学生時代

Me-ya

いつか、君の声が 16

-昼の休憩時間。

スパーンッ!!

教室の扉が勢いよく開かれると、そこに青い顔をして…でも、目だけはギラギラと光らせた隼人がいた。

パンや箸を片手に脇目もふらず、一心不乱に勉強をしていたクラスの皆も、勉強を止めて何事かと隼人に注目している。

そんな視線も気にならないのか、隼人は教室の中を見回す。

そして。

俺と目が合った。

と思った途端。

ズカズカと俺の方へ突進(まさにそんな感じで)してくる隼人。

その迫力に気圧されて皆…あの寧音でさえも…何も言えずただ、隼人を見詰めているだけ。

ただ。

俺は。

真っ直ぐ俺に向かって進んでくる隼人の目を見て、心が震えた。

特進クラスが苦手だと言っていた隼人が…他人に注目される事が苦手な隼人が…。

特進クラスの中、皆の注目も気にせず、俺の方に向かって来る。

その目には、怒りが浮かんでいた…俺に対する。

こんな時なのに思わず、俺の口元が緩みそうになる。

-嬉しくて。

俺が進路をK大学に変更した事を聞いた隼人が、俺の元に確認に来るだろう事は想定済みだった。

(…まさか、こんなに怒るとは思わなかったけど)

俺と離れるかもしれないと知って、腹を立てたのか。

腹を立てる程、ショックを受けたのか。

-もしかしたら、俺が思う以上に隼人は俺の事を好きなのかもしれない-

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