非リア充の俺がまともに恋なんてできるはずがないと思った

ハルト

本当の気持ち

喧嘩が続いてから3日が過ぎようとしていた。
気にかけるように澤野は、成弥に声をかけたりすることも無くいつものただオタクで、アニメやライトノベルを読み続ける日々に戻りつつある。
クラスの皆は、何も変わらない。
だが成弥と早川の間には、壁が出来ていた。

成弥
どうしようこのままだときっと別れることになるよね。

3時間目の授業。
授業に集中なんて出来るはずもなく時間だけが過ぎていく。
「 ……くん……よし……くん……吉井くん?次吉井くんが読む番だよ?」
ぼーっとしていた成弥は、ふと、気づくと順番が回ってきた。
窓から通る風は、成弥に囁くように吹く。
読み終わると早川が、こちらを向いているのに気づいた。
早川の頬は、気のせいか顔が少しばかり赤く見えた。
授業も終わり、次の授業が体育という最も苦手な教科だ。
運動神経悪くとにかく身体を動かすのが無理だ。
女子の方は、バスケで男子の方は、バトミントンという体育館という狭い場所で男女半分半分というなんとも暑苦しい。

成弥
そっか早川さん中学の時バスケ部だったんだけ。
 
早川を見るとスリートポイントを決め男子から「 おおおおお!」と、揺れる胸をエロい目線で向けられながらも真剣にバスケをしていた。
しかし、いつもより呼吸が荒く体調が悪そうに見えた。

成弥
そー言えばさっき顔が少しだけ赤かったような。

気にしつつも成弥は、友達がいないため影で休憩をしていた。
華麗に決めていく早川の姿に見とれつつ時間を過ぎ去っていくのを感じた。
ボールは、早川の手から離れていきゴールを目掛けて飛んでいく。
飛んでいた身体も地面に足からついて行く。
しかし、そのまま膝から崩れ落ち身体がどんどん地面にくっ付いていき倒れ込む。
その様子を影から見ていた。

「えっ……? 」

皆固まってしまいその状況に追い付けず数秒してから騒ぎ出した。
皆慌てて駆け寄る。
もちろん成弥も。
顔を真っ赤にしながら倒れ込んでいる早川は、保健委員によって保健室に向かった。
それから皆は、体育を続けながらも早川のことを心配していた。



昼も早く済ませてから保健室向かう。
1階の図書室の横にある保健室の入口前から保健の先生である長谷川先生が出てきた。
「長谷川先生、早川さんの、様子どうですか? 」
「 あら、えっと確かよ、よし、吉井くんだっけ?ごめなさいねここに来て2年しか経たないで。早川さんなら、熱を出してそのまま寝てるわ。吉井くんは、様子を見に来たの?」
「 は、は、い」
「そう。早川さん寝てるから起こさないようにね。私担任に言ってくるから 」
「 は、はい」
美人で、胸もでかく皆から好かれている長谷川先生。いい匂いもするし誰にも優しい。
そのまま長谷川先生は、「またね」と言いながら職員室に向かった。

「吉井くん青春してるわね 」

成弥は、保健室のドアを開け中を少し見回しベットのところには、カーテンをされていた。近くに行きカーテンを開けた。
すると、体操服のまま横になっていた早川がいた。
静かに近くにあった椅子に座り早川に声を掛けた。
「 早川さん……」
仰向けで、息を荒くしながら目だけがこちらを向いていた。
「 ごめんね。そばにいれなくて」
「 な、はぁはぁはぁ、成弥だ、大丈夫」
弱々しく喋る早川がこんなんだといつも引っ張ってくれる明るい彼女じゃない。これじゃあ成弥がしっかしないといけない。
「えっと…… 」
膝の上に置いていた手を強く握りしめた。
「 早川さん……話がある。まず体調良くしてから話すね。だから体調崩したの俺のせいだと思ってるから」
「 はぁ、はぁ、な、成弥が悪い訳じゃない。はぁはぁはぁ、私が体調管理出、はぁ、来てないから」
苦しそうに話す早川にどうしてもなにかしてやりたい。
頬は、真っ赤になっていて、汗もすごい量出ており息も荒く仰向けからうつ伏せに寝返りをした。
「 な、成弥……こ、今度話するから」
「 うん」
自分に何も出来ないことを察しただひたすら彼女の言葉を受け止めた。
早川は、右手を握りこぶしをしていた手にそっと上から被せた。
「ちゃんと来てくれたんだ。それだけで、う、う、うれ、嬉しい 」
その言葉を言ってから目を閉じそのままぐっすりと眠ってしまった。



ぐっすり眠ってから5、6時間目も終わりを告げ早川は、お父さんに迎えに来てもらいそのまま家に帰って行った。
寝言で、ごめんと何度も呟いていた。


それから早川は、2日も学校に来なかった。





3日後、教室に向かうと早川が席に座っていた。
マスクをしていたものの何だか3日前よりも、元気だった。
成弥も席に座り様子を伺っていた。
皆から心配の声が掛かるのに対して、大丈夫、大丈夫と笑顔を返しながらきちんとお礼をしていた。
HRが始まると何やら手紙を机の上に飛ばしてきた。
紙を開き中をよく見ると……『放課後屋上に来て』と書いていた。

成弥
放課後……話あるって言ってたし行かないとな



夕日が成弥と早川を照らしていた。
学校も終わり屋上に呼び出された成弥が、気まずそうに早川の前に突っ立っていた。
「あの、早川さん話があるって……俺もある 」
「うん。体調良くなったから聞いてあげる 」
「俺、えっと、と、図書室での事なんだけどあれは、俺から、じゃ、なくてその、澤野さんからやってきたことで、だから、その、申し訳ございません!」
ハッキリと、謝った。真実を全て伝えた。
これで許してもらえるわけが無いのは、百も承知だ。
「 成弥澤野さんと、どういう関係?」
「……告白されました。ですが早川さんが好きだと伝えました 」
一つ一つの言葉がやけに重い。
早川の発する言葉がどれだけ今回自分がしてきたことの罪か分かった。
「今日の昼休み、泣きながら澤野さんが謝ってきた。状況は、把握してるから別にいい 」
澤野が泣いているところを想像してしまった。
「 ……俺は、どうしたら早川さんと、な、仲良く出来ますか?」
風が吹きグランドからも運動部の声がする。
静まり返ったこの空間がやたら重い気がするのを感じていた。
早川の瞳が何かを決めたかのように真っ直ぐにこちらを見つめてくる。
「 なら、本当の気持ち言ってみて」
「本当の気持ち……? 」
「うん。成弥が私の事どう思うか 」
「 どう思うか……それは、もちろん好きです。でもただ好きってわけじゃないです。いつも俺を引っ張ってくれてて、でも風邪を引いたらあんなにもなんていうかいつもの感じと違ってていつもと違う可愛さがあった。弁当だって美味しかったし、いきなりの発想とかが何だか凄いけどでもやっぱりやること一つ一つが面白いことばかりで……大好きです!」
顔を真っ赤にしながら言った。
早川の方をちらちら見ると彼女もまた頬を赤く染め上げ照れくさそうに髪を右手で、撫でていた。
「でもまだ言いたいことたくさんありすぎて困ってます! 」
「そ、そう 」
やっぱり可愛い。
「 これでってわけじゃないんだけど……仲直り出来たらいいな。もちろんなんでもするから」
「 じゃあお願い聞いてくれたら許すから」
そう言いながら成弥に近ずいてくる早川は、マスクを取り始めた。
目の前で止まり背をぐっと伸ばした。


唇に生暖かいものが当たっており成弥は、一切の行動が出来なくなっていた。

キス。

成弥の脳裏は、全くもって機能していない。

どんどん離れていく早川に全くついて行けずゆっくりと早川を見つめ、唇をブルブル震わせながら成弥の瞳は、彼女の瞳を移していた。

「これで許してあげる 」
微笑みを見せる早川に成弥は、うっとりと見つめる。
ドアの近くまで歩いていく早川。
「 ほら行くよ成弥」
「うん! 」

これでやっと仲直りも出来た。
成弥にとっての初めてのキスが早川だった……。



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