天界に召されたら全員☆堕天しちゃってた♡
堕天使感謝しちゃった♡
「たっだいまー!」
白玉はドアを開け放って元気良くそう言った。
荷物持ちをしている俺はというと、玄関に立ち尽くして朝から続く災難を思って言った。
「なんとか帰って来れたぜ……!!」
激辛オムライスにビッグマダムにアルティメットフェスティバル…………
白玉に出会ってからハプニングだらけじゃねぇか!!
なんだよこの日常(?)バカなんじゃねぇの?!
そんなことを考えながら靴を脱ごうとした時だった。突然、すぐ近くにいる白玉の姿がぶれた。というよりも、目に映る全てが二重になって見えた。
あれ………………?
力、が………………
残りHP 0%
落ち着く匂いがする……
ほのかな温もりを感じる……
何も見えない真っ暗な闇の中で確かに俺はそう思った。
退屈だったはずの俺の日常を思う。
そして俺は重たい瞼をゆっくり開いた。
目を開けると膝枕をした白玉が吐息がかかる程の距離でこちらを覗き込んでいた。
ち、近い……
俺は目を丸くして驚いた。が、そんな俺には構わずに白玉は言った。
「かなた……今日はありがとう」
白玉は幸せそうに笑っていた。
プフッ……
思わず笑いが漏れた。
「ふっかつのじゅもんは『ありがとう』か……」
おかしかった。おかしくてならなかった。
白玉の『ありがとう』の一言で溜まりに溜まった疲れが一瞬で吹き飛んでしまったことが。何かが報われた気がしたことが。
(※後で恥ずかしさの余り死にたくなった)
「白玉、心配かけて悪かったな」
俺は白玉の膝から頭を上げ、座り直して言った。
「し、心配なんかしてなぃし…… 」
白玉は顔を真っ赤にしている。
「そうか?」
「そうだから!  それに私が聞きたいのは謝罪なんかじゃないし……」
俺の謝罪なんか聞きたくないのか……
俺そんなに怒らせるようなことしたのか?!
堕天使……よく分からん……
「それよりかなた、ご飯できてるけどもう食べられる?」
「ああ、腹減ったよ」
「そう……良かった」
白玉はそそくさと立ち上がってクリームシチュを持って来た。
「これ、美味しくないかもしれないから……」
白玉は自信なさげな表情でこちらをじっと見ている。俺は普段料理をする方ではないが、白玉がこのシチュを心を込めて作ったことは分かった。だから、俺も心を込めて……
「いただきます」
スプーン一杯にすくってほおばる。
「……」
「どう? おいしい?」
「……」
ヤバい。言葉にならない。
美味すぎる……!!!
俺は返事を返す代わりにシチュを次から次へとかきこんでいく。
止まらない。
こんなにコクのあるシチュがこの世に存在していたとは……!!
恐ろしい……!!
結局俺は白玉が夕食の分もまとめて作ったシチュを全て平らげてしまった。
「ご馳走さま。美味かったよ。ありがとな、白玉」
「うん!!」
白玉は言った。
「それとね……」
白玉はもじもじとして何かを言いたそうにする。
「私がかなたから言って欲しかった言葉はね『ありがとう』なんだよ! やっと言ってくれたね」
「…………ッ!」
俺は白玉が浮かべたいたずらな、でも溢れんばかりのその笑みから目が離せなくなった。
俺と白玉の新生活はまだ始まったばかりで、正直白玉がなぜうちにいるのか気を抜けば分からなくなってしまいそうだけど、それでも俺は俺たちが互いの喜びや幸福を望み合っていたという事実がたまらなく嬉しかった。
退屈だと思っていた灰色の日常はいつの間にか七色によって彩られていた。白玉と出会わなければ俺はこんな日常とは無縁だったかもしれない。
偶然白玉と出会った。
たったそれだけ…………
でもそれだけのことから始まった時間に俺は魅せられていた。
良くも、悪くも、ね…………
白玉はドアを開け放って元気良くそう言った。
荷物持ちをしている俺はというと、玄関に立ち尽くして朝から続く災難を思って言った。
「なんとか帰って来れたぜ……!!」
激辛オムライスにビッグマダムにアルティメットフェスティバル…………
白玉に出会ってからハプニングだらけじゃねぇか!!
なんだよこの日常(?)バカなんじゃねぇの?!
そんなことを考えながら靴を脱ごうとした時だった。突然、すぐ近くにいる白玉の姿がぶれた。というよりも、目に映る全てが二重になって見えた。
あれ………………?
力、が………………
残りHP 0%
落ち着く匂いがする……
ほのかな温もりを感じる……
何も見えない真っ暗な闇の中で確かに俺はそう思った。
退屈だったはずの俺の日常を思う。
そして俺は重たい瞼をゆっくり開いた。
目を開けると膝枕をした白玉が吐息がかかる程の距離でこちらを覗き込んでいた。
ち、近い……
俺は目を丸くして驚いた。が、そんな俺には構わずに白玉は言った。
「かなた……今日はありがとう」
白玉は幸せそうに笑っていた。
プフッ……
思わず笑いが漏れた。
「ふっかつのじゅもんは『ありがとう』か……」
おかしかった。おかしくてならなかった。
白玉の『ありがとう』の一言で溜まりに溜まった疲れが一瞬で吹き飛んでしまったことが。何かが報われた気がしたことが。
(※後で恥ずかしさの余り死にたくなった)
「白玉、心配かけて悪かったな」
俺は白玉の膝から頭を上げ、座り直して言った。
「し、心配なんかしてなぃし…… 」
白玉は顔を真っ赤にしている。
「そうか?」
「そうだから!  それに私が聞きたいのは謝罪なんかじゃないし……」
俺の謝罪なんか聞きたくないのか……
俺そんなに怒らせるようなことしたのか?!
堕天使……よく分からん……
「それよりかなた、ご飯できてるけどもう食べられる?」
「ああ、腹減ったよ」
「そう……良かった」
白玉はそそくさと立ち上がってクリームシチュを持って来た。
「これ、美味しくないかもしれないから……」
白玉は自信なさげな表情でこちらをじっと見ている。俺は普段料理をする方ではないが、白玉がこのシチュを心を込めて作ったことは分かった。だから、俺も心を込めて……
「いただきます」
スプーン一杯にすくってほおばる。
「……」
「どう? おいしい?」
「……」
ヤバい。言葉にならない。
美味すぎる……!!!
俺は返事を返す代わりにシチュを次から次へとかきこんでいく。
止まらない。
こんなにコクのあるシチュがこの世に存在していたとは……!!
恐ろしい……!!
結局俺は白玉が夕食の分もまとめて作ったシチュを全て平らげてしまった。
「ご馳走さま。美味かったよ。ありがとな、白玉」
「うん!!」
白玉は言った。
「それとね……」
白玉はもじもじとして何かを言いたそうにする。
「私がかなたから言って欲しかった言葉はね『ありがとう』なんだよ! やっと言ってくれたね」
「…………ッ!」
俺は白玉が浮かべたいたずらな、でも溢れんばかりのその笑みから目が離せなくなった。
俺と白玉の新生活はまだ始まったばかりで、正直白玉がなぜうちにいるのか気を抜けば分からなくなってしまいそうだけど、それでも俺は俺たちが互いの喜びや幸福を望み合っていたという事実がたまらなく嬉しかった。
退屈だと思っていた灰色の日常はいつの間にか七色によって彩られていた。白玉と出会わなければ俺はこんな日常とは無縁だったかもしれない。
偶然白玉と出会った。
たったそれだけ…………
でもそれだけのことから始まった時間に俺は魅せられていた。
良くも、悪くも、ね…………
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