学生時代

Me-ya

恋と嘘と現実と 6

振り返らず聞いた僕に、軽い調子の返事が反ってきた。

「…どうして」

「一緒に帰ろうと思ってさ~」

冷たい僕の声に気付いているのか、いないのか相変わらずの軽い調子で答える治夫。

「やだよ」

別に本気で嫌だと思っているわけではないが、なんとなく…照れもあり…ぶっきらぼうな態度になってしまった。

だが、治夫はそんな僕の心を気付いているみたいにクスリと笑うと、僕の肩に腕を回してきた。

「いいから、いいから。さ、帰ろうぜ」

その腕を僕は跳ね退ける。

「な~に照れてんだよ」

治夫が僕の顔を覗き込んで笑う。

…だ、誰が照れてるんだよっ。

「…て、照れてなんか…」

「いいから、いいから」

…何か、僕の事は全てわかっているというような感じの、その態度がムカつくぞ。

だから、僕は治夫から離れようと駆け足で校門を出てそのまま道路を横切ろうとした。

その道路は、学校の登校と下校の時間帯は車があまり通らない。

その時も気にせず、注意もしなかった。

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