学生時代

Me-ya

いつか、君の声が 12

「………どういう事?」

治夫がカンナとあけみ、タイプの違う2人とそれぞれデートしていたとの話を聞いて、その真相を治夫に聞いて確かめようと昼休み、鼻息も荒く特進クラスへ乗り込んだ僕を爽やかな笑顔で出迎えた治夫。

皆の勉強の邪魔になるからと放課後、屋上で会う事を提案された。

今まで僕をスルーしていたのは何だったんだっ!!と問いたくなるくらいのフレンドリーな態度で。

でも、僕は騙されないぞ。

何年の付き合いだと思っているんだ。

フレンドリーな態度に、爽やかな笑顔。

しかし!!

その爽やかな笑顔の目の奥が笑ってない。

オマケに僕に対する他人行儀な態度。

周りの皆は騙せても、僕は騙せないから。

とはいえ、確かにこの場で騒ぎを起こすと皆の邪魔になる。

勢い込んで治夫の元に乗り込んだ僕は肩透かしをくった気分で…でも、放課後の約束を何度も確認して…特進クラスを後にした。

-その時。

クラスの隅で僕達を見詰め、立ち尽くしている寧音に気付いた。

いつもなら僕が治夫に近づくと、必ずといっていいほど邪魔をしにくる寧音がこの時は近づいて来るどころか、遠くから僕達を見ているだけの姿におかしいなと思いつつ…でも、あの僕を凄い目で睨んだ日から寧音が僕に近付いてくる事はなくなったので、この時もあまり深く考える事をしなかった。

-今、思えば。

この頃には、寧音は治夫の志望大学の変更を知っていて…治夫が僕の前から離れようとしている事に気付いていて…。

心の中で笑っていたのか。

何も知らない僕は、この時。

久し振りに治夫の顔を見る事ができた嬉しさと放課後、2人きりで話す事ができる事に…話の内容が女性2人とデートしていた事とはいえ(僕はこの時、この話をそんなに重要とは考えてなかった)、浮き足立っていて…治夫と寧音の様子がいつもと違う事に気付いていながら、あまり深く考える事をしなかった。

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