平凡な僕と魔法使いのビーバー

相坂舞雉

1-1プロローグ



大都市 ヴェルヘルム国


この都市は他の都市と違い多種族受け入れを率先して行なっており、
この世界には大きく分けて5つの種族が存在している。

『魔法使い』
杖を使って魔法を繰り出す

『賢者』
それぞれの都市に存在する王族の護衛役

『ゲテモノ』
獣のような姿で人間とは思えない身体能力の持ち主

『神士』
神から授かった進言と共に特殊な能力を持つと言われる。

そして、
『ノーマル』
一般的なステータス。
なんの取り柄もない種族だけど、稀にアブノーマルと言われる他種族と大差ない異種族に変化すると言われている。


酒場で洗い物をしながら誰に向けて喋っているのかもわからない僕はもちろん『ノーマル』だ。
種族と言うのは産まれた時には決まっている。そのせいで他種族と天と地の待遇を受けており、僕と父は生活を安定させる為にガーデン村からヴェルヘルムへ出稼ぎに来ているのだ。

大都市なだけに他にも『ノーマル』の人達は多くいるけど父が昔起こした問題とやらで同種族からも毛嫌いされている。

「しかし、ノーマルの仲間にも嫌われるなんて親父は一体何をしたんだろう。」

父はその事については口にしようとしないから、僕もそれについては深く詮索しないようにしてはいるが、
ここまで嫌われていると少し気になる、、

そんな父は数日前職場の冒険者組合場の天井修理をしていた時足を滑られて
元々ガタがきていた踏み場から勢いよく落ちて今は寝込んでいる。

そんな事だから僕がその分稼いでやらないといけないんだが、ノーマルの子供を
雇ってくれるのは酒場くらいだ。


「エーデル!!!!!手が止まっているぞ!!!!クビにされたいか!!!!」


「すすすす、すいません!!!!!」

酒場の亭主であるゴードンさんに怒鳴られ
止まっていた手をすぐさま動かす。

毎日毎日これの繰り返し

「他の種族に産まれていれば王族の護衛とかカッコいい職に着けるのに、、、、」

そんな不満を抱えながらも明日も皿洗いをする僕は、まだ、『ノーマル』だ。

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