異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる

S・R

61話 デート③

「ぐすん…泣ける話だったなぁ。」



普段クールな優希が珍しく涙を流して泣いていた。



「そ、そうだな。」



まったく泣けなかった…



さっきまで優真と優希は映画館で映画を見ていた。恋愛映画を見る予定だったのだが、思ってたよりもギャグ要素が強く、泣けるシーンの後に必ずギャグシーンが出てくるのだ。



実際見てみたらただのギャグ映画だった。



優希の泣く基準が分からないな…



「それじゃあ、ちょうど昼飯を食う頃の時間になったから飯食いに行こーぜ。」



「うん!」



優希は最初は緊張していて、あまり楽しめていないかと優真は心配していたが、緊張も解けて楽しめていたようなので、優真も安心して楽しめるようになった。



そして2人は自然と手を繋ぎ、お昼ご飯を食べに行った。





「着いたぞ。」



「デートで普通はここをチョイスするか?」



優希は苦笑いでそう言ってるが、内心では喜んでいた。



ふふん!俺は元殺し屋だから情報収集き抜かりは無いのだ。



俺はこの時の為に優希の事を調べていたのだ。そして優希はいつも食事をする時は自分の家で和食を作っていて、子供の頃は里に住んでいたから、ハンバーガー等のジャンクフードを食べた事がないのだ。



一生懸命相手の事を調べてデートの計画を立てるのは凄いことだが、別の言い方をすれば、ただのストーカーである。



「嫌だったか?」



「嫌じゃないぞ!…だ、だが実はなハンバーガーを食べた事がないのだ。」



顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言った。



「そうか。なら初めて一緒に食べる相手が俺だな!」



「う、うん。そうだな。」



また照れたように顔を真っ赤にして、下を向きながら返事をした。だが手はしっかりと握られている。



「それじゃあ、中に入るか。」





「ふぅー…食った食ったぁ。美味かったか?」



「美味かったが…」



2人は食べ終わって店から、ちょうど出たところだった。



「ん?なんだ?ハンバーガーを箸で食べようとしたことが、そんなに恥ずかしかったのか?」



ニヤニヤしながら優真が意地悪すると、優希は怒って頬を膨らましながら言った。



「う、うるさい!初めて食べたんだから仕方が無いだろ!」



「ごめんごめん。反応が一々可愛いから、つい虐めたくなっちゃうんだよ。」



「そ、そんな…私が可愛いなんて…えへへ…」



可愛いの一言で機嫌を直すとは相変わらずのチョロインだ。



なんかチョロすぎて心配になるぞ…



そしてデートは再開された。

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