踏切電車向こう側
1-7(僕)再現
『終わりましたか・・・・?』
田舎町からただその目で見たものを模写する為に
早起きして
前日から準備して
新幹線から見える景色に心踊らせ
当然僕のことを知っているクラスの友達はいるはずも無く、夕飯だからと呼びに来る親もおらず
誰も僕を知らない街なのに————
その子は肩までかかる黒髪をしており
整った顔立ちをした
可愛らしい声の持ち主だった。
僕がそんな見ず知らずの女の子に声をかけられたことに動揺していることも梅雨知れず
その子はじっと
僕からの返答を待っている。
とりあえず冷めたハンバーグに再度目をやり現状を見直す。
いつからその子がいたのか
なぜ声をかけてきたのか
『聞こえてます?』
大都会だからやっぱり危険な気がするし
でももしかしたら良い人なのかも知れない
『ねぇ!』
僕からの返答に待ちくたびれたその子は
大きな声で答えを強要する。
その声に煽られ咄嗟に返事をした僕のことを見つめその子は笑みを浮かべた。
『ずっとその絵描いてましたね』
『見ても良いですか?』
彼女はほの字の僕に向かっていくつかの声をかけ最後に僕の返答を待つことなく
渋谷の絵を手に取った——————
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