世界に裏切られた勇者は二度目の世界で復讐する
第6話 二刀流の女剣士現る
「ふぁぁぁっ······」
どれだけ眠っていたのだろうか?
馬車から身体を乗り出して周りを見渡しても王都の姿は遠巻きにも見当たらない。
「あ、やっと起きましたか。そろそろ起こそうと思っていたところです。ほら、見えてきましたよ」
「ああ、そうだな······」
王都は見えなくなっていたが、代わりに王都ほどではないにしろ頑丈そうな壁に覆われた街が見えていた。
ここがこの商人の目的地。そして俺の最初の復讐対象がいる場所だ。
中に入るのにはそれほど苦労しなかった。
さすが商人が集まる街と言ったところか。
「それでは僕は商談がありますのでここで失礼しますね。何かお困りの時は声をかけてください。次からはそれなりの物を頂きますが」
「ああ、そうだ。一つアドバイスしてやる。目先の利益に囚われるなよ。商人に重要なのは最終的に利益を出すことだ。商談は慎重にな」
「あはは······。僕って考えなしに行動することが多くて今まで散々痛い目に会ってきました」
(こういうやつがあいつに騙されるのか)
「まあ、元気でな」
「はい! サトル様もお元気で!」
別れの挨拶を済ませ商人とは別行動となる。
······名前を聞いていなかった。まぁ、もう会うことはないだろうからいいか。
俺はそのまま商店街へと向かう。
あの大会で優勝したときに剣とは別に少額ではあるがお金をもらっていた。
念のために二人でも何泊かできる程度の金は残してその他は全て回復ポーションを買うために注いだ。
旅をするには必須であるし、今日の夜には早速使う予定でいる。
結構な量になったがハルバルトさんから貰った道具袋に全てしまった。
道具袋とは簡単に言えば四次元ポケットのようなものだ。レベルに応じて相応の量を入れることができる。
それから少し散歩をしていると夜になるのはあっという間だった。
夜になれば中心地は賑やかになるものだが、その反対に端っこの方では静まりかえる。
これからやることはあまり見られたくないので好都合だ。
「ふぅぅ······」
息を整え、剣の調子を確かめ、準備が万端であることを確認すると俺の固有スキル【人形遣い】により俺の最愛の相棒を呼び出す。
「我が召喚に応じ現れよ。二振りの剣を操りし剣士。その名は······始まりの人形」
「······お前が私を召喚したのか?」
「そうだ」
「なぜ? なぜお前のような者が召喚の言葉を知っている? 私と対等に戦えるレベルになって初めて知ることができる言葉のはずなのに」
「その答えは簡単だぞ。今、自分で言ったじゃないか」
「お前が私と対等だとでもいうのか? レベル17のやつなんかと同じにしてほしくないな」
「そうだな同じなんかにしてほしくないな。だって、対等じゃなくて俺の方が上なんだからな」
「ほぉ······」
空気が変わった。
ピリピリと独特な緊張感が漂う。
「言ってくるね。だったら白黒はっきりさせようじゃないか。もちろん剣でね。手加減はしないよ?」
椿の扱いは慣れている。
少し挑発すればこんな感じにすぐに乗ってくる。
ここまでは順調。だから後は······
「お姉ちゃんには負けないよ。全力で相手をさせてもらう」
「お、お姉ちゃん? い、いきなりにゃによ! そ、そんなにおだてたって手加減なんかしてあげないんだからねっ!」
椿の一番の弱点とも言えようお姉ちゃん呼びで動揺を誘っておけば勝てないこともない。
椿は何故かお姉ちゃんと呼ばれたい願望があった。
恥ずかしいから滅多に言わなかったけれど。
少し頬に赤みが残ったままだがさすがというかすぐに体勢を立て直して剣を構える。
右手と左手に一本ずつ、二刀流だ。
二刀流は手数が多い代わりに一撃の威力は落ちてしまうが、今の俺と椿のレベル差なら一撃一撃の威力は先の大会での大剣の一撃にも及ぶだろう。
つまり一発でもまともに食らえば即終了の剣が超高速で迫ってくるというわけだ。
いくら俺でも普段ならそんな勝てる見込みのない勝負は挑まない。
ただ、今回に限っては俺に有利な点もある。
それは、レプリカといえども魔剣を手にいれたこと。これで剣で斬りあうことも可能になる。
そして、これが一番重要なことだが相手の癖を知っていることだ。椿の考えや剣筋、スキルまでも俺は全て知っている。
だから圧倒的戦力差があっても勝てると見込んだ。
「勝負だ椿。今回は師匠としてお前を鍛えてやる!」
「悪い子にはお灸をそえないとね。お姉ちゃんがその間違った考えを正してあげます!」
(自分でお姉ちゃんって言うのかよ······なんか懐かしいな)
どれだけ眠っていたのだろうか?
馬車から身体を乗り出して周りを見渡しても王都の姿は遠巻きにも見当たらない。
「あ、やっと起きましたか。そろそろ起こそうと思っていたところです。ほら、見えてきましたよ」
「ああ、そうだな······」
王都は見えなくなっていたが、代わりに王都ほどではないにしろ頑丈そうな壁に覆われた街が見えていた。
ここがこの商人の目的地。そして俺の最初の復讐対象がいる場所だ。
中に入るのにはそれほど苦労しなかった。
さすが商人が集まる街と言ったところか。
「それでは僕は商談がありますのでここで失礼しますね。何かお困りの時は声をかけてください。次からはそれなりの物を頂きますが」
「ああ、そうだ。一つアドバイスしてやる。目先の利益に囚われるなよ。商人に重要なのは最終的に利益を出すことだ。商談は慎重にな」
「あはは······。僕って考えなしに行動することが多くて今まで散々痛い目に会ってきました」
(こういうやつがあいつに騙されるのか)
「まあ、元気でな」
「はい! サトル様もお元気で!」
別れの挨拶を済ませ商人とは別行動となる。
······名前を聞いていなかった。まぁ、もう会うことはないだろうからいいか。
俺はそのまま商店街へと向かう。
あの大会で優勝したときに剣とは別に少額ではあるがお金をもらっていた。
念のために二人でも何泊かできる程度の金は残してその他は全て回復ポーションを買うために注いだ。
旅をするには必須であるし、今日の夜には早速使う予定でいる。
結構な量になったがハルバルトさんから貰った道具袋に全てしまった。
道具袋とは簡単に言えば四次元ポケットのようなものだ。レベルに応じて相応の量を入れることができる。
それから少し散歩をしていると夜になるのはあっという間だった。
夜になれば中心地は賑やかになるものだが、その反対に端っこの方では静まりかえる。
これからやることはあまり見られたくないので好都合だ。
「ふぅぅ······」
息を整え、剣の調子を確かめ、準備が万端であることを確認すると俺の固有スキル【人形遣い】により俺の最愛の相棒を呼び出す。
「我が召喚に応じ現れよ。二振りの剣を操りし剣士。その名は······始まりの人形」
「······お前が私を召喚したのか?」
「そうだ」
「なぜ? なぜお前のような者が召喚の言葉を知っている? 私と対等に戦えるレベルになって初めて知ることができる言葉のはずなのに」
「その答えは簡単だぞ。今、自分で言ったじゃないか」
「お前が私と対等だとでもいうのか? レベル17のやつなんかと同じにしてほしくないな」
「そうだな同じなんかにしてほしくないな。だって、対等じゃなくて俺の方が上なんだからな」
「ほぉ······」
空気が変わった。
ピリピリと独特な緊張感が漂う。
「言ってくるね。だったら白黒はっきりさせようじゃないか。もちろん剣でね。手加減はしないよ?」
椿の扱いは慣れている。
少し挑発すればこんな感じにすぐに乗ってくる。
ここまでは順調。だから後は······
「お姉ちゃんには負けないよ。全力で相手をさせてもらう」
「お、お姉ちゃん? い、いきなりにゃによ! そ、そんなにおだてたって手加減なんかしてあげないんだからねっ!」
椿の一番の弱点とも言えようお姉ちゃん呼びで動揺を誘っておけば勝てないこともない。
椿は何故かお姉ちゃんと呼ばれたい願望があった。
恥ずかしいから滅多に言わなかったけれど。
少し頬に赤みが残ったままだがさすがというかすぐに体勢を立て直して剣を構える。
右手と左手に一本ずつ、二刀流だ。
二刀流は手数が多い代わりに一撃の威力は落ちてしまうが、今の俺と椿のレベル差なら一撃一撃の威力は先の大会での大剣の一撃にも及ぶだろう。
つまり一発でもまともに食らえば即終了の剣が超高速で迫ってくるというわけだ。
いくら俺でも普段ならそんな勝てる見込みのない勝負は挑まない。
ただ、今回に限っては俺に有利な点もある。
それは、レプリカといえども魔剣を手にいれたこと。これで剣で斬りあうことも可能になる。
そして、これが一番重要なことだが相手の癖を知っていることだ。椿の考えや剣筋、スキルまでも俺は全て知っている。
だから圧倒的戦力差があっても勝てると見込んだ。
「勝負だ椿。今回は師匠としてお前を鍛えてやる!」
「悪い子にはお灸をそえないとね。お姉ちゃんがその間違った考えを正してあげます!」
(自分でお姉ちゃんって言うのかよ······なんか懐かしいな)
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