踏切電車向こう側

相坂舞雉

1-1(私)私のお話



母と父は私が中学に上がる前離婚した。
原因は父の浮気でそれを偶然母が発見して問題になったらしい。

母は私が寝静まると毎晩リビングで
泣いていた。
結婚指輪と2人が付き合っていた時の写真を握り締めながら。
父は自分の過ちを悔いていたが、
毎晩母の悲しむ姿をみて耐えられなくなったのか父の方から離婚を告げた。

母は泣いていた。

愛する人の浮気を悲しんで泣いていた。

原因は自分にあるのかと問いかけ泣いていた。


父は何も言わず
ただ黙って母がサインした紙を握りしめいつものように家を出た。




私はそんな2人を見つめていた。


————————————————




声が聞こえる——


「お隣の○○○さん離婚したんですって」




声が聞こえる——



「○○さん。先生には何も出来ないけど、話したいことがあるなら相談にのるからね?」



声が聞こえる——


「○○ちゃん大丈夫?私たちずっと友達だからね、、」



声が聞こえる——


「あいつの父親浮気して家のお金全部もって消えたらしいぜ」


声が聞こえる——


「お前の母親ずっと泣いてるんだってな!気持ち悪い!」



声が聞こえる



——————————————————


数日後

私は高校の夏に転校することになった。

父と母の離婚でどちらが引き取るかのゴタゴタの最中、祖母が私の事を心配してくれて家に来なさいと言ってくれた。

直前までは母と一緒に住んでいたが、うつ病と診断され外出するのも
難しい状態になってしまった母を見れば当然と言える。

父は浮気相手と一旦別れていたけど
母との離婚後穴を埋めるためによりを戻した。



「○○に大変な思いさせてごめんな」
「落ち着いたらお父さんとまた一緒に暮らそう」

そう言って父は浮気相手の元に帰っていった。


母は——-

「またね?」

と、か細い声で私に微笑みながらそう言った。




「○○さんはお家の事情で転校することになりました。」



中学の同級生と一緒に進学した高校は
その一言で終わった。


「○○ちゃん転校してもずっと友達だよ?」


そうだね———

その言葉に意味なんて無いのだろうと思いながらも私は返事をしてみんなに手を振って
『お家』に帰った。





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