異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる

S・R

122話 圧倒

「次は私たちの番だよ!」
「もう、あなたでは私たち相手に手も足も出ない。」

 2人が、そう言った瞬間、リーは急いで後ろに飛び引いて距離を取った。
 恐らく、殺気を受けた瞬間、直感的にあの二人が自分よりも遥かに強いという事を理解したからだろう。

「さっきまで、私の方が圧倒的に優勢だったのに.......有り得ない.......そんな事.......絶対に有り得ないですネ!」
「はぁ.......なんて言うか.......拍子抜けだね。」
「多分、自分よりも強い人とあまり戦ったこと無いんじゃないの?」
「黙って聞いていれば.......うるさいですネ!」

 そう言った瞬間、リーは全力で走って姫と彩を仕留めに行った。
 リーは、魔力と気を使って全力で身体能力を強化した。しかし、いつの間にか目の前まで距離を詰めていた彩に、リーは腹に膝を入れられていた。そして、それを受けたリーは空高く吹き飛んでいった。
 空高く吹き飛んでいったリーを追いかけて、姫は思いっ切りジャンプして。リーの頭上まで行った。そして姫は、リーの背中に杖を向けて魔法名を唱えた。

「龍魔法【龍神の咆哮】!」

 と、姫が唱えた瞬間、杖の先端から巨大な真っ黒なレーザーのようなものが、リーの背中に放たれた。そして、そのレーザーはリーだけでなく、地面も貫き、巨大な穴を作った。
 姫の、魔法を直撃してしまったリーは、ギリギリで魔力と気を纏って防ぐことに成功し、地面に着地した。しかし、姫の攻撃を防ぐことが出来ても、リーの体はボロボロだ。
 姫が放った龍魔法は、ただの魔法では無い。
 龍魔法とは、龍にしか使う事が許されない魔法だ。たとえ神であろうと使うことが出来ない魔法なのだ。
 なのに姫が、人間でありながら、龍魔法を使える理由は、また別の話である。

「ぐはっ!.......人間なのに龍魔法や神の力を使えるなんて.......有り得ないですネ.......」

 と、リーは声を震わせながら言った。
 リーの言う通り、人間が神や龍の力を得ることなど普通は有り得ないのだ。
 しかし、姫と彩は優真の妻だ。彼の知り合いである以上、普通の人だということ自体が有り得ない。

「あなたとの戦闘に、かなりの時間を掛けてしまったので、これで終わらせますね?」
「姫ちゃんに賛成!」

 姫が、次の攻撃で終わらせると言った後、彩が片手を上げて大きな声で賛成した。

 この後、万〇の長城付近の森からは、この世の物とは思えない程の、痛みと苦しみによる男の悲鳴が響き渡ったという.......

コメント

  • S・R

    短気ですからねw

    2
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