学生時代

Me-ya

恋と嘘と現実と 32

「…話、聞いてる?」

「……え、何?」

…いけない。

千尋の詐欺問題について考えている間に、千尋の部屋に着いてしまった。

「…まったく…隼人って危機感、なさすぎ」

「…何の事?」

「ま、いいや。何でもない。こっちの事。ところでここまで着いてきたという事は、治夫に知られたくないんだろ?」

「…何を?」

治夫に知られたくない事は…色々あるけど…。

「何を…って…勿論、隼人が治夫を好きだって事をだよ」

「……………」

…友人として好きって言って誤魔化せないかな…

「あ、友人として好き、とかなしな。ちゃんと恋愛対象として隼人が治夫の事を好きなのは知っているんだからな」

「……………」

「色々とお前達の事は、知っているんだ」

俺達の事を知っているって…何だ、コイツ。

治夫のストーカーか?

女どころか、(僕以外の)男にまでモテるなんて治夫め。

どんだけイケメンなんだ。

「例えば治夫が隼人の記憶をなくす前は、隼人を好きだったとか…」

「…えっ!?」

驚いた。

治夫が僕の記憶をなくしている事は秘密のはずなのに…。

何故、知っているんだ。

「今は隼人が治夫に片想いをしている…とかね」

「…何が言いたい…?」

「わからない?」

わかるわけ、ねーだろっ!!

「俺はね、治夫が大嫌いなんだ」

………ん?

「だから、ずっと治夫が大事に思っているものを奪ってやりたいと、思ってたんだ」

……んん?

「寧音と隼人、どちらを獲られたら治夫は怒ると思う?」

千尋がゆっくりと僕に近付いてくる。

「寧音には手を出すなっ!!」

思わずカッとして怒鳴っていた。

「…なんだ。やっぱりライバルでも、元カノには手を出されたくないんだ?」


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