異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる

S・R

77話 優希の中に潜む化け物

「優真.......助けてくれ.......」



希望が打ち砕かれた私は弱きになり、優真に助けて欲しいと言った。



だが、優真はここには居ない。どこに居るのかすらも分からない。



普段はこんな情けない姿を見せない優希だが、冷静に物事を判断出来ないほど追い詰められているのだ。



「今の私を優真が見たら何と言うんだろうな。多分情けなくて見ていられないほどだろう。」



何も出来ず、知らないうちに敵に捕まって、相手のいい様に実験の道具にされた。



その事を考えると少しずつ自分に対して怒りが湧き、心が追い詰められていくのが分かる。



「優真ならこんな鎖、簡単に壊せるんだろうけどな。」



完全に私が諦めようとした時、頭の中から声がした。



────私が何もしなくても優真が何とかしてくれるだろう。



────いつも優真に頼ってばかりでいいのか?



────私は無力だ.......いつも守りたいものを守れない.......それが私の運命なんだ。



────だったらその運命にもう一度抗えば良いではないかのう?



────だが私に力はない。



────いや、ある!主は強い!



────強いのは私ではない.......この体に流れる血筋だ。



────こんな姿を優真が見たらなんて思うのじゃろうな?



────情けないと思うだろうな.......もしかしたら嫌われるかも.......



────だったら立ち上がるしかないじゃろう!



────だが、私に力はない.......



────主は昔、父と母になんと言ったのじゃ?



────たしか…いつかお母さんを越えて1番凄い妖怪になる。だったか?



────そうじゃ。その夢を諦めるのか?そしてまた何もせずに、全てを失うのか?



────私には力がない.......だが、もう失うのは嫌だ.......また、あんな思いをするのは嫌だ.......



────だったら諦めるでない!立て!立つのじゃ、久野優希!



────だが…無理だ.......もう…無理だ。



────だったら、その体は儂が貰う…主には勿体ない。



────何を言って.......



その時、私は真っ暗な場所に居ることに気がついた。そして上を見上げると、金色に輝く9本の尻尾が生えた大きく美しい狐が座っていた。



「お、お前は一体.......」



「儂はお前の中にいる九尾の始祖だ。主の体は儂が貰う。拒否権はない。」



それを聞いた私は急いで逃げようとしたが、九尾の狐に食われてしまった。



そして現実の世界では優希の姿が大変な事になっていた



優希の見た目が変わったのだ。髪と目が金色になり、腰からは9本の尻尾が生えてきて頭からは狐の耳が生えていた。

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