異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる

S・R

114話 姫&彩VSリー

「あなたが祓魔師リーですか?」
「はい。私が祓魔師リーですネ。」

 今、目の前に居る人物が、魔術師リーで間違いないと分かった瞬間、姫と彩は気を引き締めて戦闘準備をした。

「私に用があるんですよネ?」
「はい.......単刀直入に聞きますよ。天野家の天野大悟と天野絵里を攫った協力者はあなたですか?」

 と、姫は単刀直入に聞いた。そしてリーは口を開いて姫の質問に答えた。

「はい.......私達が天野家の天野大悟さんと天野絵里さんを攫いました…ネ。」

 祓魔師リーは自分の口元を、三日月のような形に歪めた後、邪悪な表情をして答えた。
 リーの顔は爽やか系イケメンなのに、あんな邪悪な表情をされたら、せっかくの顔が台無しだ。

「じゃあ、殺させてもらうね!」

 と言って、彩は魔法名を唱えた。

「光魔法【ホーリーレイ】!」

 彩は右手をリーの方に向けて、光の光線を放った。そして、それをリーは右拳を【ホーリーレイ】にぶつけて相殺させた。

「そんなショボイ攻撃だと、私にはダメージを与えられないですネ。」

 と言って、リーは左手の手の甲を、姫と彩に向けて"クイクイ"と手首を曲げながら、挑発した。

「なら次は私です!」

 と言って、姫も魔法名を唱えた。

「暗黒魔法【ミニブラックホール】!」

 と、姫が魔法名を唱えた瞬間、リーの目の前に1mくらいの大きさの、小さなブラックホールが出現した。
 だが、それをリーは息を吹き掛けて、ブラックホールを吹き飛ばした。それと同時に、リーが吹き掛けた息のせいで、周りにある木々が全て吹き飛んでしまった。

「やっぱり、あなた達程度の実力では、私にはダメージを与えれる事は出来ないですネ。」

 姫と彩に、即死級の魔法を放たれたリーだったが、大したダメージは与えられなかったようだ。
 それほど、姫と彩の2人とリーとの実力には、かなりの差があるという事だろう。

「次は私の番ですネ!」

 と言って、リーは目で追えない程の速さで、姫と彩に接近した。
 そしてリーは、まず最初に姫に狙いを付けた。

「最初はあなたからネ!」

 と言って、リーは姫の腹に手の平を付けて、一気に振動を伝えた。
 そして姫は「ぐふっ!」と、女性らしからぬ声を出して、吹き飛んだ。

「姫ちゃん!」

 リーに吹き飛ばされた姫を見た彩は、姫の名前を叫んだ。

「あの人.......優真の言う通り物凄く強い.......」

 優真はリーの事を「そこそこ強い。」と言ったのだ。優真はお世辞でも相手の事を「そこそこ強い。」等と言わない。だから、それを聞いただけで、リーという男が、かなりの実力者だという事が、よく分かる。

「私は大丈夫だから、彩ちゃんは、あの男から目を離さないで!」

 どうやら姫は、ギリギリでリーの攻撃を防ぐことに成功したようだ。
 そして姫と彩は、さらに気を引き締めて、目を鋭くさせた。

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