異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる
59話 デート①
「な、なぁ.......」
「ん?どうした?」
俺は学校に着いて教室に入った後、放課後になったら体育館裏に来て欲しい、と久野に呼び出された。
まさか、こんなに大胆な性格をしているとは思わず、少し驚いてしまったが、その後の久野の真っ赤な顔を見たら面白くて思わず小さく笑ってしまった。
だって、クラスメイト達の前で異性を体育館裏に呼び出したんだよ?
うちのクラスは物陰から見物するような無粋な奴らはいないけど.......ほら、女子とかニヤニヤしながら見てるし、あとで絶対に話のネタにされる。
そんな事を考えながら、俺は体育館裏に向かうと.......
「わ、私と.......で、デェートしてくれ!」
.......噛んだな。
「ち、違う!間違えた!デートして欲しいのだ!」
ここは断って虐めてみたいとこだが.......これをやったら、ただのクズだな。
やめとこ。
「俺で良ければいいぞ」
「ほ、ほんとか!?やったー!」
久野は兎のように跳ねながら喜んだ。
なんかクールな感じの女の子だと思ってたけど、意外と可愛らしいとこもあるんだな。
◇
久野 優希side
「はっ!?い、いや.......そのだな。べ、別に嬉しくはないのだからな!お前が暇そうにしているから誘っただけだ!」
うん、意味が分からんな。
思わず恥ずかしくなって言ってしまったが、自分でも何を言っているのか分からん。
はぁ.......そもそも何で、こんな事になってしまったのだったか.......
そして私は昨日のことを思い出していた。
◇
「優希、待って。」
授業が全て終わり、いつも通り家に真っ直ぐ帰ろうとしたのだが、珍しく呼び止められた。
この声は.......ミーシャという女か?
後ろを振り返ってみると、同じ女性である私ですら思わず見惚れてしまうほどの女の子がいた。
光に照らされた白銀の髪が腰まで伸びており、可愛らしさと美しさが共存している完璧な容姿をしている。
「お前は.......いつも天草といるミーシャという女か。私に何の用だ?」
見てるだけで照れてしまいそうになるが、冷静を装って無愛想に返事をした。
「あなた優真の事好きでしょ?」
全く予報していなかった質問に、私の思考は完全停止してしまった。
しかし数秒もすると、頭の中で同じ質問が繰り返し流れ続け、湯気が出そうになるほど顔を真っ赤にしてしまう。
「な、ななな、なぜ気づいたのだー!」
はっ!?これでは自白しているようなものでは無いか!
ここは冷静に否定するべきとこだろ!
「みんな気づいてる。もちろん優真も」
「な、何だと.......気づかれていたのか?」
「あんなチラチラと見てたら、さすがの優真でも気づく。というよりクラスの皆も気づいてる」
「終わりだ.......切腹して死のう」
と言って、スカートから小太刀を取り出し、腹に突き刺そうとした。
まさか気づかれているとは思わなかった。
私はこれでもポーカーフェイスは得意だと自負している。
.......ババ抜きをすると、なぜか必ず負けてしまうのだがな。
本当に何故だろう。
「勝手に死なないで 」
すると、凄腕万引き師もビックリするほど自然な流れで小太刀を奪い、鞘にしまった。
天草の恋人達は皆、こんな凄い女性ばかりなのだろうか?.......私では釣り合わんな。
ネガティブモードに突入していると、ミーシャは私が予想していなかったことを言う。
「優真とデートして」
「.......は?」
いや、意味が分からんぞ。
なぜ、自分の恋人を私とデートさせようとするのだ?.......もしかして、そういう趣味が.......いや、これ以上は危険だから考えるのはやめよう。
なんか、ぶっ飛びすぎた事を言われたから、逆に冷静になってしまった。
「お前は何を言ってるのだ?既に恋人がいるだろう。私が入る隙などありはしない」
「隙なんて無理やり作ればいい。それに私は恋人じゃなくてお嫁さん。間違えないで」
「あ、うん」
.......戸籍上は兄妹という事になっているはずだ。
調べたから知っているのだぞ。
「天草が他の女性と付き合っている事は知っているが本当にいいのか?」
「うん」
「な、なら遠慮なくデートに誘うぞ!」
「存分に楽しんでらっしゃい」
そして気合を入れた私は、どうやって天草をデートに誘うか考えるために、すぐに家に帰ることにした。
「あなたの体内にいる化け物が少し暴れ始めてるから、優真の傍にいた方が良い。それに.......狙われているようだし」
そんなミーシャの呟きは届かず、私ははしゃぎたい気持ちを抑えながら、帰るのだった。
◇
そして現在。
「そ、それじゃあ、場所と時間は後で知らせる。連絡先を教えてくれないか?」
「おう。これ俺の番号な」
「うむ.......お、覚えたぞ」
「いや、スマホに登録しろよ.......」
「っ!?そ、そうだな」
久野はスマホの扱いに慣れていないようで、番号の登録に少し時間がかかった。
「うふふ.......あ、あと下の名前で呼んでもいいか?」
「いいぞ。なら俺も下の名前で呼んでもいいか?」
「も、もちろんだ!いいぞ!私の事も下の名前で呼んでくれ。ゆ、優真.......」
「おう。優希」
名前を呼ばれ、優希は「はぅ.......」と顔を真っ赤にしながら、俯くのだった。
「ん?どうした?」
俺は学校に着いて教室に入った後、放課後になったら体育館裏に来て欲しい、と久野に呼び出された。
まさか、こんなに大胆な性格をしているとは思わず、少し驚いてしまったが、その後の久野の真っ赤な顔を見たら面白くて思わず小さく笑ってしまった。
だって、クラスメイト達の前で異性を体育館裏に呼び出したんだよ?
うちのクラスは物陰から見物するような無粋な奴らはいないけど.......ほら、女子とかニヤニヤしながら見てるし、あとで絶対に話のネタにされる。
そんな事を考えながら、俺は体育館裏に向かうと.......
「わ、私と.......で、デェートしてくれ!」
.......噛んだな。
「ち、違う!間違えた!デートして欲しいのだ!」
ここは断って虐めてみたいとこだが.......これをやったら、ただのクズだな。
やめとこ。
「俺で良ければいいぞ」
「ほ、ほんとか!?やったー!」
久野は兎のように跳ねながら喜んだ。
なんかクールな感じの女の子だと思ってたけど、意外と可愛らしいとこもあるんだな。
◇
久野 優希side
「はっ!?い、いや.......そのだな。べ、別に嬉しくはないのだからな!お前が暇そうにしているから誘っただけだ!」
うん、意味が分からんな。
思わず恥ずかしくなって言ってしまったが、自分でも何を言っているのか分からん。
はぁ.......そもそも何で、こんな事になってしまったのだったか.......
そして私は昨日のことを思い出していた。
◇
「優希、待って。」
授業が全て終わり、いつも通り家に真っ直ぐ帰ろうとしたのだが、珍しく呼び止められた。
この声は.......ミーシャという女か?
後ろを振り返ってみると、同じ女性である私ですら思わず見惚れてしまうほどの女の子がいた。
光に照らされた白銀の髪が腰まで伸びており、可愛らしさと美しさが共存している完璧な容姿をしている。
「お前は.......いつも天草といるミーシャという女か。私に何の用だ?」
見てるだけで照れてしまいそうになるが、冷静を装って無愛想に返事をした。
「あなた優真の事好きでしょ?」
全く予報していなかった質問に、私の思考は完全停止してしまった。
しかし数秒もすると、頭の中で同じ質問が繰り返し流れ続け、湯気が出そうになるほど顔を真っ赤にしてしまう。
「な、ななな、なぜ気づいたのだー!」
はっ!?これでは自白しているようなものでは無いか!
ここは冷静に否定するべきとこだろ!
「みんな気づいてる。もちろん優真も」
「な、何だと.......気づかれていたのか?」
「あんなチラチラと見てたら、さすがの優真でも気づく。というよりクラスの皆も気づいてる」
「終わりだ.......切腹して死のう」
と言って、スカートから小太刀を取り出し、腹に突き刺そうとした。
まさか気づかれているとは思わなかった。
私はこれでもポーカーフェイスは得意だと自負している。
.......ババ抜きをすると、なぜか必ず負けてしまうのだがな。
本当に何故だろう。
「勝手に死なないで 」
すると、凄腕万引き師もビックリするほど自然な流れで小太刀を奪い、鞘にしまった。
天草の恋人達は皆、こんな凄い女性ばかりなのだろうか?.......私では釣り合わんな。
ネガティブモードに突入していると、ミーシャは私が予想していなかったことを言う。
「優真とデートして」
「.......は?」
いや、意味が分からんぞ。
なぜ、自分の恋人を私とデートさせようとするのだ?.......もしかして、そういう趣味が.......いや、これ以上は危険だから考えるのはやめよう。
なんか、ぶっ飛びすぎた事を言われたから、逆に冷静になってしまった。
「お前は何を言ってるのだ?既に恋人がいるだろう。私が入る隙などありはしない」
「隙なんて無理やり作ればいい。それに私は恋人じゃなくてお嫁さん。間違えないで」
「あ、うん」
.......戸籍上は兄妹という事になっているはずだ。
調べたから知っているのだぞ。
「天草が他の女性と付き合っている事は知っているが本当にいいのか?」
「うん」
「な、なら遠慮なくデートに誘うぞ!」
「存分に楽しんでらっしゃい」
そして気合を入れた私は、どうやって天草をデートに誘うか考えるために、すぐに家に帰ることにした。
「あなたの体内にいる化け物が少し暴れ始めてるから、優真の傍にいた方が良い。それに.......狙われているようだし」
そんなミーシャの呟きは届かず、私ははしゃぎたい気持ちを抑えながら、帰るのだった。
◇
そして現在。
「そ、それじゃあ、場所と時間は後で知らせる。連絡先を教えてくれないか?」
「おう。これ俺の番号な」
「うむ.......お、覚えたぞ」
「いや、スマホに登録しろよ.......」
「っ!?そ、そうだな」
久野はスマホの扱いに慣れていないようで、番号の登録に少し時間がかかった。
「うふふ.......あ、あと下の名前で呼んでもいいか?」
「いいぞ。なら俺も下の名前で呼んでもいいか?」
「も、もちろんだ!いいぞ!私の事も下の名前で呼んでくれ。ゆ、優真.......」
「おう。優希」
名前を呼ばれ、優希は「はぅ.......」と顔を真っ赤にしながら、俯くのだった。
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コメント
S・R
コメントありがとうございます!
誤字は少しずつ直していきます。