踏切電車向こう側

相坂舞雉

2-10(僕)不思議な問いかけ



彼女が転校してきて2ヶ月ほど月は過ぎた。
社交的な彼女はクラスに馴染み転校生だということも忘れてしまうほど
ずっと前から一緒にいると錯覚してしまうほどに馴染んでいた。


彼女は明るい

肩まで伸びた黒髪は美しく

整った顔立ちに

とてもスタイルがいい


『そんな完璧美人の友達と一緒に帰れるなんて光栄思ってね!』

と帰り道自慢げに彼女は言った。
正直こんなキャラだったと思っていなかったから正直ビックリしているが、悪くない。
僕は『はい、はい。』と相槌を打つ。
こんな下りはくだらないと言う同級生はたくさんいるだろうけど
今じゃ僕の日常には欠かせないと思うようになっていた。

彼女に合わせて自転車登校をやめて
絵を描く頻度は少し減った。

彼女は僕の絵を見たいと言ってくれるが見るだけで感想は言ってこないし僕も感想を求めた事はない。
最近は数時間から数週間かけて描いた絵を数分彼女に見せるためだけに描くことも多い。
誰かの為に絵を描くことは今までなかったのに何でだろうね。

『ねぇ、話し聞いてないでしょ!』

『君はいつも考え事をして話しを聞いてくれないよね。』

そりゃ考えているのは

君のことだし。—————

それを伝えるとしても君の反応が怖いし

彼女が不機嫌そうな素振りを見せながらいつものベンチに腰掛ける。
学校から家まで一本道。
距離はまぁまぁあるし毎回このベンチで一休み。

時にはこのベンチで絵を描き。

時には彼女の町の話を聞き。

時には僕の話をする。


お互いの話をする。

友達っぽい。








友達っぽい。———————



『ねぇ。』


『ちょっと、聞いてもいいかな。』

不意にかけられた彼女の問いに僕は顔を向ける。


『もし、私が遠くに行ったとして——』



『私を忘れてしまった時—————』


『君はどうする—————?』




明るく、社交的で、誰からも愛されるその子は時々


暗く

冷たい


そんな眼をする—————。




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