あの日僕は君を拾った

夏鬼

とりあえず飯食って風呂入って寝るぞ

うーん、困った、、、
どしよっかね~
あ、どうも。
ついさっき子供を拾って
家まで連れて来てしまったナツキです。
うん、別にこの子
明日親父の所に連れていけばいいだけの話
だからさほど問題はないんだよね?
じゃあ、なんで困ってんのかって?
それはね?

ナツキ「名前どころか
声が出せないとは、、、」

声が出ないって、、、
ちょっとどうしようっかね~ホント。
あ、ちなみに子供は今
すごいキョロキョロ見回してる。
元々私は子供は好きな方だったから
結構問題はないんだけど、
話せないってなるとやっぱ意思疎通に
支障が出るかもな~。
などと頭を抱えていたら
子供が急に泣き出しそうな目をしていた。
慌てて私は子供を抱き抱えたら
普通の倍の軽さだった。

ナツキ「あ~、とりあえず
私が今から言うことに
首を縦に振るか横に振ってくれない?」

そう言ったらコクリと子供は小さく頷いた。
それを見て、
言葉は分かるということは分かった。
次に私は子供に

ナツキ「ねえ、君に名前はあるの?」

と尋ねた。
そしたら、子供は首を横に振った。
え?
名前無いって
どういう環境で過ごさせられてたんだよ。
言い表わしようの無い怒りが
私の中に芽生えた。
だが、この子供がどこから来たのかが
分からないからどうしようも出来ない。

ナツキ「じゃあ、君は前の場所にーーー」

戻りたい?と言い終わる前に
目の前の子供はガタガタと体を震わせた。
ヒューヒューと過呼吸をおこしている。
私はその子供をすぐに力一杯抱き締めた。
子供は驚いて私を見た。
私は抱き締めたまま

ナツキ「嫌な事思い出させてゴメンな? 
マルコ」

私がマルコと呼んだ子供は
目をパチパチとさせた。
名前がないなら、
この子供に居場所がないなら、
愛情を知らないなら、
親父がしてくれたように
私がこの子供に名前を、
居場所を
愛情を与える。
ていうか、私がこの子供の為だけに
こんな事したいとは呆れちまうねぇ。
と、私は内心苦笑しながら、
抱き締めていた腕の力を緩めて、
マルコと目を合わせた。

ナツキ「ここには
マルコを苦しめるのは何もない。
もしあったとしても私が壊す。
だから、もう怖がらなくて大丈夫だよ?」

と告げたら
安心したのかポロポロと涙が溢れた。
それを私は優しく拭ってやる。

ナツキ「今日からマルコは私の弟だ!」

そう言って、小さなその体を抱き締めた。

ピーンポーン

あ?
こんな時間に一体誰だよ?
場合によっちゃあ、蹴るお(^言^)

バゲット「おーいナツキー」

あ、バゲットか。
、、、無視しよう(真顔)
不安そうにこっちを見てくるマルコを
ぎゅっと抱きしめてニッコリと
大丈夫という意味を含めて微笑んでみせた。

、、、ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン((ry

ブチっ

ナツキ「おいゴラフランスパン!! 
テメェ今何時だと思ってやがるゴラァ!! 
ちったぁ考えやがれっての!!」

バゲット「いや、
居留守使おうとしたお前が悪いってんだよ!! しかもお前も五月蝿えし!! 
近所迷惑だ! ヴァァァァカ!!」

、、、私はムカついたので
バゲットさんの大事なフランスパン
もといリーゼントを手でグシャッ! と
潰してさしあげましたわオホホ(^言^)
そのあとバゲットさんは俺のアイデンティティーーーーがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! と
意味不明な事を叫んでたので
蹴り飛ばして家に入れた。

バゲット「イッテェ!! 妹が酷すぎる!!
てか、いい加減表示直しやがれってんだ!!」

ハッ!!
ザマァねえぜバゲットさんよー

クイクイ

ナツキ「ん?」
バゲット「え!? 何この子!!? 
お前の隠し子?!」
ナツキ「違うわい!! ついさっき拾った子だ。それとマルコ喋れねえから
明日病院行ってから親父に顔出すわ」
バゲット「あれ? こいつ喋れねえのに
名前どうやって聞いたんだよ?」
ナツキ「名前あるか聞いたら
首横降ったから俺がマルコって命名した」
バゲット「ふーん」

ふーんってこんのクソフランスパンが。
自分から聞いてきといてそれかよ。
フランスパンがマルコの目の高さと
同じになるようにしゃがんで
人懐っこい笑顔でマルコに話しかけた。

バゲット「よっ! 俺はサッチってんだ! 
よろしくな、マルコ!!」
ナツキ「はぁー、マルコ。
そいつとよろしくしなくても別にいいぞ。
それとサッチ、
お前元々何の用事で来たんだよ。
用事無えなら帰れよ」
サッチ「あ! いっけね忘れるところだった!」

危ねえ危ねえと、
ほざいてるサッチを呆れた目で見てやれば、
ほいと手渡される書類の束。

ナツキ「、、、またエースか?」
サッチ「今回はエースとハルタの請求書と
在庫の不足分あとその他諸々だな」

はぁーと俺は長い溜め息を吐いて
それを睨んだ。

ナツキ「とりあえずサッチ、
飯作ってくんね?」

そう言った後マルコと私の腹の音が
盛大に響いた。
ズルっとサッチは転げた。

サッチ「いやいやいやいや!!!?? 
マルコはまぁ、仕方ねえよ? 
お前の腹の音おかしくね!?!? 
どんだけ腹空いてんだよ!!」

爆笑しながらも台所に立つ辺り
本当に世話焼きなやつだとつくづく思う。
そんなサッチの頭を私は思いっきり

踵 落 し を 喰 ら わ せ た ( 真 顔 )

サッチ「イッテェ!! 
おいナツキ何すんだってんだよ!!」

キャンキャン吠えている
フランスパンを無視してさっき渡された書類に軽く目を通す。

ナツキ「ったく、あのバカども何してんだか」

ハァッと溜め息が溢れる。
クイクイと服の裾を引っ張られて、
そちらに目をやると不安(?)そうな目で
こちらをジッと覗いてくる(小さいから自然と
上目遣いになるからだけども)。
私はその小さな頭をそっと撫でて微笑んだ。
ナツキ「私は別にサッチを
虐めてるんじゃないんだ。
挨拶みたいなもんさ。
だからあいつも笑ってるだろ?」

ホラっとサッチを指さすと
確かに本人はなんとも思っていないらしく
トントンとリズミカルに
野菜を切りながら鼻歌を歌う
サッチの姿があった。
痛々しいタンコブがあるけども。

サッチ「おーいナツキ、マルコ!! 
飯出来たぜー!」
ナツキ「ホラ、サッチのヤツも呼んでるから
行こうか、マルコ」

私はマルコを抱き上げてリビングに向かった。

「「ご馳走さまでした!」」

あ~美味かった!!
やっぱサッチの飯は美味いな。
え?
時間軸?
ワタシナンノコトカワカンナーイ
ペコリと手を合わせて
マルコもお辞儀をする。

ナツキ「全部食いきれたか! 偉いなマルは」

私はマルコの頭をワシワシと撫でる。

サッチ「、、、ナツキさん」
ナツキ「、、、何?」
サッチ「激写しても
よろしいでしょうか?」(鼻血)
ナツキ「マルが嫌がったら即止めるんなら」
サッチ「よっしゃ!!」

大袈裟なまでにガッツポーズをして、
光の速さでスマホとカメラを構えた。
お前それどっから取り出したんだよ(呆れ)
2人が(1人でちょこちょこしてるのをおっさんがめっさ写真撮ってる地獄絵図)遊んでるのを
目の端に捉えて机の上に
書類とパソコンを取り出し、
作業を始める。

しばらくしてから
トントンと肩を突かれて後ろを向いてみた。

ナツキ「、、、マルコは?」

私がそう問えばサッチは

サッチ「寝ちまったよ」
ナツキ「あれ? 風呂入れてないんだけど?」
サッチ「安心しろ。俺が入れといたから」
ナツキ「、、、そうか。悪いな色々」

申し訳なくそう言えば、
別にいい、と返された。

サッチ「にしても、、、」
ナツキ「? どうした?」
サッチ「いや、
お前があんなガキ拾うとは
思ってなかったからさ。
なんか、意外っつーか」

ああ、と納得した。
確かに普段の私だったら多分、
てか絶対に拾ったりなんかしないだろう。

ナツキ「気分だよ。ただの、ね?」
サッチ「無理はすんなよ?」

おどける様に言ってるが
これがこいつなりの心配の仕方なんだ。

ナツキ「私は白ひげ組若頭だ。
そうそうやられてたまっかよ」

と、強気に出てやる。

ナツキ「悪いけどサッチ、
私はもう風呂入ってちょいと寝るわ。
いつまでも起きてたら、
お前さんが五月蝿くなりそうだしね」
サッチ「おう、よく分かってんじゃん!
あ、寝床っていつもの所でいいか?」
ナツキ「あそこほぼお前の部屋に
なってんじゃんかよ」
サッチ「ふはっ!! それもそうだな!
んじゃ、ちゃんと寝ろよ~。
おやすみ~!」
ナツキ「おう、おやすみー」

私はサッチにおやすみと告げ、
書類などを片し、
シャワーを浴びてから眠りについた。

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