ソシャゲの相棒(♂)は異世界転移したら美少女だった!?

雨夜☆ドリー

〜第一章〜 師弟システムを使いましょう!【三】

 玄関のドアを開けた僕は、まずケーキを冷蔵庫にしまう。
 部屋に戻り着替えを済ませ、桜の部屋に向かう。
 玄関には桜の靴はあったし、居間にも居なかったし、たぶん自分の部屋にいるだろうと思ったのだ。

 「桜いるー?」
 僕は軽くノックをした後で声を掛ける。
 少しだけ扉が開き、桜が顔を出す。
 「お、おかえり、お兄ちゃん。どうしたの?」
 「ただいま、今からすずめが来て一緒にEIしようかと思ってるんだけど、どう?」
 「うーん、今課題してたんだよね…」
 「そっか、勉強中なら仕方ないか……ケーキもあるんだけどな……」

 「いくっ!いきます!」

 「え?勉強は?」
 「夜やるよ。それよりもケーキは?チーズケーキ?」
 「うん、御所望のチーズケーキ買ってきたよ?」
 「お兄ちゃんありがとう!すぐ行くから待ってて!」
 そう言い残すと扉をバタン!と締めガチャガチャと音が聞こえる…。
 「桜~、部屋にいるからなー」
 僕はそう言い残し部屋に戻る。
 
 部屋に戻るといつもの様に窓から窓へと移動してくる、すずめと鉢合わせた。
 「やほー!涼ちゃん!勝手にお邪魔しま~す」
 「おう。そのへんに座って待ってて、今飲み物とケーキ持ってくるから」
 「はーい」
 
 僕は慌てて下の階の居間に行く。
 
 
  紅茶とケーキを持って部屋に戻るとすずめと桜が待っていた。
 「おまたせ!」
 「やったー!チーズケーキだぁー!」
 「わーい!フランボワーズケーキだぁー!」
 「ちょっと待てぃ!すずめはさっき一緒に買っただろ、なぜ一緒になって喜ぶ!」
 「お兄ちゃんは細かいなぁー、それでも女の子はケーキを目の前にしたらはしゃいじゃうものなんだよ」
 うんうん、と隣で頷くすずめ。
 「さいですかー、それはそれは失礼しましたー」
 僕はこの話の行き着く終点が見えないので折れた。

 「さ、食べよ。ゲームはそれからだよ!」
 「はいはい、いただきまーす」
 ケーキにパクつく桜。その横ですずめが僕にコソっと耳打ちをする。
 「涼ちゃん、ケーキ四つ買わなかった?まさか一人でもう一個食べる気なの?」
 思わず、すずめの頭をチョップする僕。
 「違うわ!お袋の分だよ。一人だけケーキ食べれないとか可哀想だろ?」
 「お兄ちゃんは意外とそういうところ優しいからねー」
 ケーキにパクついてる桜が笑いながら答える。
 「へぇー、涼ちゃん見直したよぉー、うん見直したー」
 改めてそんなふうに言われると少し恥ずかしい。
 僕は慌ててケーキを掻き込む。
 「ほらほら、お兄ちゃん、そんなにガツガツ食べない!」
 「へーい」

 僕らはケーキを食べ終わった後、三人でEIをした。

 「ほらほら、すずめ回復遅れてるぞ!」
 「ヒール!」
 「いや、別に声出さなくてもいいし」
 「すずめちゃん、ナイスヒール!」
 初心者でもやはり二人クレリックがいると楽にクエストが進められる。
 「やったー!レベルアップ~!Lv30になりましたー!」
 桜はどうやら今の戦闘でLvが上がったらしい。
 「おめ!桜」

スズ:おめでとー!サクラちゃん!

 パーティーチャットにそんな文字が流れる。
 「そこはチャットじゃなくていいんじゃないかな?すずめ」
 僕は思わずすずめにツッコミをいれる。
 「てへっ」
 すずめがやってしまいましたー!みたいな顔をしている。
 「まぁまぁ、次はすずめちゃんのレベル上げだね!」
 桜が腕の袖をまくりあげながらそう答える。
 「桜ちゃん、よろしくー。でも桜ちゃんの方がレベル上がるの早いねぇ?なんでかな?」
 「それはさ、桜が一人でコツコツやってたからじゃないか?」
 「そうゆうことー。すずめちゃん全然やってなかったの?」
 「うん、最初の日に少しだけやって、あとはずっとお洋服とか髪型覗いてたかな?」
 「でも、レベル上がらないと装備できないでしょ?」
 「え!そうなのー!?だからかー、可愛いカチューシャ装備出来ませんって言われちゃうのは……レベル頑張ってあげよ」
 「だな、僕も手伝うし頑張ろうぜ」
 「桜も手伝うよ、すずめちゃん!」
 「二人ともありがとー」
 「なら、もう少し頑張るか!」
 「おー!」
 二人ともなんだかんだでEIに嵌ってくれそうで何より。
 僕らは外が暗くなっても気づかないほどにすずめのレベル上げに没頭したのだった。
 その結果…無事にすずめはLv30になり、装備出来なかったカチューシャをようやく装備出来るようになったのだった…。

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