異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる

S・R

161話 宣戦布告

 ミルティア、アルテ、静香と思う存分イチャイチャした後、アーサーが逃げ出そうとしていたので直ぐにとっ捕まえ、亀甲縛りをして空中に吊るした。

「.......おい、お前。男の亀甲縛りとかキモイだけだから降りろ」
「貴様が縛ったんだろ!殺すぞ!」
「はいはい。弱い奴ほどよく吠えるって、まさにこの事だな」
「貴様ァ!」
「うるさいよ!」
「へぶっ!?」

 さっきから、アーサーが「貴様!貴様!」と煩いので、アルテがビンタで黙らせる。
 .......死んでないよな?あ、首が捻れて血切れた。
 まぁ、どうせ復活するしいっか!

「なぁ、アーサー?お前のボスがどこいるのか教えてくんない?」
「ふんっ!敵に教える情報など無いわ!へぶっ!?」

 なんか、ドヤ顔しながら強がってるから、ムカついて殴っちゃったよ。
 しかも、首吹っ飛んだし.......でも、何度でも復活するから良いよな!

「よし、分かった。お前は何も話さなくていいぞ」
「な、なんだ?その気色悪い笑みは.......」
「ふっ.......最近、忙しくてストレスが溜まっててな.......だから、その発散先になれ」
「.......は?」

 俺が満面の笑みで、ストレスの発散先になってくれるよう頼み、頭に手を添える。
 そして.......

「取り敢えず.......ゲンコツから始めようか!」

 ベチョ.......そんな音が聞こえてくるのと同時に、首から上が地面に叩きつけられ、アーサーの顔は地面のシミとなった。

「.......はっ!?まさか死んだのか!?」

 おっと、今度は自分が死んだことすら認識できなかったみたいだな.......これじゃあ、恐怖を与えることが出来ないじゃないか。

「今度は手加減して殺すから安心してくれ.......んー、そうだなぁ。俺が飽きたら止めるから壊れんなよ?」
「お、おい!待て貴様!ま!?」

 そして、俺はアーサーを殺して殺して殺して殺し続けた。



「はぁ.......はぁ.......はぁ」

 もう数え切れないほど殺され続け、アーサーは心身共に疲れ切っていた。
 しかし、俺たちが欲しい情報は全く吐かない。

「こりゃあ参ったなぁ.......全然、ゲボらねぇぞ」
「僕もコイツの記憶を覗こうとしたけど、【正義ミカエル】が邪魔で見れないよ」
「私の【神通力】でもダメね.......さすがに美徳スキル相手には分が悪いみたい」
「もう一度、撲殺しますか?今度は私が殺りたいです!」

 俺たちは、それぞれ自分に出来ることを試してみたが、いい結果は出なかった。
 .......こら、ミルさん、アーサーの頭を掴んで握り拳を作らないの!.......はぁ、全く俺の周りは物騒な人ばっかだね。

「えっと、こういうのは僕、役に立たないね」

 と言って、輝は苦笑いする。

「いや、マジで使えねぇな。せっかく、アーサーを倒すチャンスを作ってやったのに、のんびりと観戦しやがって」
「いやいやいや!あれに僕が混ざったら死ぬから!」
「情けない勇者だなぁ」

 その言葉にイラついたのか、輝は額の血管を大きくしてピクピクさせていた。

「.......こういうタイプは絶対に口を割らないだろうし、拘束して適当なところに閉じ込めておくか」
「うん。僕もそれでいいと思うよー!」

 そして、俺はアーサーと触手オオカミを特殊な縄で拘束し、【虚無空間】に閉じ込めた後、ミルティアの故郷、ベネスティア王国へと転移するのだった。



 俺たちは周りから見つからないように、大通りの隅っこにある裏路地へ転移した。
 いきなり、道のど真ん中に転移したら、周りに迷惑かけるしな。
 そんなことを考えながら、俺たちは城へと向かって行く。

「ねぇ、アポ無しで城に行ってもいいの?」
「ミルがいるから大丈夫だろ。もしダメだったら、お義父さんの執務室に転移しよう」
「はぁ.......何も考えてなかったのね」
「うむ!」

 さすが、静香!俺のことよく分かってんじゃん。

 そんな他愛もない会話をしながら歩くこと約数分後.......俺たちは王城に着いた。
 もちろん、ミルティアがいたので顔パスで城門を通してもらえた。
 あんまり驚いてなかったし、お義父さんから俺たちが来ることを予め聞いてたのかもしれない。

 城内に入った後は、メイドさんに案内され、今は執務室の目の前にいる。

 コンコンコンコン

 と、メイドさんが執務室の扉を四回叩くと、中から「入れ」という声が聞こえてきた。

「失礼します」

 そして、俺たちは部屋の中に入る。

「ミル久しぶりだな!」
「ふふふ.......お久しぶりです。お父様!」

 お義父さんとミルは嬉しさのあまり、顔を合わせた瞬間、力強く抱き合った。
 しかし、そんな感動の再会も束の間、お義父さんはミルから手を離すと、真剣な表情をしながら俺に目を向ける。

「"この世界"は.......宣戦布告された」

「異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く