学生時代

Me-ya

泣かないで、マイ・ラブ 6

塔野の話によると。

佐藤治夫の水曜日の図書館通いは皆が知っている事で。

私だけの秘密ではなかった。

………という事で。

私だけが知っていると思い、ほくほくしていたのは私の早合点で。

皆が知っていて。

いかにも重大な秘密を告げるみたいに塔野に話した私って………………。

は、恥ずかしい~。

………っていうか。

「………知ってたんなら、教えてよ~。恥ずかしいじゃない」

まるで重大な秘密を打ち明ける時みたいに、得意げに話したのに。

「だって、凄く有名……っていうか、もう、当たり前みたいな話だもん。とっくに知っていると思ってたわよ」

………すみませんね、知らなくて。

顔を赤らめて拗ねる私を見詰めて、塔野が笑う。

ニンマリと。

「………な、何?」

塔野の笑い顔に嫌な予感を覚えた私は、少し体を引いて冷めたコーヒーに口をつける。

「それよりさ、噂になっているわよ~、佐藤治夫をつけ回している危ない女がいるって……」

その一言に。

「…………………………!!」

私は口に含んでいた珈琲を塔野の顔に勢いよく吹いてしまった。

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