旅人少女の冒険綺譚
1-2「始まりの森」
赤い帽子に赤いコート、そして腰には小さな小瓶をぶら下げ、小さな皮の鞄を背負った青い瞳をもつ一人の少女の姿があった。一応ではあるが、腰には剣が装備してある。
「確かこの当たりだったような...」
と、小さく呟きながら木の根元を見渡しながら歩いている。手に持っていた羊皮紙を開き、捜し物である薬草を確認すると、また探し始める。
そう。少女は今依頼を受けているのだ。
依頼とはいえ、そんな大層な物ではなく。少女の師匠である自称伝説の旅人からのお遣い、といった方が良いのかもしれない。
__全ての課題、もといワシの依頼を全て終わったら、この飛行艇チケットをやろう。
と言う口約束の元なのだが。そんな口約束の依頼を必死にこなそうと、少女は必死に薬草を探していた。一応ではあるが、これが最後の課題...らしい。
「確かにこの当たりなんだけど___」
と少女が立ち上がろうとした時、何処からか悲鳴が響き渡る。咄嗟に悲鳴が聞こえた方へ振り返ると、その方向へと少女は走り出した。
森が開けた場所に出ると、魔物に襲われそうになっている少年が一人。腰を抜かして動けなくなっているようだ。
__旅人たる者、冷静であれ。
と言う自称伝説の旅人の助言は呆気なく頭から消えていて、少女は剣を引き抜き一気に魔物へと距離を詰める
「はぁぁぁ!」
気合いの一撃...なのだが魔物は一瞬だけ怯むだけで、倒し切れてはいない。踏み込みが足りないのか、太刀筋が悪いのか。
そんな事はさておき、一時的に魔物のターゲットは少女に変わった。
「大丈夫?怪我はない?」
少年は助けが来たと安堵したのか、ゆっくり立ち上がると、「だ、大丈夫...」と小声で返した。それでも足は震えている。襲われる寸前だったのだ。無理もない。
不意打ちにより、蹌踉けていた魔物が、また体制を立て直して威嚇の咆哮を森へ響かせた。少女は剣を構え直す。
「じゃあ少し離れてて。」
その言葉に少年は木の陰に隠れ、魔物と相対する少女を見守る。少年には、今目の前で戦う少女はヒーローに見えているだろう
「うーん...どうも剣術は苦手なんだけど...まぁ仕方ないかぁ...」
小声で呟く少女は、ヒーローには程遠く、苦笑を浮かべた。その束の間、魔物からの先制攻撃が始まった。身構えていたお陰か、なんとか剣で攻撃を受け流す。
体制は悪いが、それは魔物も同じだ。
受け流した攻撃の反動を利用して体をひねらせ、カウンターを魔物の胴体へと打ち込むと、魔物を見事引き裂く。
その一撃が決め手となり、パラパラと音を立てながら、魔物は崩れ去ると小さな結晶を落として消えてしまった。
戦闘終了、報酬は小さな結晶の欠片である。
人前での戦闘に勝利して、嬉しそうにしながら剣を鞘へと直すと帽子をかぶりなおす。にやけ顔を少年には見せないように。
「うわぁー、凄い!魔物を倒しちゃった!」
少年は目を輝かせて走り寄ると少女に抱き着いてきた。
「私にかかれば楽勝よ!」
と胸をはり、得意気な笑顔を浮かべた。少年の頭を撫でると、「もう大丈夫よ」と優しく微笑みながら告げた。
少女は先ほど倒した魔物の結晶を拾い上げる。それを小さな小瓶に仕舞う。
「ねぇ、お姉ちゃんの名前は?」
少年の問いに、にっこりスマイルとともに名を告げた。
「私の名前はシャルロット!気軽にシャルルって読んでね__!」
始まりの森。
それは旅人達が、旅に出る為の所謂訓練所。そんな場所の魔物位は、勝てないと旅にすら出られないのだが...。
旅人見習いシャルルの旅は、まだ始まらないのであった___。
「確かこの当たりだったような...」
と、小さく呟きながら木の根元を見渡しながら歩いている。手に持っていた羊皮紙を開き、捜し物である薬草を確認すると、また探し始める。
そう。少女は今依頼を受けているのだ。
依頼とはいえ、そんな大層な物ではなく。少女の師匠である自称伝説の旅人からのお遣い、といった方が良いのかもしれない。
__全ての課題、もといワシの依頼を全て終わったら、この飛行艇チケットをやろう。
と言う口約束の元なのだが。そんな口約束の依頼を必死にこなそうと、少女は必死に薬草を探していた。一応ではあるが、これが最後の課題...らしい。
「確かにこの当たりなんだけど___」
と少女が立ち上がろうとした時、何処からか悲鳴が響き渡る。咄嗟に悲鳴が聞こえた方へ振り返ると、その方向へと少女は走り出した。
森が開けた場所に出ると、魔物に襲われそうになっている少年が一人。腰を抜かして動けなくなっているようだ。
__旅人たる者、冷静であれ。
と言う自称伝説の旅人の助言は呆気なく頭から消えていて、少女は剣を引き抜き一気に魔物へと距離を詰める
「はぁぁぁ!」
気合いの一撃...なのだが魔物は一瞬だけ怯むだけで、倒し切れてはいない。踏み込みが足りないのか、太刀筋が悪いのか。
そんな事はさておき、一時的に魔物のターゲットは少女に変わった。
「大丈夫?怪我はない?」
少年は助けが来たと安堵したのか、ゆっくり立ち上がると、「だ、大丈夫...」と小声で返した。それでも足は震えている。襲われる寸前だったのだ。無理もない。
不意打ちにより、蹌踉けていた魔物が、また体制を立て直して威嚇の咆哮を森へ響かせた。少女は剣を構え直す。
「じゃあ少し離れてて。」
その言葉に少年は木の陰に隠れ、魔物と相対する少女を見守る。少年には、今目の前で戦う少女はヒーローに見えているだろう
「うーん...どうも剣術は苦手なんだけど...まぁ仕方ないかぁ...」
小声で呟く少女は、ヒーローには程遠く、苦笑を浮かべた。その束の間、魔物からの先制攻撃が始まった。身構えていたお陰か、なんとか剣で攻撃を受け流す。
体制は悪いが、それは魔物も同じだ。
受け流した攻撃の反動を利用して体をひねらせ、カウンターを魔物の胴体へと打ち込むと、魔物を見事引き裂く。
その一撃が決め手となり、パラパラと音を立てながら、魔物は崩れ去ると小さな結晶を落として消えてしまった。
戦闘終了、報酬は小さな結晶の欠片である。
人前での戦闘に勝利して、嬉しそうにしながら剣を鞘へと直すと帽子をかぶりなおす。にやけ顔を少年には見せないように。
「うわぁー、凄い!魔物を倒しちゃった!」
少年は目を輝かせて走り寄ると少女に抱き着いてきた。
「私にかかれば楽勝よ!」
と胸をはり、得意気な笑顔を浮かべた。少年の頭を撫でると、「もう大丈夫よ」と優しく微笑みながら告げた。
少女は先ほど倒した魔物の結晶を拾い上げる。それを小さな小瓶に仕舞う。
「ねぇ、お姉ちゃんの名前は?」
少年の問いに、にっこりスマイルとともに名を告げた。
「私の名前はシャルロット!気軽にシャルルって読んでね__!」
始まりの森。
それは旅人達が、旅に出る為の所謂訓練所。そんな場所の魔物位は、勝てないと旅にすら出られないのだが...。
旅人見習いシャルルの旅は、まだ始まらないのであった___。
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