夕暮れ真っ黒

山田 みつき

5

僕は清貴がゲームに夢中になっているのを見計らい、キミの家へと急いだが。

キミにどうやって、清貴を誘拐したかを伝えるのか考えるだけでゾワッとして。

さて、有言実行開始。
メモに書く、其れを窓から投函した。

「キミの大切なもの、なんだ?ぼくは既に失っているしキミも失っている。」

キミが気配に気付いたみたいで、紙を手に取って見ている。

僕は隠れる事の出来る視角から見る。

キミは慌てない。
その数分後、無言で頭を抱えて、床に両手をついた。

多分、犯人の目処は付いたのかもしれないのだ。
以前、僕と観た映画で、似たようなシーンがあったから。

犯人の目星が解り、慎重に動こうとしているのか、警察に電話をする行動も取らないし、窓を覗く事もせず、只、両手をついて深呼吸してるのが解る。

キミはそれからどこか、隣の部屋に移動した。
数分後、紙を持って戻って来た。

何かの紙を見ながら携帯電話を操作している、警察に電話をするのか?

一方、こちらは、キミの携帯電話の逆探知の様なものを行う。
僕はインカムを装着し、共犯Aとやり取りをする。

僕「紙を見ながら、彼女は携帯電話を弄っている。」

A「OK。周辺は警察は動いてない。彼女は未だ警察へは?」

僕「未だ。慎重になっている。電話をしていない。」

A「了解。これから児童相談所に電話を先回りする。」

僕「了解。」

僕との交際に溺れる以前から子どもを放置していたキミは児相から目を付けられていたから。
家に児相を送り込む作戦だ。
そして警察を向かわせる足止めをする。
時間延長。

暫くしてからAから電話。

A「電話した。自宅には未だ向かわないそうだ。」

僕「何で?」

A「誘拐したなんて云う訳ないじゃん。もう少し遊ぼうと思って。」

僕「なぁんだ(笑)なるほどね。金でも引っ張る気?大した持ってねーよ。ソイツ。」

Aと電話を切り、キミを見張っていた。
キミは携帯電話を弄ってる。
何処かにメールをしているみたいに見えるが…何処だろう?

僕は自分の携帯電話から、昔のアカウントを動かし、ログインした。

その時、良く解らない人からメールが送られて来た。

キミだ。
僕は開いた。
内容を見て、驚いた。
衝撃的ではあった。

歩「お久し振りです。って言っても解んないよね。私です。ちょっと貴方が気になってメールしました。食事はしていますか?生きて居ますか?私はもう駄目です。多分、やっぱりあの時、一緒に消えれば良かった。」

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