フロレアル

保月 結弦

親しき友人


 「さて、これをどうするか...」

 メネクが店を出ていった翌日。オドランは昨日作って貰ったチラシを持って、一人で悩んでいた。
 とりあえず、150枚程コピーはしたのだがこれをどうするかが迷うとこだ。撒けと言っていたが、実際に街に撒いてもゴミ同然の扱いをされるだけだ。踏まれたり、捨てられたり、或いは風でどこかへ飛ばされるか、まぁあまり期待した成果は得られないのが読めるな。

 そうしたら、何処か壁やほかの店で貼らせて貰うのが最適かもしれないな。もう少し人気のある、それも市場ないし商店街ら辺とかがいいかもしれない。あそこならかなりの人がいるし、知り合いの店も幾つかある。

  「よし」

 俺、オドランは上着と短剣、金の入った麻袋、そしてチラシとテープを持って王都ピオニーへと足を運んだ。

 フロレアルのある場所は王都ピオ二ーの敷地からは飛び出しており、すぐ近くには草原が広がっている。と言っても、王都ピオ二ーは目と鼻の先。歩いて2分もかからない。店のすぐ脇の道は冒険者や馬車等が通り賑やかな時もあれば、静かに風が吹く時もある。

 「王都に入りたいんだが」

 王都ピオ二ーには幾つか門があるが、そのどれもが入場するのに税金が取られる。

 「銀貨1枚を支払って......ってオドか、先に名前を言えよな!」

そう言うと、後ろの仲間にも合図を送る。仲間たちは門の鍵を開け、扉を開く作業に取り掛かる。
俺は一応王都の住民って事で入場料はかからないのだ。

「悪いな、お前もお疲れ気味だな」

 何度も王都へと買い出しに行ったことがある為、この門番ともかなり親しい関係だ。

 「まぁな、最近は聖騎士団達が国内じゃ暇してるから、他国と交流をするって色々と出回ってんだよ」

 確かに1ヶ月くらい前か、店の窓から数十人の聖騎士団がゾロゾロと出ていってたな。

 「で、俺たち下っ端は雑務作業が増えたって訳さ」

 「元から雑務作業が多いだろ?」

 「そうなんだけどよ、俺も休みが欲しいわけよ。聖騎士団の連中が出かけてる間は俺らに事務作業や雑務を押し付けられるってこった」

 まぁ元から聖騎士団は幽霊討伐がメインの仕事であって、雑務や事務作業はあくまでおまけ、金の有り余る聖騎士団達は他の下っ端を雇ってやらせるのが普通なのかもな。

 「なぁ、それ給料いくら貰えるんだ?」

 「なんだ?オドもやるのか?」

 「まさか、絶対にお断りだ。いいからいくらなんだ?」

 「なんだよ、頑なだなお前も。えーと、確か、...だから、大体...1日銀貨150枚前後ってとこか。時給銀貨20枚ってとこだな」

 やはり、聖騎士団のバイトは額が違う。最低ラインギリギリのうちとは比べ物にならないな。ひょっとしたらこっちのバイトに移ってもらえるかと思ったけど、これは無理だな。

 「なるほどな、そっか。それじゃまた空いてる日にでもうちフロレアルに遊びに来てくれ」
 
 「アップルパイ奢りな!それと、コーヒーも付けて用意しといてくれ!」

 「ざけんな!金は払え、待っとくから」

 そんなやり取りをして、俺は王都ピオ二ーへと入った。

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