平凡な僕と魔法使いのビーバー

相坂舞雉

1-5 1匹の魔法使い


「アダムス・エデルゥ!!!!!」

その防御魔法は目の前に信じられない大きさで円状の盾を作り出した。

その盾は白い光に覆われた風の力と火の力を防ぎきったのであった。




「—————————ッ」

「—————————ゥ」

何だろう?

何か聞こえる。

「——————————ゾウ。」

「—————コゾウ!!!!」


急に近くなったその荒々しい声に、心地よい空間から一気に目を覚まし

「コゾウ!」

た—————。


「オッ、メヲサマシタカコゾウ。」
目を覚ました僕の上には1匹のビーバーが乗っていた。

「ぇええええええええ!!!!!」

何だこの動物!!妙にキメ顔して僕を見ているような、、

「フフン。」

それに、僕たちの言葉を喋っている——

「ニンゲンヨ!ワカルゾワカルゾ!」
「ニンゲンハミナイダイナワレヲ———」

「なんなんだこの動物......」
不意に吐いた言葉にその動物は人間の言葉で反論する。

「キサマ!!!マリョクスラモタナイアンナカトウシュゾクトイッショニスルノカ!!!」

どうやら怒らせてしまったようだが、さっきのキメ顔と言い、不機嫌な顔と言いなんだか愛着が。。

「オンジンニタイスルレイガナッテナイナ!」

「えっ、」

「グラヴィティ!!」

魔法と思しき呪文を唱えた瞬間一気に身体に重力がのしかかり、一瞬で地面とお友達になっていた。

「ちょちょちょちょちちち!!!」

「ニンゲンヨレイギヲワキマエロ!!」

「ごゔぇんごゔぇんごゔぇん」

ごめんとまともに言えないほどの重力がのしかかる。

「すみばぜん!すみばぜんすみばぜん!」

目の前で無様にも必死に無礼を詫びる人間に満足したのかその動物は笑いながらも「ソレデイイ!」と言い重力を解いた。

「オマエノコトヲカンイッパツニタスケテヤッタンダ!!コレデワカッタダロゥ」

重力から解放された僕は素直に動物に助けられた礼を言いながらも、目の前の魔法使いを再度確認する。

「ビ....ビーバー...?」

発した言葉に少しイラつきながらもそのビーバーは背の小ささを補うようにイスに登って仁王立ちをする。

「ワレノナマエハ、エルム!!セカイイチノマホウツカイダ!」

そう言ったビーバーは妙なキメ顔をしていた。

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