隻腕の双操士

空の星

第1話 謎の少年


「はぁ…………全く、高天原の役立たずめ。あれ程裏の動向に口煩く注意を申したであろうに。さすればこの様な事態に成らずに済んだであろうものを…………」

 凛とした声音なのに何処か老人めいた口調で独りごちるローブで姿を隠す少女。
正直、その姿はこの都会に於いては異常だろう。
現に気味悪がられて、人が自然と避けている。お陰でぶつかる心配もなく歩んでいる。
それにしても人が多い。まぁ、それもそうだ。人が集まっている所には、1つのデパートがあり、デパートの出入口には武装した男が数人ずついた。
彼らは裏組織が雇ったテロ坊で、あのデパートを占拠しているのだ。
目的は未だ謎である。
※テロ坊……テロリストの烏合の衆。

「…………此処かえ?うむ。合うとるの。ではしばし指示があるまで待とうかの。唐辛子・・・でも食うての。」

ローブを羽織った少女はしばらく歩いたら、あるビルの屋上に立った。何かのポイントのようだ。
そこに着いたら、少女は腰にある少し大きな巾着袋から赤唐辛子を取り出して、かぶりついた。
なんとこの少女、辛党らしい。

「はぁ……ほれ、そこのナレーター、先に言うておくが儂はれっきとした男子おのこじゃ。そこのところ間違えんといてくれへんかのう。」

おぉっと、少女……否、少年が此方に指だけを指してきた!?あれ?何故わかる?

「儂は見とかねばならん故に今までなにがあったかの説明を頼むのう。」

あ、なんか頼まれたっぽいので説明しよう!
こうなったのは数年前に遡るのであった。

✲✲✲

異世界エルザードと地球が1つになり、邪王イヴィンが邪族ごと隻腕の狐人族に討滅されてから早数千年。
今は、エルザードのファンタジーな力と地球の科学力が混在する世界となっていた。
そうなると、取り入れようとする者や排除しようとする者は必然的に現れ、陰険的な雰囲気に包まれた。
だが、どちらの民衆も持ちつ持たれつを望み、多くの人間が、手を取り合った。
それにより、排除しようとする者は追いやられ、裏に立つこととなる。それが、裏組織の発足でもあった。

✲✲✲

今回の事件はその裏組織の1つがテロ坊を雇い行ったもの。
なんでも、人体実験の素体が得れないなら有る所に行けばいい。とか考えているのか起こし、今頃デパート内部では悲惨な状態なのだろう。

「そのくらいでいいぞい。儂はそろそろそろそろ乗り込む。もう待ちくたびれたぞ。お主ナレーターもはよ離れるんじゃな。」

少年は此方に一声かけたらひとっ飛びでデパートの屋上に移ってしまった。何故あの少年は我々ナレーターに気付いたのだろうか?

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