまで届き、敵の動きを封じる。
キュエエエエエエという喘ぎ声をあげるホワイトタイガー。
「ミーシャ、【ファイヤーボール】を撃ってみろ。今ならとどめをさせるはずだ」
「え、私ですか!?」
俺からの突然の指示にミーシャは飛び上がる。
「そうだ。実践経験に勝る訓練はないからな。経験値さえ上げればある程度は強くなるが、勘とか第六感とか、そういう要素も無視できない。今のタイミングなら安全にやれるはずだ」
「そ、そうなんですか……! わかりました!」
ミーシャはホワイトタイガーを睨み、魔法を発動する。
「火の球……火の玉……飛んでいけ! ファイヤーボールッッッ!」
【ファイヤーボール】の発動に成功し、火球が飛んでいく。
動けないホワイトタイガーに【ファイヤーボール】が着弾し、爆発する。
ホワイトタイガーは大型肉食動物であり、それなりに強いことは確かだが、所詮は初心者村からそれほど離れていないモンスターだ。
チートなしレベル1のミーシャでも、とどめくらいは刺せる。
ホワイトタイガーが消滅し、アイテムがドロップする。
「ミーシャ、よくやったな」
「ありがとうございますっ!」
ミーシャは嬉しそうに笑った。
ドロップアイテムを確認する。今回は【円】ではなく装飾品がドロップしたようだ。モンスタードロップの装飾品は鍛冶師が作るアイテムに比べて能力で落ちるのだが……これはよくわからない。
「えーと……ヘアピンですか?」
「……みたいだな」
LLO2で同時に装備できる装飾品は『ネックレス』『イヤリング』『指輪』に分類される。
『ヘアピン』は初めて見た。
【鑑定】を使い、能力を確認する。
―――――情報―――――
名称:ホワイトタイガーのヘアピン
種類:装飾品【区分S】
効果:装備することで、使用者の能力値が上昇する。
――――――――――――
俺は能力値がカンストしているから意味がないとして……ミーシャにばっちりじゃないか!
「能力値が上がるアイテムのようだ。これはミーシャが使うといい」
「え、でもそういうのはミナトさんが使った方が……」
俺の能力値がカンストしていることを教えても良いのだが……まだ隠しておくか。
ちょっと苦笑いで、
「俺は男だぞ? ヘアピンはちょっとな。ミーシャなら似合うと思うんだが」
「に、似合うんですか!? 私が!?」
ミーシャはポッと赤くなる。
「ん? ああ、きっと似合うと思うぞ」
ミーシャは何を装備しても似合うと思う。
「じゃ、じゃあ頂きますね!」
らんらんと嬉しそうに目を輝かせ、ミーシャはその髪にヘアピンを飾った。
うん、とてもよく似合っている。
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